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フランスワインと音楽の会

written by 西村二架 Nika Nishimura(下鴨ロンド・シェアメイト)


7月某日、下鴨ロンドでフランスワインと音楽の会を行った。用意したワインは、フランスワイン12種類と、日本ワイン1種類。音楽演奏は、ピアノとチェロの合奏を行った。

ワインと聞くと、とっつきにくいイメージがある方も多いように思う。私もワインを好きになる以前は、同じようなイメージを持っていた。

しかし、今回の会でワイン解説をしてくれた友人Hさんに教えられ、はじめにナチュラルワインから入り、新潟のカーブドッヂ、アルザスのマルク・テンペと、少しずつワインの魅力を知っていった。

ワインには、幅広い味わいの差がある。品種や生産地を知って、自分の好みのワインを探し当てていく楽しさがある。私もまだまだ浅学だが、Hさんの助けを得ながらワインの面白さをみんなと共有できたら楽しいだろうな、と今回のワイン会を企画した。それに、みんなで飲めば一度にいろんな種類を楽しめる。そんな機会はそうない。

会では、始めに飲み良い日本ワインを供し、音楽演奏を挟んだ後、ロワール、ローヌからボルドー、ブルゴーニュへとフランスを旅するように12種類のワインをテイスティングした。すべてのテイスティングが終わった後は、残っているワインを自由に飲みながら歓談する時間となった。



12種類のフランスワイン飲み比べ

フランスの以下の地域から選んだワインを、Hさんに生産地や特徴を解説してもらいながら、少量ずつテイスティングした。

ロワール
ローヌ
プロヴァンス
アルザス
シャンパーニュ
ボルドー
ブルゴーニュ

12種類のフランスワイン(左1本を除く)

軽食は、nems cafeのAさんにご用意いただいた。

nems cafeのお惣菜

通常のワイン会では、最初にスパークリングワインが出て、次に白ワイン、次に赤ワインと進む場合が多い。しかし今回は、地域ごとにワインを見ていこうという趣向から、その定石は気にしないこととなった。

泡、白、赤という定石を気にせずワインを飲んだのは初めてだったが、地域ごとに飲んでいくことで、各地域の法律(AOC法)の適用や冷涼、温暖などの気候風土を、頭の中で照らし合わせつつ飲むことができた。

ワインがどう作られるかといったことから、ワイン界の縮図フランスの土地(テロワール)の特徴、品種の分布など、フランスワインの広範な知識を踏まえた話はとても面白く、解説中には「もっと詳しく知りたい!」と参加者からたくさんの質問が投げかけられた。

また、解説の最後には、ワイン初心者にとってワイン選びの指標となる、ぶどうの品種の図も示された。

全12種類のテイスティングを終えた後は、残っているワインを自由に飲みながら語らう時間とした。当然、参加された方の好みはそれぞれ異なっており、「ブルゴーニュのフィサンが最高だった!」という人もいれば、「アルザスのリースリング美味しかったなぁ」「ソーヴィニオン・ブランが一番好きだったかも」という人も。

ひとりひとりの好みを聞きながら飲み比べる時間はとても楽しい。大人たちがワインを片手に子どものように楽しむ情景を見て、会を企画してよかったと心から感じた。

改めて、ワイン担当Hさん、軽食担当Aさん、ありがとうございました!

(ヴーヴレ セック キュヴェ シレックスは、シェアメイトTさんに頂きました。Tさんありがとうございました!生き生きした酸と軽やかな華やかさのあるワインで、とても美味しかったです。)

ヴーヴレ セック キュヴェ シレックス(右)

ピアノとチェロの二重奏|曲目

音楽演奏は、私がチェロ、Yさんがピアノで、久石譲さんの「あの日の川」「Summer」を演奏した。

「あの日の川」は、映画「千と千尋の神隠し」で、千がハクにおにぎりをもらうシーンで流れる曲。切なさと心細さの中に、「優しくしてくれる人がいる」という微かな安心感が滲む。

「Summer」は、映画「菊次郎の夏」の主題歌だそうだ。Summer自体は知っていたのだが、映画は存じ上げなかった。夏の煌めきを楽譜上に書き留めたような曲で、入道雲や海、きらめく川や花咲く森の小道などをイメージして演奏した。

今回の二重奏は、下鴨ロンドのお掃除ボランティアに来ていたYさんを誘ったのがきっかけで、急遽結成したデュオだった。なので、練習期間は1、2ヶ月ほどと短かったが、なんとか詰めて発表に漕ぎ着けることができた。

