サービス開発を迅速に進めるためには"あたり"を付けてフィードバックをもらおう~マクドナルド理論から学ぶ~
「パーティーを開く」のアクティビティ
スクラムマスターのトレーニングでの出来事
先日、アドバンスド認定スクラムマスタートレーニング(A-CSM)を受講した際に、クラスで「パーティーを開く」というアクティビティを行いました。
4人程度のチームを2つつくり、1つのチームはパーティーをしたいと言い出し、もうひとつのチームはそのパーティーを企画するというものです。
Aチーム:パーティーを開催したい側
Bチーム:パーティーを企画する側
BチームはAチームに対して面談で質問をすることができます。最初の状態では、Aチームがどのようなパーティーを開催したいのかはまったく情報がありません。
さて、BチームはAチームにどのような質問をすればよいでしょうか?
具体的な答えが出てこない場合がある
私たちがBチームの時、Aチームに対して「どのようなパーティーを開催したいですか?」と尋ねました。
そうしたら「どーん!と派手なパーティーをやりたい」という答えが返ってきました。
「どのぐらい派手なパーティーにしたいのですか?」と聞くと「やっぱり海外でやりたいね!」という答えが返ってきました。
そのうち、予算や人数規模や料理やドレスコードについて聞いていったのですが、途中で「これでは埒が明かない」と感じました。
ひとつひとつ細かい話を詰めていっても、答えに辿り着くことが出来ないと感じたからです。
もう少し言うと、めちゃくちゃ時間をかければもしかしたらいつか答えに辿り着くかもしれないのですが、あまりにも時間がかかりすぎるし本当に答えに辿り着けるか分からないし、もしかしたらそうやって面談をしているうちに相手も飽きてしまうかもしれないな、と感じました。
3つぐらいの案を出してみる
その時にコーチの方にアドバイスを頂いたのは、3つぐらい案を出してみる、ということでした。そこで私たちは、
【案A】街のレストランを貸し切った小規模なパーティー
【案B】ホテルの宴会場を貸し切った中規模なパーティー
【案C】ホテルそのものや豪華客船などを貸し切った大規模なパーティー
といった案を出してみました。そうしたら、「案Cが夢だが、現実的には案B」といった答えが得られ、一気に具体的なイメージが湧いた上に、実は心の中で思っていることと現実的な条件(おそらく予算・スケジュールなど)とに乖離がありAチームとしてももやもやしている、ということも分かったのです。
このお話から得られた教訓は以下の通りです。
不確実性の高いもの(パーティー)に対して細かく条件を確認していっても時間がかかる
おおざっぱに"あたり"を付けると「だいたいこのあたり」というイメージが湧く
マクドナルド理論とは
マクドナルド理論
ところで、皆さんはマクドナルド理論をご存じでしょうか。私は友人から聞いて「面白い理論だな」と思いました。
これは、何人かの友人と街に出たときにランチでどのお店に行くか迷った場合に、「マクドナルドに行こうよ」と提案すると、急に「いや、マクドナルドの気分ではない」「それなら中華が食べたい」などと様々な意見が出されて、素早くランチの場所が決まるというものです。
トップハイライトを引用すると以下の通りです(和訳はGoogle翻訳)。
そして、先述のワークショップの方法はマクドナルド理論に近かったなと感じました。実際は3つの提案をしましたが、その3つの提案によって思考が刺激され、クリエイティブになり、フィードバックが得られ、パーティーのアイデアが具体化されてきたのです。
仮説を「置きに行く」
コンサルタントはよく、仮説を「置きに行く」という言い方をするそうです。
何もアテがないまま質問を繰り返すよりも、まずは仮説を置いて、それをベースに会話をしようというものです。
新規のサービスやプロダクト(例えばパーティの企画をするビジネス)はとても不確実性が高いです。
そこでひとつひとつを丹念に調べていたらいくら時間があっても足りないですし、その間にも資金は少しずつ減っていきいずれはショートしてしまいます。
まずは「マクドナルドはどう?」というように仮説を置いて"あたり"をつけ、それをもとにして様々なフィードバックを得ることで、新規サービスや新規プロダクトのアジリティ(迅速さ)が高まりそうです。