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『はちどり』前日譚、『リコーダーのテスト』感想。

6/20に公開された韓国映画『はちどり』。1994年の韓国社会で生きる14歳の少女ウニの思春期を描いたこの作品は、世界各国の映画祭で絶賛された他、日本でも映画レビューサイトFilmarksの初日満足度で、ランキング1位を獲得するなど、日本でも評価が非常に高い作品だ。ちなみに、筆者も以前考察記事を書いたので、気になる人は是非読んで欲しい。

そして、『はちどり』には前作譚にあたる『リコーダーのテスト』という短編作品があるのをご存じだろうか。筆者もパンフレットなどの情報のみで知っていたが、この度鑑賞する機会があったので、感想を記しておきたい。

【作品情報:『リコーダーのテスト』】

リコーダーのテストポスター画像

製作年:2011年 製作国:韓国 監督:キム・ボラ

『はちどり』の舞台は1994年だったが、今作は1998年、韓国でソウルオリンピックが開催された年にあたる。主人公ウニは9歳、学校でリコーダーのテストがあるのだが、ウニのリコーダーは兄のお下がりの為、音が裏返ってしまう。新しい笛を買って欲しいウニは父親にねだるのだが…といったあらすじ。

不仲な母と父、ウニに横暴に振る舞う兄、男友達を家に連れこむ姉…本作を観ると、あの家族の姿は既にこの時に形成されつつあったのだなという事がよく分かる。描かれてるテーマは『はちどり』と同じだが、『はちどり』が、家族から当時の韓国社会まで拡がっていたのに対し、こちらは27分という短編の為、特に「家族」に焦点をあてて描かれている。(冒頭で体罰を受けるウニの姿は描かれているが)

リコーダーのテスト①

短編でもよく分かるのが、キム・ボラ監督の柔らかい映像、時間の切り取り方の素晴らしさ。やはり韓国映画というよりは日本や台湾映画の雰囲気に近しいものを感じる。(本人も公言してるがエドワード・ヤンの影響は大きいだろう)本編の最後、リコーダーのテストの緊張感は観てるこちらもどきどきしてしまった。この姿があってからの『はちどり』のラストを考えると感慨深い。個人的には『はちどり』と合わせて上映して欲しい。

ちなみに本作は、少し前までMUBIというサイトで観る事ができたのだが(ただし、英語字幕のみ)、現在では鑑賞はできなくなってる模様。また、YouTubeでも挙げられているが、こちらは韓国語のみ(恐らく許可を取っていないため、削除される恐れもある)となっているので、日本語字幕版も希望したい。

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ヴィクトリー下村
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