ブラウスとの再会
ずっと着ていたブラウスがある。
8部丈の袖、サラッとしたコットン、小さな襟。
なんだか全てが大好きで、
ヨガを教える時も、
宣材写真を撮る時も愛用し、
物理的な劣化で布が裂けてしまって
ありがとう、と去年手放した。
ヘッダーの写真は10年前のそれで、
10年前の宣材写真。
胸に抱えているのは、
ガブリエル・バンサンのアンジュール。
大好きな絵本だ。(これは余談だけどきっと好きな人もいるはず!)
皆さんもそうかと思うが、去年はステイホームが故に、断捨離大会だった。
あらゆるジャンルのものを、見直し、手放したと思う。
断捨離は昔から好きで、事あるごとにやってる。成功も失敗もあるが、何より手放すと、その殆どの物のことが思い出せない。
一方、うちの夫はとてもクリエイティブな質で、本当にギリギリの状態まで使い切る。
靴下も、小さく切って雑巾にする。
見習ってわたしも時々やるが、わたしには把握できないくらい、ずっと前のものをちゃんと上手に再利用している。
最近わたしも、ゼロ・ウェイストという、ゴミを減らすアクションに目覚め、日頃ウエットシートで掃除していた場所を夫の端切れを使って拭くようになり始めた。
この時手にした一枚は、おそらく洋服を切ったもので、この布地が、畳を拭くのにちょうど良く、何度も洗って使っていた。
シャツの袖の部分で、ある日気づいたら、ボタンが付いたままになっていた。袖の部分を、雑に筒状にバサッと切っただけのものだ。
そのボタンを見た。
一瞬で思い出した。
それは、わたしのあのブラウス。
袖についたボタンは、暑い日に折り畳んで半袖に出来る様に付いてたやつ。
ああ!私が、自分で端切れにしたんだ!
全然覚えてなかったのに、
そのシャツはちゃんと私の手に戻り、
私の家を清めてくれていた。
命は、形を変えて生き続けてる。
もちろんブラウスは生きてないけど、ものにも魂は宿ってる。
私が大事にしていたものが、
今は私の家を大事にしていてくれていた。
ああ、魂が宿ってる。
愛が宿ってる。
わたしはあの端切れを、
また限界まで使い続ける。