コールセンターにおける脱3密作戦
コンタクトセンター、コールセンターが「3密の場所」として、注目されています。※5月10日に追記しています
このnoteは、下記の方向けに、コールセンターにおける脱3密作戦をまとめています。
・脱3密できていない、コールセンターの管理者の方
「極限3密」などと言われている場合ではありません。
ただちに、会社の事業継続のために、経営陣から「脱3密への投資」を勝ち取りましょう!
Q:なぜ、今すぐに、脱3密の投資を勝ち取る必要があるのか?
A:事業継続ができなくなるからです。理由は以下の3つです。
理由1:働き手が集まらなくなる
理由2:顧客が離れていく
理由3:このまま時が過ぎるのを待っていても、前の状態に戻らない
理由1:働き手が集まらなくなる
想像してみてください。極3密の状況で、率先して働きたい人がどれだけいるでしょうか?また、同じ仕事でも、「極3密」と「脱3密」、どちらの会社を選ぶでしょうか?
現在、飲食店などの休業の関係で、コールセンターで働きたい人は、一時的に増えています。
しかし、このような特需がいつまで続くでしょうか?withコロナ、アフターコロナの世界で、経済活動が少しずつ再開した時に選ばれる職場でしょうか?
長期的に見て、脱3密対策を怠った会社は、人が集まらなくなります。
理由2:顧客が離れていく
Salesforceの提供している「コネクテッドカスタマーの最新情報」で、以下のような結果が出ています。
・68%の顧客は、倫理観の乏しい企業からは製品を購入しない
つまり、消費者は、脱3密を怠った会社に対して“不信感”を抱き、その会社の製品やサービスを積極的に買わないという行動に移ります。結果、企業のブランド価値が下がるのはもちろん、売上にも大きな影響を与える可能性が高いです。
※資料の詳細は、下記リンクより、ダウンロードいただければ見ることができます。ただし、個人情報入力は必須となります。
理由3:このまま時が過ぎるのを待っていても、前の状態に戻らない
今は難しい状況です。先が読めない。何が正しい判断か誰もわかりません。
しかし、じっと待っていても、以前のような生活に戻る可能性は非常に低いと思います。
経済活動が再開したとしても、飲食店でもテーブルを1つ明けて座ってもらう、スーパーマーケットでは入店規制・アルコール消毒の徹底など、すべてのオペレーションが脱3密前提で再構築されていくと言われています。
今やらなくても、いつかやることになる。
自分が働く会社はどうあってほしいのか?働くメンバーにどんな環境で、どんなふうには働いてくれることが理想なのか?
もしも迷っているのであれば、一歩踏み出すのは、まさに今、だと思います。
以上の理由から、コールセンターの脱3密は必須です。
ただし、必須であることがわかっても、「どう行動したらいいかわからない」という方に向けて次の説明に移ります。
Q:脱3密対策をしないという意思決定をしているのは誰か?
A:あなたの会社の経営陣です。
明確な意思表明をしているかどうかはわかりませんが、全ての責任は担当分野の経営陣にあります。
脱3密を達成するには、経営陣に行動を変える意思決定をしていもらう必要があります。そのアクションプランを脱3密作戦と呼びます。
Q:どのようにして脱3密作戦を実行すればいいのか?
A:「脱3密プラン」をプレゼンして、経営陣から許可をもらおう!
脱3密プランは3つの段階を踏みます。
(1)脱3密しない場合の損害を出してみる
(2)対応策を練る
(3)脱3密プランの費用対効果を算出する
(1)脱3密しない場合の損害を出してみる
脱3密しないとどうなるか?
まず、働く人が減っていきます。
最悪、今の50%の人員になってしまったところで、製品・サービスのサービスレベルは保てるでしょうか?
製品・サービスによって、予測値は異なるかもしれません。ここは、長年の現場の勘で、少し強引でも作ってしまいましょう!