一回一回、「ここの楽曲解釈はどうするか」「ここはどういった気持ちで弾くか」と深く相談しながら進めていく練習は初めてで、なかなか経験することのできない貴重で楽しい時間を過ごさせてもらった。また、だれかと一緒に音楽に没入することはこんなにも楽しいのか、と合奏の持つ本当の力を感じることのできる数ヶ月だった。

Yさん、ありがとうございました!またぜひやりましょう。

演奏を終えて、「チェロの腕をもっと上達させて、自分の楽曲解釈に基づく音を出せるようになりたい」という思いを強くした。下鴨ロンドでもまた、演奏の機会を持ちたい。

また、もし「演奏できる人を探している」「合奏できる人を探している」という方がいらっしゃったら、お声かけください。


参加者の声

ワインと音楽の会に参加くださった方のコメントを一部ご紹介。

お酒に音楽と、幸せな時間でした。スライドのレクチャーでは学びと味の感覚がその場でつながっていくことが楽しかったです。嬉しいことに自分の好みも少しだけ掴むことができたように思います。

ワインのことも勉強になりましたし、次にワインを買うときにも大いに参考になりました。

ゆっくりワインをいただく機会が減っていた中、すごくラグジュアリーで楽しい会でした。

人生で一番ワインを飲んだ夜でした。奥が深くて素人ながら楽しめたら良いなと思いました。


下鴨ロンドでのワイン会は今回が初開催。「ワインに興味があれば、誰でも楽しめるものにしたいね」とHさんと計画していた通り、ワインの知識がある人もない人も楽しめる会になったと思う。

私自身またいろんなワインを飲んでみたいし、演奏の場も持ちたいと思っているので、無理ない形で第2回を計画したい。またその時には、皆さまよろしくお願いします。


13種類のワイン|ワイナリー名、AOC名、品種、生産地

最後に、今回取り扱ったワインのワイナリー名、AOC名、(ヴィンテージ)、品種、生産地の一覧を。

タケダワイナリー、サン・スフル、2023 白
(品種:デラウェア100%)(生産:山形、日本)
ドメーヌ・ランドロン、ミュスカデ・セーヴル・エ・メール シュール・リー ラ・ルヴトゥリ、2021 白
(品種:ミュスカデ100%)(生産:ロワール、フランス)
ドメーヌ・ヴィニョー・シュヴロー、ヴーヴレ セック キュヴェ シレックス、2022 白
(品種:シュナンブラン100%)(生産:ロワール、フランス)
カーヴ・ド・タン、クローズ・エルミタージュ・ノーヴル・リヴ、2022 赤
(品種:シラー100%)(生産:ローヌ、フランス)
シャトー・ド・ロムラード・キュヴェ・マリー・クリスティーヌ、プロヴァンス ロゼ、2022 ロゼ
(品種:サンソー47%/グルナッシュ33%/シラー20%)(生産:プロヴァンス、フランス)
ポール・ジャン・グランジェ、アルザス リースリング、2023 白
(品種:リースリング100%)(生産:アルザス、フランス)
シャンパーニュ・クリスチャン・ブルモー、キュヴェ・エルマンス ブリュット NV 白泡
(品種:ピノ・ノワール67%/シャルドネ23%/ムニエ10%)(生産:シャンパーニュ、フランス)
シャトー・ボネ、アントル・ドゥ・メール、2022 白
(品種:ソーヴィニヨン・ブラン78%/セミヨン22%)(生産:ボルドー、フランス)
シャトー・セネジャック、オー・メドック、2018 赤
(品種:カベルネ・ソーヴィニヨン59%/メルロー29%/カベルネ・フラン7%/プティ・ヴェルド5%)(生産:ボルドー、フランス)
ラ・シャブリジェンヌ、シャブリ・ラ・ピエレレ 白
(品種:シャルドネ100%)(生産:ブルゴーニュ北部、フランス)
ファミーユ・マッス ブルゴーニュ コート・シャロネーズ、ヴェイユ・ヴィーニュ、2021 白
(品種:シャルドネ100%)(生産:ブルゴーニュ南部、フランス)
ドメーヌ・ミッシェル・デュポン・ファン、オークセイ・デュレス レ・ヴィル、2022 赤
(品種:ピノ・ノワール100%)(生産:ブルゴーニュ南部、フランス)
ドメーヌ・コワイヨ、フィサン、2021 赤
(品種:ピノ・ノワール100%)(生産:ブルゴーニュ北部、フランス)


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