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【ペ・ドゥナ主演】『子猫をお願い』を観て韓国映画の先進性を感じる

先日、TSUTAYAのDVDレンタルで韓国映画の『子猫をお願い』を鑑賞した。この作品は2001年に韓国の人気女優ペ・ドゥナ主演で製作された映画だ。この映画、以前記事を書いた韓国映画『はちどり』(2020年)のキム・ボラ監督が影響を受けた作品としても挙げていた作品だ。

本作の舞台は2000年頃の韓国、商業高校を卒業して社会に進出する5人の女の子達がそれぞれの人生を歩んでいく姿を青春群像劇だ。学生時代は仲の良かった友人が学校を卒業し社会に出たことで次第に疎遠になっていく…本作は、そんな誰もが経験するであろう青春と友情のあるあるがテーマとなっている。主人公のテヒはじめ5人は、卒業後も定期的に会うくらい仲が良いが、それぞれが社会に生きていく中でその関係も次第に変化していく。

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この五人のキャラクターがよく立っている。ペ・ドゥナ演じる夢想家で変わり者のテヒ、わがままで出世欲も強いヘジュ、夢を抱えながらも生活に苦しむジヨン、お調子者の双子のピリュとオンジュ。監督のチョン・ジェウンによると、各々の登場人物達は人間の多面的な部分を表現しているとのこと。彼女等はそれぞれの状況も異なる。テヒは実家の手伝いをしながら将来の道を考えてるし、ヘジュは新入社員として頑張っている。ジヨンは夢はあるものの就職できず苦しんでいる。こうした人生のあるあるが描かれてるから、性格だけじゃなく状況も含め、彼女たちの誰かしらに感情移入することができるんじゃないだろうか。

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また、彼女たちの家庭環境の違いを描くことで当時の韓国社会を描いている点にも注目すべきだろう。家庭にわりかし余裕がありそうなテヒ・ヘジュに比べ、テヒにお金を借りるくらい生活に困窮してるジヨンの境遇には貧富的格差が伺えるし、ヘジュが上司に言われる「夜間でもいいから大学に通うべき」だという台詞には韓国の学歴社会の壁が見え隠れする。

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そして『はちどり』のキム・ボラ監督が影響を受けた部分として、テヒの家庭環境にも言及しておきたい。テヒの家庭は家族でサウナ(麦飯石サウナという低温サウナ)を経営しており、テヒが受付などの仕事を手伝っている。家父長制の家庭環境の中で、父親のテヒに対する態度は冷たく、ボランティアでご飯の時間を過ぎてしまったテヒにご飯を食べるなと言ったり、家族でレストランに行った際はテヒに選択権を与えない。こうした場面は『はちどり』のウニの家庭に通じている。『はちどり』のウニがそうであったように、テヒもこの家庭環境に閉塞感を感じており、それがラストの行動に繋がるのだが、どんな行動をするのかは実際に観てのお楽しみだ。個人的には、テヒのとった行動は監督からの当時の韓国社会へのメッセージだと受け取った。

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監督はチョン・ジェウン。長編デビュー作にあたる本作は、それまでの男性中心による男性目線の映画から、女性映画監督が女性達を主人公にした映画を描いたということで、韓国映画史においても重要な作品だといえる。構想のきっかけは、当時、映画学校を卒業した監督が自分と同じ年代の学校を卒業した女性の映画を描こうと思ったことかららしい。登場人物達の心境や境遇には、当時の監督の心情が反映されてると考えられるだろう。監督の当時のインタビューによると、15年~20年前までは映画業界で働く女性はいなかったとのこと。その中で女性を主人公にしただけでなく、社会性を取り入れた作品を撮ったところにチョン・ジェウン監督の先進性を感じることができる。

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青春の終わりと女の子の友情を描いた本作。切なさを感じる物語自体もお薦めできるが、テヒを演じたペ・ドゥナの可愛らしさも魅力的!(改めてペ・ドゥナという女優を好きになった)ペ・ドゥナ好きも『はちどり』が好きな人も、記事を読んで気になった人も是非ともチェックして見て欲しい。

ちなみに、テヒの母を演じるキム・ファヨンはペ・ドゥナの実母であったりする!まさかの親子共演というのも驚きだ。

ちなみに現在、配信はされてない模様。筆者はTSUTAYAでレンタルしたが、気に入ったので購入しようかと思ったらプレ値ついてる…

【8月21日更新:日本初配信決定!】

配信情報が一切なかった『子猫をお願い』だが、映画配信サービス「JAIHO(ジャイホー)」にて配信されることが分かった。何と日本初配信とのこと。興味ある人はこの機会に是非!

【2022/5/11更新:配信情報更新!】

上記2つのサイトでも配信が始まったとのこと!気になる方は要チェック!

【2022/8/1更新情報:Blu-ray版発売決定】

『子猫をお願い』のBlu-ray版が発売決定!9月2日発売予定。興味ある人は是非チェックして欲しい。


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