例えば、
・応答率が、「80%⇒20%」に低下する
・メール返答までの日数が、「1日⇒10日」に延びる
・受注件数が「100件⇒50件」に減少する
のように、質が下がるところを可視化しましょう。
質の低下を、金額換算できると、さらに説得力が出ると思います。
脱3密しないと、「どれくらい損をするのか?」を可視化することで、経営陣に「リスクの大きさ」が伝わりやすくなります。
(2)対応策を練る
次に、自社に合った対応策を練りましょう。
脱3密とは、3密=「密閉空間、密集場所、密接場面」を脱することです。
対策を整理するときに、まず、この問いから入ります。
Q:自社で、リモートのコールセンターの運用は可能か?
yesなら、自宅で顧客対応業務ができる環境を構築に取り掛かりましょう。一般的な企業における、在宅勤務への移行と同じです。
PC、Wi-Fi、IP電話、業務に必要なシステムへのアクセス制御を、構築すれば問題ありません。
宣伝になりますが、弊社が複数のスタートアップと組んで、リモートワーク活用を支援しているプランもありますのでご参考まで。
しかし、大企業やアウトソーサーの場合は、「セキュリティ上、リモートは完全にNG」というのが実情だと思います。そこで次の問いです。
Q:出勤前提でも、脱3密のコンタクトセンター運用は可能か?
コンタクトセンターへの出勤前提で、3密対策で実行しやすいのは、「出勤時の体温検査」「席の間隔を2メートル以上空ける」「人、機器(ヘッドセット、PCなど)の消毒を徹底する」ことです。
ここでの問題は「物品調達が可能か?(売り切れていないか)」です。現在入手困難なものもありますので、実際に調達可能な範囲でしか、稼働が難しくなってます。
物理的に出勤できる人が減るので、サービスレベルが下がります。
また席の間隔を空けるために出勤制限を要するため、サービスレベルが下がります。
つまり、ある程度のサービスレベルの低下を許容する、というリスクを積極的に取るという選択を経営陣に理解してもらうのが最大のポイントになります。
コロナのような現在の社会背景では、カスタマーに対して、丁寧にコミュニケーションをすれば、品質の低下を受け入れてくれるのではないでしょうか。もちろん、サービスレベルの低下を防ぐ方法もいくつかあります。
Q:出勤制限された環境で、サービスレベルの質を保つことは可能か?
FAQやチャットボットなどのコンテンツの充実させ、少しでもカスタマーの負担を減らしましょう(FAQやチャットボットの構築、運用はリモートワークでも可能なケースが多いです)。これまで人力で行なっていた業務を、AIやRPAの導入で自動化することにより、人手不足による品質低下はある程度防ぐことが可能です。
(3)脱3密プランの費用対効果算出
最後に、自社に合った対応を実施するにあたり、
・調達可能な物品やシステム購入のコスト
・オペレーション再構築の教育・マネジメントコスト
を見積もって算出しましょう。
また、スケジュールも重要です。物品も品切れの場合もありますし、買ってすぐに届くとは限りません。システムも使える状況になるまで時間がかかります。
コストと納期の早さのバランスで選ぶといいと思います。
さらに、
・ここ数ヶ月で対処する課題
・半年から1年単位で対処する課題
の2つくらいのプランが出来上がっていると、うまくいくのではないでしょうか。
まとめ
脱3密前提で、顧客対応の業務オペレーションを再構築するという、新しい挑戦のタイミングです。
そのためには、システムを有効に活用し、一部でもリモートワークも活用していくことが、持続的な運営を成功させる秘訣のように思います。
脱3密を実現することの必要性と、自社独自のプランを持って、経営陣を説得して、現場をより働きやすい場所に変えていきましょう!
【補足(5月10日追記)】コールセンター協会からの指針
『コールセンターにおける新型コロナウイルス感染症対策に関する指針』が出ましたのでご参考に。
事業者への対応策の指針だけでなく、一般のカスタマー向けのお願いも記載されて、素晴らしい指針だと思います。
【補足(5月10日追記)】チューリッヒさんの記事でセキュリティ対策の参考に。
コールセンターの在宅勤務の運用ノウハウが書かれています。何か特別なことをやっているとうよりも、基本的なことを忠実にやり続けていた結果、という見方ができます。
これでも『うちでは難しい』という感じで、できない理由を並べることはできますが、、、トライしていく会社をサポートしていきたいと思います。