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2年間のハードシングスと、苦難を乗り越えた10の経営判断|TABIPPO起業、9年目のリアル。

この2年間で自分の中に溜め込んでいた言葉と共に、僕らTABIPPOに何が起きて、いまどうなっているのかを書きなぐりました。10,000文字を超えているので、長いですが、ぜひTABIPPOに近しい人ほど読んでもらいたい記事です。(株式会社TABIPPO 代表取締役・清水直哉)

「TABIPPO、大丈夫?」

この2年間で、いったい何人から聞かれただろう。

新型コロナウイルスの影響は、観光・旅行業界にとってはあまりにも大きく、そのど真ん中で仕事をしている僕ら株式会社TABIPPOにも大きな影響がありました。あまりにも、大きすぎる影響でした。

そりゃ、みんな心配になったと思います。いろんな方から「TABIPPOは潰れちゃうのかと思った…」と言われましたし、コロナ以外にも大きな問題も置きました。2020年にコロナがやってきてからのこの2年間、たくさんのハードシングスが起きました。

コロナの影響で20年3月からの数ヶ月は、ほぼ売上がゼロ円。海外×観光の仕事ができなくなり、得意としていたイベントは企画も出来ず。あたらしい収益をつくるはずの、新規事業もすべて事業停止とすることを決断。

そして、なにより10年間ともに戦った仲間である創業者2名と、古くからの主要メンバー1名がTABIPPOを卒業するという、あまりにも大きな出来事がありました。(後述しますが、3名の退職はコロナと関係ありません)

2022年5月、GWが明けてこのタイミングでこうやってひさしぶりの文章を書いているのは、ようやく「乗り越えた」と胸を張って言えるようになったから。

おそらく、どう書いても長くなってしまうこのnoteの文章は、この2年間で僕らTABIPPOと、清水直哉に起きた出来事。そして、僕らがどんな努力をしたのか。それを記録として残しておくために、書いています。

株式会社TABIPPOと、清水直哉についてあまり知らない方はぜひこちらのnoteをみてもらえたら嬉しいです。

では、長い文章ですが、お付き合いください。

コロナ前の僕ら、TABIPPO。

2019年、コロナがやってくる前の僕らTABIPPOは順調な道のりを歩んでいたと思います。

正社員も15名くらいまで増え、売上も順調に伸びている中で、さまざまな新規事業も少しずつ成長して、次なる柱が出来上がっていくのが見えていました。

なにより、10年間積み上げてきたブランドを刷新して、コーポレートアイデンティティと共にアップデートを発表したことで、過去に積み上がってきた様々な失敗とお別れができたと感じていたことが大きかったです。

たくさんの方にご支援頂いたクラウドファンディングでも、800万円という大きな金額が集まり、次の10年という未来にワクワクしていたのが、2019年です。

そして、突如としてコロナがやってきました。


仕事がなくなり、売上がゼロになった20年の春。

2020年2月、いよいよただ事ではなくなってきたコロナが、僕らTABIPPOの仕事にも大きく影響を与えはじめました。

当時もいまも、株式会社TABIPPOの収益の柱は「BtoBのマーケティング支援事業」です。特に、2020年の春時点では「海外の観光マーケティングやプロモーション」に携わる仕事の割合が大きかったため「海外旅行」ができなくなったコロナ禍では、そのほとんどの仕事が一切なくなってしまったのです。

春先に、タイやハワイ、ドイツにミレニアルズの若者を送るために計画されていた企画はすべて白紙に。企業からの広告タイアップの出稿も一切なくなってしまったため、2022年3月からの数ヶ月にかけて、売上がほとんどゼロ円になってしまったのです。

2020年までは毎年、タイのバンコクで大規模なイベントを開催。2020年の3月にも開催予定でしたが、直前で中止を判断をしました。

また、当時の僕らはほとんどのイベントをリアルでオフライン開催をしていたため、得意なイベントの企画/運営も仕事として行うことができなくなりました。2022年、野外フェスや大規模なイベントはもちろん、年間で200回近く開催されていた全てのイベントを開催することが難しくなりました。

さらに、当時は「旅人採用」という旅好きな若者を就職・転職で企業に紹介するエージェントサービスを新規事業として立ち上げて2年が経っていたタイミングでした。事業は順調に成長して、成果も出始めて、ようやく収益化の目処がたった2022年春だったのですが、パートナー会社との協議の結果として、サービスを休止する決断をしました。

