カスタマーサポートとは何か?
カスタマーサポートとはいったい何のか?ということに向き合う日々が多いので整理をしておきます。
Q:顧客の質問に応えるだけがカスタマーサポート?
A:いいえ、違います。カスタマーサポートの仕事はそれだけではありません。
苦情処理やクレーム処理だけが、カスタマーサポートの仕事だと思っている人が、意外と多いかもしれません。
実際は、購入を迷っているカスタマーの不安点をヒアリングし、寄り添うことで納得して購入いただいたり、購入・受注そのものを受け付けて処理したり(その際に顧客の課題ヒアリングでアップセルやクロスセル、もしくは別の商品を勧めたりもします)、アウトバウンドコールで既存のお客様の状況をヒアリングしたりと、広範囲のお仕事を指します。
売上向上に大きく貢献したり、そもそも売上を上げるために存在していたり、既存顧客のLTV向上やリテンションに貢献したりと、非常に重要な役割を担っています。
Q:では、カスタマーサポートとは何か?
A:カスタマーの、商品やサービスに対する様々なボトルネックをなくし、カスタマーにその商品やサービスの価値を実感してもらうこと、です。
商品やサービスによって、カスタマーが感じる感情、ぶち当たる壁は様々です。
カスタマージャーニーをもとに、
・どこにボトルネックがあるのか?
・どんな内容のボトルネックなのか?
・そのボトルネックの解消法はどんな方法があるのか?
を探求し続ける仕事がカスタマーサポートのお仕事であると私は考えます。
Q:ボトルネックとはどんなものがあるのか?
A:大きくは2種類、顕在化されたボトルネックと潜在ボトルネックがあります。
顕在化されたボトルネックは、カスタマーが商品・サービスを利用検討中や利用開始後に、カスタマー自身が感じている疑問・不安・トラブルが当てはまります。『○○が使えない』『料金プランが複雑でよくわからないから教えてほしい』など、基本的にはカスタマー発信の問い合わせで発覚することが多いボトルネックです。
もう一つは、カスタマー自身が気付いていない、その商品やサービスの価値を最大限発揮するための行動ができていないケースです。具体的には『購入したが、使い方を間違っている』『動画見放題のサービスだが全然動画を見ていない』などが当てはまります。
こちらのボトルネックの発見は比較的困難で、問い合わせ時のヒアリングで発見したり、カスタマーの状況がデジタルで管理されている場合はテクノロジーで検知したりすることになります。
Q:業種業態によって、対応方針は異なる?
A:はい。どんなサービスなのか、どんなカスタマー属性が多いのかなどによってボトルネックの発生タイミング、それに対するソリューションは変化します。
例えばですが、Eコマースの場合でも、都度取引なのか、サブスクリプションなのかによって、対応すべきポイントが変わってきます。
重要アクションが決まれば、カスタマーとの対話チャネルは何がいいのか?そのタイミングやコンテンツはどうすればいいのか?人で対応すべきタイミングはどこで、テクノロジーで対応すべきポイントはどこか?が明確になってくると思います。
実際には、同じトランザクション型のEコマースでも、顧客単価や購入頻度、顧客属性によって重要アクションは変わってきます。
また、同じサブスクリプション型でも、価値育成※1の難易度の高・低の差がありますし、それにともなってバリューナーチャリングの必要度合いも変わってきます。
※1:価値育成の難易度について
価値育成とは、顧客がその商品やサービスを購入・利用開始してから価値を実感するまでのハードルの高さを表します
※2:バリューナーチャリングについて
カスタマーの価値育成のための支援活動を指します。BtoBSaaSではカスタマーサクセスという言葉で表現されるケースが多いです。
加えて、対応チャネルだけに絞って考えても複雑です。同じサービスで同じカスタマーでも、そのカスタマーの気分や状況、タイミングによって適切な応対チャネルが変わってきたりします。例えば電車に乗っているときはメールやチャットでの問い合わせでもいいと感じるかもしれませんし、自宅でのんびりしているときは電話でもいいと考えるかもしれません。
コネクテッドカスタマーのレポートでも、マルチチャネルの顧客対応チャネルが求められる傾向がどんどん強くなっています。
カスタマーサポート、やれること多いと思いませんか?笑
実際は、ROI(投資対効果)がどうなるか?によって、どこまでカスタマーサポートに投資できるのか、最適解がすぐに出ないので、なかなか奥深いお仕事です。
その分、やりがいも大きいです。
Q:カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いは?
A:私の個人的な意見ですが、狭義のカスタマーサクセスは、カスタマーサポートの1つ形態だと思っています。
【補足1】狭義のカスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスは会社や組織の目的となる概念としては広義のカスタマーサクセス、利用開始・契約開始後の既存顧客のバリューナーチャリングを担当するチーム名称を狭義のカスタマーサクセスとしています。
カスタマーサポートのミッションにおけるボトルネックの解消の方法は、サービス形態・顧客層によって大きく異なってきます。BtoBのサブスクリプションの場合はどうでしょうか?
狭義のカスタマーサクセスは価値の育成(バリューナーチャリング)の必要性が高いサブスクリプションモデル=BtoB SaaSに適したカスタマーサポートの型だと思います。(ざっくりまとめた表です。SaaSでも売り先が業界特化なのかバーティカルなのか、利用部署は1つのなか複数なのか、価格は100万なのか1億なのか、などに様々な因子で変わります)
狭義のカスタマーサクセスと、カスタマーサポートの比較を目にしたことがある方も多いと思います。
カスタマーサポートは受動的でイケていない、カスタマーサクセスは能動的でイケている、みたいな対立軸で書かれているケースが以前は散見されました。
話はそんな単純な話ではなく、企業とカスタマーとの関係性、カスタマーのボトルネックは何でどんな解決策が最適なのかによって、とるべき手段が変わってきます。
そのため、カスタマーサクセスvsカスタマーサポートのような単純な対立軸で表現するのはナンセンスだと断言しておきます。
カスタマーサクセスの考え方は素晴らしいです。弊社のバリューの1つにスクラムCS(全社でカスタマーサクスの達成にコミット、日々の全部門の目標や活動もカスタマーサクセスに沿う)を置くことにしたほどです。
ただ、流行り言葉としてカスタマーサクセスを受け取って、考えもなしにカスタマーサクセス的な活動(狭義のカスタマーサクセス)を自社に取り入れようとして失敗している企業も見受けられます。
カスタマーサクセスは、顧客の成功や成長に企業、組織としてコミットすることであり、決して1部門だけでどうにかなるものではありません。
自社のカスタマーのボトルネックは何なのか?それを突き詰めて、最高の解決策を探求していきましょう。それがカスタマーサクセス的な概念に沿ったカスタマーサポートだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。皆様がイメージするカスタマーサポートと同じところ、違うところがあるかと思います。
それは今、この瞬間にも、カスタマーサポートとは何か?というのが進化し続けているからだと思います。この記事は現時点でのまとめです。数年後にさらなる意味合いが加わっていることと思います。
私たち、カラクリは、カスタマーサポートがさらに良くなれば、世界中のサービス体験がよくなり、それらを利用するすべての人々が豊かになると信じています。
カスタマーサポートの分野は今まであまりテクノロジーの光が当たらない状況でした。その現状を、私たちが変えます。
カスタマーサポートのデジタル化を推進し、カスタマーサポートの問題をテックで解決していきたいと思います。
引き続き応援をお願いします!
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