生誕80年・没後40年 ジョン・レノンとともに読書を①
12月1日からジュンク堂書店吉祥寺店で開催されている選書フェア『ブックマンション×ジュンク堂書店吉祥寺店 コラボ企画 第一弾』に、棚主として参加している清水家!(弟)。「たいせつな人に贈りたい本」をテーマに、清水家!(弟)が選んだのは、ジョン・レノンにまつわるというか、ジョン・レノンにこじつけた本です。1960年代ビートルズとして活躍していた頃はもとより、1980年にニューヨークで凶弾に倒れてから40年たった今でも、多くの人に影響を与えているジョン・レノン。その魂のかけらを、たいせつな誰かに届けられたらいいなあ、と思いました。題して『JLとともに読書を。想像<imagine>と9冊の本』。クリスマスプレゼントに、年末年始の読書の参考にしていただけると幸いです。
○『グレープ・フルーツ・ジュース』オノ・ヨーコ/南風 椎 訳
JLが最も影響を受けた芸術家は、ダ・ヴィンチでもピカソでもフェリーニでもなく、オノ・ヨーコです。この詩集(と言っていいのかな)で何回か使われている「想像しなさい(Imagine)」ということばに触発されて、かの名曲「Imagine」は生まれました。この本で、オノ・ヨーコは、Imagineの他にさまざまな動詞を、普通とはちょっと違った形というか、こんなことは言わないよなという文脈で使っていて、思わずハッとさせられます。最後は「この本を燃やしなさい。読み終えたら(Burn this book after you've read it)」と締めくくられます。これを受けてJLは「ぼくがこれまで燃やした本の中でこれが一番偉大な本だ」との序を寄せています。
ことばは想像の源です。ことばの使い方ひとつで、世界はよくもなれば、悪くもなります。そう思うからジョン&ヨーコは「WAR IS OVER! IF YOU WANT IT(戦争は終わる。あなたたちがそれを望めば)」という平和キャンペーンを行ったのでしょう。このフレーズが副題であり、繰り返し歌われる「ハッピー・クリスマス」が流れるシーズン、想像力とともにことばをたいせつな人に届けたいですね。
○『ガープの世界』ジョン・アービング/筒井正明 訳
JLが凶弾に倒れた時代、アメリカでベストセラーとなった小説。子煩悩で、主夫で(というところが、早すぎた晩年のJLを彷彿とさせます)、作家のガープを取り巻く世界もまた暴力に満ちています。ロビン・ウィリアムズ主演、ジョージ・ロイ・ヒル監督で映画化もされ、オープニングではビートルズの「When I’m Sixty Four」が流れます。残念なことに、JLもガープも、64才にはなれませんでした。
○『1973年のピンボール』村上春樹
村上春樹ファンのことを世間や一般メディアでは「ハルキスト」と呼んでいますが、村上春樹自身はその名称を気に入ってなくて、「村上主義者」と呼んでほしいとエッセイだかインタビューだかで語っています。真面目に言っているのか、冗談なのか、このオフビートな感覚はJLっぽいですね。それに倣っていうと、私はさしずめ「村上主義鼠派」です。ええ、村上主義にも派閥があるんですよ。
そんな村上主義鼠派が選んだのが『1973年のピンボール』。小説には、同居している双子の女の子がビートルズの『ラバー・ソウル』をかけると、主人公の僕が「こんなレコード買った覚えないぜ」と不快感を露わにするシーンが出てきます。その理由は、後に書かれた別の作品『ノルウェイの森』を読むとわかります。「Norwagian Wood」はJL作品(公式にはレノン&マッカートニー作品ですね)の中でも屈指の名曲ですが、はたして「ノルウェイの森」と訳していいのか、「ノルウェイ製の家具」なのか、最後の「So I lit a fire」は、煙草に火をつけたのか、それとも家に火を放ったのか、など謎めいた歌詞もあいまって不思議な余韻を残します。
文と絵/清水家!(弟)
↓こんなミニプレスを作りました。ジュンク堂書店吉祥寺店6階レジ付近で開催中の選書フェア『ブックマンション×ジュンク堂書店吉祥寺店 コラボ企画 第一弾』』コーナー、清水家!の棚に置いてあります(12月31日まで)。よろしければお持ち帰りください。
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