それ以外にも大きな影響はたくさんあります。月間200万人が訪れてくれていたWEBメディア「TABIPPO.NET」は通常の30%程度までトラフィックが激減。

旅行・観光に軸足をおいた事業ドメインにおいて、人の「移動」や「旅行」という手段が制限された社会において、僕らTABIPPOへの影響はあまりにも大きかったのです。

当時は毎日、暗いトンネルを歩いているような感覚でした。


創業者たちや仲間の退職。

また、僕やTABIPPOがたくさんの人から心配された大きな理由の1つに「創業者の退職」があると思っています。

かれこれ10年間一緒にTABIPPOをがんばり続けてきた仲間たちです。「え、2人とも辞めるの!?」と、僕ら会社のメンバー以上に周囲の人たちは驚いたと思います。

創業者の2名、小泉翔、前田塁は2010年の世界一周の旅路で出会った仲間です。学生時代に学生団体としてTABIPPOを立ち上げ、そこから数年ボランティアとして活動を継続していく中で、2014年に独立してTABIPPOを法人登記することに決めました。

そんな仲間が同じタイミングで卒業をすることになりました。実は2019年にはすでに話し合いの結果として退職することが決まっていたので、コロナのとかは関係ありません。

ただ、ちょうど退職をする2020年の春に、ちょうどコロナがやってくるとはおもいもしませんでした。本当に、なんで被せてきたのか、一生かみさまを恨みたいとおもってます(笑)

小泉&前田の創業者たちと訪れたロシアW杯。エモい。

ちなみに、全くもって喧嘩してお別れ、とかではありません。

小泉翔は、SHIBUYA CITY FCという渋谷区からJリーグを目指すサッカーチームの経営をやりたいという新しいチャレンジのために。前田塁は、スラッシュワーカーズやノマドニアといったフリーランスや個人のキャリアアップを支援する事業を展開。

2人とも、起業をして自分の力でがんばりたいという挑戦だったので、止めるわけにはいきませんでした。(僕は、オプトを退職して独立するときに、創業社長である鉢嶺さんや、上司である檜野さんなどに起業を応援してもらったことを未だに忘れることができません)

また、2021年の6月に篠原輝一も退職をしています。在籍年数も長い仲間だったので、驚いた人も多いかなと思います。退職理由などは、本人の個人的な事情があるためここには書けません。なにか聞きたいことがあれば個人的にご連絡をください。

苦楽の全てを共にしてきた仲間の退職は、もちろん寂しいです。ただ、僕個人のスタンスとしては「TABIPPOを卒業したい」と明言されてしまったら「引き止めはしない」と決めています。

社員合宿で訪れた韓国のパラダイスシティ。エモい。

人間は理想に向かって行動します。

その理想に向かうために、どこにいるべきか、なにをするべきか。そのためのベストとしてTABIPPOが存在できなくなってしまったとしたら、それは個人の問題ではなくて、経営者の問題です。起業家である家入さんのブログには「経営者の敗北」と書いてありますが、まさにそのとおりだと思うのです。

他にも、コロナの時期にたくさんの仲間が会社を去りました。それぞれいろんな退職理由がありました。間違いなく、ひとつひとつが「経営者の敗北」です。でも、1人だって、別れたいと思う仲間はいなかったし、また会社が大きくなったり成長をした時に、TABIPPOで働きたいと思ってもらえたら嬉しいなと思っています。

こうして、2019年の段階で15名ほどいた正社員は、一気に9名まで減ったのでした。

しかし、そこからがスタートでした。苦難とハードシングスと共に、僕らTABIPPOのコロナ禍での変革が始まります。


創業8期目で過去最高益を達成。人員も約30名に。

結果として、22年度は創業以来の過去最高益を達成することができました。売上の規模は、コロナ禍と変わらないのですが、仕事全体での生産性があがった結果として、利益ベースでは過去最高となりました。

採用の意思決定とアクションが遅れてしまったため、この1年間は降り注ぐ案件の量にたいして、人員が足りない状態がずっと続いてしまうという嬉しい悲鳴をあげながら仕事をしてきました。特に、BtoBマーケティング事業は少ない人員の中で、質の高い仕事をよくこなしてくれたと思っています。若いメンバーでも、よい仕事ができることが僕らTABIPPOの誇りです。

ようやく、あたらしいメンバーを採用することにも成功して、4月には新卒を2名ふくむ3名を採用することができました。9月にも追加で1名が仲間になってくれることが決まったので、2022年夏くらいには正社員が13名とコロナ前の人員規模に戻ることになります。

