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NASAでスペースシャトルの打ち上げを観たまでの話【プロローグ】

子供の作文のようなタイトルですが。

以前、こちらの記事で前フリに話したことを深掘りします。

私がまさかNASAへ行く日が来るとは。

今振り返っても夢のような出会いと記憶です。

それは大学生の頃のお話。
まだスペースシャトルがあった頃のお話。


一般教養で取っていた、宇宙科学のクラス。
午後だけ大学の都合で休講になっているのを知らずに、早めのお昼を食べながら講堂に一人居ました。

講師は、佐治晴夫先生。
星のまたたき、『ゆらぎ』の研究の第一人者で、『1/fゆらぎ』という、自然の風に近いリズムの扇風機の開発者の一人でもあります。

そんな佐治先生が、午前のクラスの終わったところで、まだ教壇に残っていました。

黙々と学食で買ったパンをかじる私を先生はじっと見つめて、


『君、午後のクラスの人?今日は休講になったの知らないの?』

と言われ、

『僕は空いているから、よかったら天文台に昼間の星を観に来る?』

と言われました。

佐治晴夫先生は、東大から引き抜かれた先生ですが、うちの大学に来る条件を2つ提示したんだそうです。

一つは、礼拝堂のパイプオルガンの鍵を自分にも一つくれること。

もう一つは、自分用の天文台を設けること。


理系の方は分かると思いますが、音楽と数学は、元々起源が同じ。

宇宙物理学教授の佐治先生にとって、音楽はこの世の美しいもののひとつ。いつでもパイプオルガンの弾ける大学は魅力です。

そして、天文台。
よくあるあの小さなドーム型の、高校とかにも場合によってはある、天文台です。

佐治先生の研究室棟の屋上にありました。


話は戻ります。

『昼間の星を観に来る?』


私はやった!と思いました。

はい、行きます!

無邪気に先生について行きました。


今は存じ上げないのですが、当時、昼間の星を天体望遠鏡で見せてくれる人は日本に二人しかいらっしゃらなかったそうです。

その一人が佐治先生。

なぜかというと、天文学者にとって、集光率の高い天体望遠鏡で昼間の星が見える事は当たり前すぎるから。


でも佐治先生は、『見えないものでもあるんだよ』ということを体感してもらう為に、天文台を作ってもらい、昼間の星を縁ある人々にお見せしていました。
授業には、金子みすゞさんの詩、星の王子様、そしてバッハが必ず出てきました。そこから宇宙の話に繋がっていきます。

昼間の星を見る為に人間国宝の方やVIPな方が来ているお話を聴いていたので、選ばれしものしか行けないところだと思っていたら、休講を知らない私が行けることになりました。


うちの母校は、小さな山2つ分のデカい敷地なので、天文台のある研究室棟まで徒歩10分くらいかかります。

すると歩きながら先生が言いました。

『僕ね、今度、スペースシャトルの打ち上げを見に行くんだけど、あなたも行きますか?』







『………はい、行きます!』


頭が真っ白になり、思わずそう答えていました。




つづく。

ヘッダー写真は打ち上げに立ち合った人がもらえるバッヂ。宝物です。

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