顧客は問い合わせをしない?!サイレントカスタマーとその機会損失の大きさについて
サイレントカスタマーとは?
サイレントカスタマーという言葉を聞かれたことはございますでしょうか?
コールセンターやコンタクトセンターは、お問い合わせ対応が主な役割です。顧客が問題を抱えた際、企業は適切に対応し解決を図ります。
しかし、実際に問い合わせる顧客はわずか4%、残りの96%はサイレントカスタマーだという調査結果もあります(1970年代後半に発表されたグッドマンの法則)。
直近、2022年のJapan Rage Studyの結果では、約半数がサイレントカスタマーであるという結果も出ています(2023年4月加筆)
コールセンターは問い合わせをしてくれる顧客の応対だけを実施し、サイレントカスタマーへの対策を怠ることで大きな機会損失が生じる可能性があります。
サイレントカスタマー放置のリスク
サイレントカスタマーを放置するリスクはどのようなものが考えられるでしょうか。2022年のJapan Rage Studyの顧客損失モデルを見ると、サイレントカスタマーはそうでない顧客と比較して顧客満足度のBOTTOM BOX、離反リスクともに高い傾向が見て取れます。
顧客の疑問や不満を解決し、満足の高い「不満解消体験」を提供できれば、ビジネスへの貢献が確実に期待できることも見てとれますが、約半数の困りごとを抱えた顧客は疑問や不安を抱えたまま、問い合わせをせずにサイレントカスタマーとなってしまっています。
企業として、サイレントカスタマーに手当を打たないと、離反リスクが高いままの状態が継続してしまうことになります。
サイレントカスタマーの損害を見積もるには?
実際に、サイレントカスタマーを無視することで生じる機会損失はどれほどの金額になるのでしょうか?ここで、簡易的な試算方法を紹介します。この方法はかなり大雑把ですが、ご自身の会社やサービスに適用して概算してみることができます。
例えば、月間問い合わせ人数が1万人、LTVが1万円の場合は、
(1)1万人×2=月間サイレントカスタマーは2万人
(2)2万人×1万円=月間サイレントカスタマー放置の機会損失額は2億円
という試算値になります。
ぜひ、皆様の会社でも試算してみてください。そして、その機会損失額の10%でも改善できると、事業貢献としてはどうなのか?、10%を改善するにはどのようなカスタマーサポートを実現していけばいいか?ということを考えてみてもらえればと思います。
『呼量削減』という落とし穴
サイレントカスタマーに対する対処を実施しない場合の損害について、ご理解いただけと思います。ただし、実際のコールセンターの現場では、『AIやチャットボットを活用して、問い合わせを減らしたい』という声をよく聞きます。
しかし、問い合わせを減らすことばかり考えていたら、サイレントカスタマーが増加し、顧客の不満解消体験を提供する機会が、どんどん失われていっているかもしれません。
しかも、『問い合わせをしてくれる顧客』だけの満足度調査などでは、サイレントカスタマーの実態は把握は難しく、気付かぬうちに離反顧客が増えている可能性があります。
理想は困っている顧客全員に、問題解決・不満解消体験し、高い満足を獲得することです。そのためには、企業とのコンタクトをしない選択をしたサイレントカスタマーといかにコンタクトをしてもらうようにするか?という戦術が必要です。
それが、『問い合わせは減らすのではなく、増やすもの』という、一般的な考えとは真逆の考え方が必要な理由です。
『問い合わせを減らしたい』を出発点にした考え方は大きな落とし穴への直通ルートになりかねないので気をつけましょう。
まとめ
サイレントカスタマーを放置することに機会損失について、ご理解いただけましたでしょうか?
カスタマーサポートを通じて、事業貢献・売上貢献をさらに加速させることが可能だと思いますので、ぜひサイレントカスタマーへの対応について考えてみてください。
少し具体的な施策については、以下の記事も参照ください。