全員では集まれませんでしたが、久しぶりにみんなと会えた2022年3月・熱海

また、最近では「業務委託」としてフリーランスのメンバーの割合を意図的に増やしています。業務委託での契約は「雇用契約」ではありませんが、僕らの会社ではほとんど「雇用をする」というスタンスでそれぞれのメンバーと契約をしています。

そういったメンバーを含めると、会社全体としては約30名の規模の組織まで拡大しています。これだけのメンバーもいると、しっかりとした体制の中で、日々たくさんお問い合わせを頂けている仕事に対応している状態です。

ということで、どうやってこの危機を乗り越えたのか、なにを考えて、なにを意思決定して、どんなアクションを起こしてきたのか。

10の経営判断を、備忘録も兼ねて、このnoteに書き記したいと思います。

(まだ冒頭なのに、もうこの時点で4,000文字…ごめんなさい)

苦難を乗り越えた10の経営判断


▼事業編
01.復興のために必要なアクションを起こし続けた
02.強みと本質的な価値提供にフォーカスする
03.正しいポジションでブランドイメージを構築する
04.日本国内における観光・旅行の仕事を増やした
05.パートナーとビジョンを共創する

▼組織編
06.血の入れ替えで組織をアップデートした
07.事業を伸ばすための組織へ方針転換
08.はじめて経営チームの立ち上げた
09.組織のギルド化を推進してきた
10.中期ビジョンの策定やCIのアップデート

事業編と組織編の2つにそれぞれ分けられますが、まずは事業編からです。

01.復興のために必要なアクションを起こし続けた

まず最初に、コロナ禍で大打撃を受けた観光・旅行業界のために必要なアクションを起こし続けました。会社の売上が大変な時期でもありましたが、そういう時こそ「自分たちの会社のため」ではなく「みんなのため」に必要なアクションを起こすことに注力したのです。

コロナになってすぐに企画したWEBメディアと特集「TRAVEL at HOME」や「#わたしたちは旅をやめられない コンテスト」の企画などを展開。たくさんの観光事業者の方から喜びのお声を頂きました。

また、TBWA博報堂さんやPRTIMESさんと一緒に「観光復興ガイド」を企画・制作。100ページ以上にわたるスライド資料に観光復興に役立つ企画のタネを無料で配布しました。

売上にはならないのですが、業界のために、観光復興のためにアクションを起こし続けることで、会社としてのアクションを止めることなく、メンバーがコロナ禍でも一致団結して動くことができたのです。

もちろん、結果的に認知度もあがりましたし、この企画からのつながりがいろいろなお仕事につながることにもなりました。

改めて社会に求めてもらえる会社として、自分たちの存在意義も確認することができたと思っています。

02.強みと本質的な価値提供にフォーカスする

次に、改めてみんなでTABIPPOという会社・ブランドの強みを活かして、「本質的な価値」を提供できる活動にフォーカスすることを徹底しました。

これは人員が減って、リソースが不足しているという課題感だけでなく、中長期的には観光業界で課題となっている「生産性」を高くしていきたいという課題感を解決してくための打ち手でした。

この2年間の試行錯誤の中で、僕らTABIPPOの強みを活かせて、本質的な価値貢献ができることは、下記の5つだと認識付けました。

▼5つの価値提供
・レガシーではなくあたらしい旅をつくること
・20-30代のミレニアルズ=若者に特化すること
・コミュニティがもつ力で観光をエンパワメントすること
・次世代とサステナビリティに貢献すること
・アーリーアダプターをコアターゲットとすること

例えば、旅行を企画販売することなどは、たくさんの旅行会社ができますし。40代以上のファミリーやシニアの方をターゲットとしたサービスは他にもたくさんあります。

TABIPPOが強みを活かせることだけに、注力する。あたりまえに大切なことを、改めてみんなで議論することで、フォーカスすることが出来たのです。


03.正しいポジションでブランドイメージを構築する

本質的な価値や強みを明確にした上で、それが周囲にちゃんと伝わっていくことも大切です。いわばマーケティングにおけるブランディングの領域で、ブランド価値を向上させていくために、イメージづくりを大切にしました。

もちろん、ブランディングというのは「実」が伴うことがいちばん重要ですので、ただうわべを発信をするたけでなく、しっかりと事業やプロジェクト、さまざまな企画などと共にしっかり内容が伴う形での発信をし続けました。

みなさんは、TABIPPOといえばどんなブランドをイメージしますか?

