詩の分類
詩って色々あるけどどれから見ていったら良いわからないって人も多いと思います(私もそう)。まずは基本的な観点から分類してみましょう。
使われている言葉による分類
昔の言葉(江戸時代までの書き言葉)で書かれた詩を文語詩、現代の言葉(話し言葉)で書かれた詩を口語詩と呼びます。
文語詩の例:
鶴の巣と松の根方に敷く藁は今朝けささやさやし新あらの麥稈むぎから
松の花あかる日竝ひなみを巣に群れて丹頂の雛は早やあらはなり
北原白秋「鶴」
口語詩の例:
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
宮沢賢治「春と修羅 序」
詩の形による分類
七五調などによって音数に一定の決まりがあるようなものを定型詩、決まりがないものを自由詩、普通の文章のようにつらつらと書いていくのが散文詩です。散文詩は句読点などがあり、自由詩は行分けといって文を1行1行区切っています。
定型詩の例:
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
中原中也「汚れつちまつた悲しみに」
自由詩の例:
この湖水で人が死んだのだ
それであんなにたくさん舟が出てゐるのだ
葦あしと藻草もぐさの どこに死骸はかくれてしまつたのか
それを見出した合図あひづの笛はまだ鳴らない
三好達治「湖水」
散文詩の例:
恐怖に澄んだ、その眼をぱつちりと見ひらいたまま、もう鹿は死んでゐた。無口な、理窟ぽい青年のやうな顔をして、木挽小屋の軒で、夕暮の糠雨に霑ぬれてゐた。(その鹿を犬が噛み殺したのだ。)藍を含むだ淡墨いろの毛なみの、大腿骨のあたりの傷が、椿の花よりも紅い。ステッキのやうな脚をのばして、尻のあたりのぽつと白い毛が水を含むで、はぢらつてゐた。
どこからか、葱の香りがひとすぢ流れてゐた。
三椏みつまたの花が咲き、小屋の水車が大きく廻つてゐた。
三好達治「村」
内容の違いによる分類
作者の感情や心情が込められたものを抒情詩、自然の風景などを絵画的に書いたものを叙景詩、歴史上の事件や人物など歌ったものを叙事詩と呼びます。
叙事詩は日本においては「平家物語」などが近いものとして挙げられますが、歴史の流れの中でほぼ全てが小説へと移り変わったと言われています。
抒情詩の例:
泣け 泣きわめけ
大声でわめくがいい
うずくまって小さくなって泣いていないで
膿盆のうぼんの血だらけのガーゼよ
そして私の心よ
高見順「泣きわめけ」
叙景詩の例:
こほろぎが
ないている、
夜ふけの街の
芥箱に。
金子みすゞ「博多人形」