介護施設での夜間の「おむつはずし」の考察②

 とある病院に勤務していた際は、点滴や尿道カテーテル類、経管栄養のチューブ類、ストーマの装具、そしておむつ…それらをはずしたり、抜いたりしないように、ミトンや抑制帯を利用して、身体抑制をしていた。もちろん、患者の家族には書面で同意を得ていた。
 介護施設の全てではないのかもしれないが、「抑制をしない」と決めているところは多いと感じる。住居型の場合、部屋は入居者の家という認識なので、到底抑制なんて…という状況。理解できる。ちなみに、ベッド周囲全てを壁や柵で囲んでしまうのも抑制となる。
 今回は、寝たきりで自分でトイレに行けない人の「おむつはずし」について。前回も書いたように、生理的というか本能的な部分で、汚れた、濡れたおむつを身に着けているのは気持ちが悪い。気持ちが悪いので、おむつをはずす。しかしそればかりではない。
 『トイレがしたい』とナースコールをくれる寝たきりの入居者もいた。しかし行ってみると、おむつははずされていて、パジャマやシーツは濡れて下のマットまでぐっちょり。他の用事を済ませてから当部屋に駆け付けたわけではない。どんなに急いで駆けつけても、はずしてあった。度々。
 当入居者の立場に立って考えてみる。尿意(おしっこがしたいという感覚)が分かる分からないは本人にしかわからない。しかし、その尿意があいまいな場合、尿がおむつの中に出始めた時、「あっ…トイレ」等と思って、気持ち悪くてはずしてしまうこともあるだろう。いや、実際は寝たきりでトイレには行っていないが、本人的にはトイレに行った気になっていて、はずしてしまったということも考えられる。トイレに行って排尿するときにはパンツを脱ぐ。その流れだけが習慣として残っているのかもしれない。ふむふむ。
 とにかく、病気等が原因で身体がダル過ぎるから常にゴロゴロと動いている。カテーテルや点滴、チューブ類の固定されているテープが痒くて気になる。ダル過ぎてどうしようもない。痒くて嫌だ。気になる、嫌だ、嫌だ、嫌だ…そしてもがく、何とかしようとする。その果てに、おむつをはずしたり、ストーマの装具をとるという行為がある。テープをはがし、点滴やチューブ類を抜いてしまう。気持ちはわかるよ、気持ちはわかる。でも、やられた方としては、余裕はなくなるし、非常に切なく、何より後が大変なのです。
 夜は職員が少ない。仮眠などで全員揃っていない時間帯もある。おむつはずしやチューブ類抜去などがありうると想定して、何度も部屋を訪室しても、起こるときは起こる…。これまで通り、その都度、対処するしかないのだろうか。とほほ。

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