「あたらしい旅の企画やプロジェクトといえば、TABIPPO」
「20-30代の旅行好きな若者といえば、TABIPPO」
「コミュニティに面白い仲間が集まりそうな、TABIPPO」
「サステイナブルツーリズムといえば、TABIPPO」
「若いメンバーで業界をリードしようとしてる、TABIPPO」

こういったイメージは、この数年でブランドイメージを積み上げることで、あたらしく認知されているTABIPPOのイメージだと思います。

昔は「世界一周」「バックパッカー」「絶景」「ひとり旅」「海外旅行」のようなキーワードで想起されていたのがTABIPPOブランドなのですが、この数年で一気にブランドイメージを変えることができたと思っています。

その結果、僕らが本質的な価値提供ができる仕事がたくさん頂けているというのが、現状です。

--- ここからCMです(*´ω`*)! ----

TABIPPOが運営するニューノーマルトラベラーが育つ学校「POOLO」が、2022年度の募集を開始しました。「あたらしい旅が、自分と世界の豊かさをつくる」をミッションとして、世界中を旅した経験をもつミレニアルズを次世代を担う人材へ育てます。キャリアデザインと次世代リーダーをテーマとした2種類のコースを用意していますので、ぜひ興味のある方はご参加ください!

---- ここでCMは終わり ----


04.日本国内における観光・旅行の仕事を増やした

「TABIPPOって、海外旅行が専門の会社ですよね?」と、コロナ前にはよく言われていました。コロナ前から「国内旅行」を取り扱う仕事は一定の割合ではしていましたが「海外旅行」のイメージがとても強かったのです。

事実として、創業以来TABIPPOが強かったのは「海外旅行」の仕事です。世界中の政府観光局や、海外の航空会社、グローバルOTAなどのお仕事に関わることがおおく、実際に売上の70-80%を海外旅行に関する仕事が占めていました。

観光局というのはいわゆる、ハワイ州観光局、タイ国政府観光庁、オーストラリア政府観光局、マレーシア政府観光局、ドイツ観光局、イタリア観光局、ニュージーランド政府観光局、イリノイ州観光局、などです。

それが、コロナ禍でいっきに海外旅行の仕事は出来なくなってしまいました。いまでも、お仕事はたくさんしていますし、2022年になって一気に仕事の依頼も増えてきたので、海外旅行が戻ってきたのを実感しています。

そうなった時に、かねてから増えていた国内旅行に関わる仕事を増やせるように舵取りを行いました。

そうした結果、2022年の春時点では逆に70-80%の仕事が「国内旅行」に関する仕事とすることが出来たのです。日本全国の自治体や観光協会と一緒に
取り組むことや、地域でまちづくりや観光に関わるキープレイヤーの方々とご一緒することが多く、自治体だけではなく、例えば観光庁や環境省にプロジェクトとして実証実験などに多く取り組んでいます。

観光マーケティング戦略の立案にも携わった長野県松本市にある乗鞍高原 photo by 西脇謙志

この2年間で、日本全国さまざまな地域の仕事をしましたが「あたらしい旅をプロデュースする会社」として観光マーケティングの策定など上流から関わるお仕事や、モニターツアーの企画、プロモーションの実施など、やりがいのある仕事ばかりです。ここでも、もちろん上述したTABIPPOの強みや本質的な価値を提供できることを強く意識しています。

ちなみに、国内旅行の仕事においても、世界中の海外旅行の経験が豊富なメンバーが働いているという強みが活きます。地域や観光地の魅力を切り取るために、風の人として、外からの客観的な視点をもちながら観光をプロデュースすることが重要になってくるのです。


▼国内旅行に関わる仕事(21-22年実績)

▼海外旅行に関わる仕事(21-22年実績)


05.パートナーとビジョンを共創する

TABIPPOが大切にしている価値観(=コアバリュー)として「ビジョンの共創」という言葉があります。

TABIPPOの理念は、会社の想いだけでは実現できません。働く1人ひとりの想いや熱量、関わる全ての人たちがもつ理念への共感や応援を形にすることで、ビジョンを共に創りあげていくことを最重要の価値観として経営をしています。

そういった意味でも、このコロナ禍では「自分たちだけでやろうとせずに、業界の中で個人・企業と手を取り合って取り組む」ことに力を入れました。

具体的には「餅は餅屋」、自分たちが本質的な価値提供できない部分に関して「パートナー提携」という形で手を組みながら、さまざまなプロジェクトを進めています。

旅のサブスクHafHとのTABIPPOの提携。全国でトラベルウィークという「#つながる余白をつくる旅」をコンセプトにしたツアー型イベントを開催。今後もあたらしい旅を広めていきます。

また、ミレニアルズ×サステイナブルツーリズムをテーマとして北海道エアポートと連携したり、遊休地の活用によって地域課題を解決するために、KLC社&フィールドマッチングとの提携など。さまざまな提携が進みました。


それ以外にも、同じビジョンに向かっている様々な事業者と連携するために、下記のようなコミュニティと連携する動きもどんどん加速しています。


「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」という有名なアフリカのことわざがありますが、まさにそのとおりだともうのです。

大きなビジョンである「旅で世界を、もっと素敵に」という世界観を実現するために、共感してくれるみなさんと一緒に、今後も共創していければと思っています。

ここまでが「事業編」ここからは「組織編」です。

長くなってきましたね・・・(もう8,000文字・・・)


06.血の入れ替えで組織をアップデートした

冒頭でも書きましたが、コロナの前後で創業者を含めた主要メンバーがごっそり会社からいなくなりました。正直、既存メンバーへの負荷もかなり高くなってしまい、かなり大変な時期は長かったです。

ただ、結果としてこの時に創業メンバーや長く在籍したメンバー、他にも数名が抜けたことが、いま残っているメンバーにとっては成長をして、次のステップにいくための良い機会になりました。

まさに「血の入れ替え」に成功したなと思っています。

この半年で、あたらしいメンバーを採用することにも成功して、4月には新卒を2名ふくむ3名を採用することができました。9月にも追加で1名が仲間になってくれることが決まったので、2022年夏くらいには正社員が13名とコロナ前の人員規模に戻ることになります。

新卒として4月に入社した2名。2人とも世界一周を経験しているのが、TABIPPOらしいところ

特に、若いメンバーが活躍しているのが嬉しいところ。新卒から入社して3年目になっているメンバーや、コロナ禍に入社した女性の若手メンバーが、大活躍中です。

創業メンバーなど主要なメンバーがいなくなって、若いメンバーが中心でも、過去最高益。それがいまのTABIPPOの強さです。

人材マネジメントには「代謝」という考え方がありますが、まさにその重要性を認識できた2年でした。いま、会社に残っているメンバーで長く在籍しているメンバーたちは「いまのTABIPPOが、入社してから今までで1番よい状態だね」と口を揃えていっているくらいです。

長くTABIPPOをみてくれている知人たちも「創業メンバーみんないなくなっても、成長し続けてるのはすごい」って言ってくれて嬉しい限りです。もちろん、今後は退職者ができるだけ、でないような会社を目指していきますが、それ前提でも今後は血の入れ替えを少しずつやっていくべきなんだなと思っています。


07.事業を伸ばすための組織へ方針転換

これを書くと「当たり前だろ!」って思われるかもしれないのですが、組織づくりにこだわりとポリシーのあるTABIPPOには、なかなか難しいことでした。

TABIPPOには創業以来、決めていることがたくさんあります。

例えば「上場はしない」「会社を売らない」などの会社経営の根本に関わることや、組織構造として「ヒエラルキー構造をつくらない」「上下関係はなし」「役職もなし」というような決め事、ポリシーとして「管理はしない」「フラットでオープン」などです。

もちろん時代背景を踏まえた戦略的な側面もありますが、基本的な考え方のベースは、創業者としての清水直哉のエゴと想いからきています。

そんな中で、まずは事業をしっかり伸ばすために組織をつくろう。ということに立ち返って、意思決定をしていく方針に展開していきました。ベースとしては自律分散な組織という大方針は変えずに、どうやったら事業を伸ばすための、組織であるかを議論しつづけたのです。

この2年間、ほとんど「組織づくり」に関する議論はしてこなかったのですが「事業を伸ばすために」という議論に集中することで、組織のポジティブな状態を保ちつつ、事業を伸ばしていくことができたのかなと思っています。

08.はじめて経営チームを立ち上げた

4月に出したプレスリリースにたくさんの反響を頂いたのですが、創業以来はじめて経営チームを立ち上げて、恩田・浦川の2名に執行役員となってもらいました。

2人とも長くTABIPPOで働いてくれている仲間です

「あれ、TABIPPOでヒエラルキーつくらないんじゃないの?」「役職とかつくらないって言ってたよね」「TABIPPOっぽくない・・」

というような反応も頂いたのですが、僕らが立ち上げた経営チームはあくまで「役割」として、責任領域を明確にしたものであり、組織全体の「上に位置」するわけでもありません。

具体的には、下記のようなポイントを抑えた上で経営チームができたことによって「ヒエラルキーな構造」にならないように注意しています。

  • 事業やPJの責任は基本的にすべて現場に権限がある

  • あくまで難しい意思決定をサポートする役割

  • 全社横断したPL/CSの数値達成などには責任をもつ

  • 経営チームの流動性を担保したいので任期を設けている

  • 2名もずっと執行役員をやることにこだわっていない

  • 若手を抜擢も含めてあたらしい経営チームに今後していきたい

  • 経営チームのミッションは「会社の可能性を引き上げる」

  • 運営方針① 自分たちをブレイクスルーさせる

  • 運営方針②フラット&オープン

  • 運営方針③全員経営のハブとして機能する

実は、リリースをする半年前くらいから経営チーム自体は動いていて、ある一定の成果も出てきたところです。


09.組織のギルド化を推進してきた

もともと業務委託で働くメンバーも多かったのですが、この2年でさらに、積極的な複業人材の採用やジョブ型雇用を推進してきました。

現在のTABIPPOのメイン事業である観光マーケティング支援事業やコミュニティ事業を進める上で、事業者・消費者と業界に新たな価値を生み出していくリソースや、エネルギーを持っているイノベーター・アーリーアダプター層と共創していくことが重要だと考えているからです。

だからこそ、業務委託やプロボノといった形で他社や個人で活躍する人材を巻き込み、これまで以上に多くの人と共創していくために、ギルド型の組織づくりに取り組んできました。

業務委託とか正社員とか関係ない世界観をつくっていきたい。

気がつけば、会社で働く半分くらいのメンバーが業務委託という形態で働いてくれています。このメンバーは単発で業務を依頼しているわけではなく、中長期的な契約が前提になっているので、契約上は雇用契約ではなく、請負契約ではありますが、会社経営者の視点でいうと概念的には「雇用」をすることとほぼ同義だと捉えています。

これからも、複業でTABIPPOに関わりたいと思ってくれている方には、どんどん仲間になってほしいなと思っているので、ぜひご連絡ください。

プレスリリースもでているので、ぜひご覧ください。


10.中期ビジョンの策定やCIのアップデート

最後に、中期ビジョンの策定とCI(コーポレートアイデンティティ)のアップデートです。この半年間、かなり時間をかけて仲間たちと認識をすり合わせながら、あたらしい夢を設定しました。

TABIPPOのビジョンである「旅で世界を、もっと素敵に。」という言葉はかなり社内外にも浸透してきたのですが、あまりにも壮大なビジョンであったため、コロナ禍で経営も不安定になった時に、もう少し足元で目指すべきビジョンを見定める必要があると感じました。

具体的には下記のプレスリリースを見て頂ければと思いますが、解像度をあげることができたので、いまは全社として進むべき方向が明確です。

僕らの会社は「ビジョン」を1番大切にしている会社です。

だからこそ、会社経営が不安定なタイミングには、初心に立ち返ることが大切だなと。改めて感じています。


最後に。


長くなってしまいましたが、これが清水直哉とTABIPPOの創業9年目の、リアルです。

たくさん、辛いことがありました。

たくさん、仲間を失いました。

たくさん、期待を裏切りました。

ハードシングスという言葉がぴったりなくらいには、どん底な2年間を過ごしたと思っています。もちろん、ここには書けない、本当に書けないネガティブな出来事もたくさんあったんです。

でも、それを乗り越えられたからこそ、いまみえる景色があります。いま、見える未来があります。

「2年間のハードシングスと、苦難を乗り越えた10の経営判断|TABIPPO起業、9年目のリアル。」

なんて、大それた記事タイトルをつけてしまいましたが、いまだから書ける文章になってるんじゃないかなと思っています。

ぜひ、これからも株式会社TABIPPOと、清水直哉をよろしくおねがいします。

--- 最後にまたCMです(*´ω`*)! ----

TABIPPOが運営するニューノーマルトラベラーが育つ学校「POOLO」が、2022年度の募集を開始しました。「あたらしい旅が、自分と世界の豊かさをつくる」をミッションとして、世界中を旅した経験をもつミレニアルズを次世代を担う人材へ育てます。キャリアデザインと次世代リーダーをテーマとした2種類のコースを用意していますので、ぜひ興味のある方はご参加ください!

---- ここでCMは終わり ----

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