友チョコ義理チョコ本命チョコ

好きな人やお世話になっている人、友人や家族
渡したい人それぞれを思い浮かべて渡すチョコレート
感謝の言葉も添えて、ぬくもりあるプレゼント。

小さい頃は家族に、学生時代は友人や恋人に
大人になってからは仕事先の人へ
２月１４日はなんだか照れくさい甘酸っぱい思い出から
ほろりほろ苦い思い出までカラフルな思い出が次々浮かんでくる。

子どもの頃、バレンタインデーになるとクラスの女の子も男の子も
はたまた先生たちもいつもよりそわそわした空気。
特別好きな男の子もいなかった自分は遠巻きにその情景を眺めながら
チョコレートもらって嬉しいもんかねぇ。
と少し冷めたような大人びたフリをしていた。

いや、大人びたフリではなく子ども過ぎたのかもしれない。
好意や感謝を伝え、その気持ちを受け取る、
そんな感情のやりとりの心地よさを想像出来ず
周りの子達が恋バナで盛り上がっているのを
頭に｢？｣が浮かんだままぽかんと聞いていた。

そんな子達の恋バナがやっと分かるようになった学生時代
好きになった人へ思い切って気持ちを伝えようと、友人に協力してもらって初めてのお菓子作り。
不慣れな手で時間をかけてチョコレートマフィンを作った。
告白の返事よりもマフィンの出来がどうだったかの方が気になって仕方なくて、好きと伝えようとしたのに
｢おいしかったかどうか教えて！｣と言ってしまったばかりに、
好きだった男の子は自分が味見を頼まれたと勘違いしてしまったらしく、
次の日｢めっちゃおいしかったで。やるやん！これで告白したらイチコロやで！がんばれよ！｣
と言われてしまった。

｢イチコロにしたいのはおまえやーー！｣
と心の中で叫び回り、
しかしながら今更告白するなんてめっちゃ気まずいやん。
と必死にあれこれ暴走する心の言葉を押さえ込みながら
｢ありがとう。....でも兄貴にあげるやつやから。｣とぼそっと早口で言ってしまった。

なーーーぜーーーー。
なぜこうなったぁぁぁ。
その日の晩は悔し涙で枕を濡らした。

大人になってからは
少し良いチョコレートを買えるようになったので、手作りをすることは減った。
大袋を買ってちょこちょこ渡すのではなく、
百貨店などで色々なチョコレートを見ながら
渡すひとりひとりのイメージにあったチョコレートを選ぶようにした。

真っ白な箱にきちっと詰められた綺麗なチョコレートは真面目なあの人へ、
海外の絵本の表紙のようなパッケージに色んな形のチョコレートはファンタジーが好きそうなあの人へ、
赤と黒の正方形の箱にポップな色のフルーツ味のチョコレートはいつも元気で明るいあの人へ。

案外あの人っぽいなぁと連想させるチョコレートがあるもので選ぶのも
渡したときの笑顔や驚きの表情を見られるのもとても楽しい。
昨年と今年は友人たちになかなか会えないので渡せなかったけれど、
来年はまたあなたのキャラクターに似合うチョコレートをプレゼントしたい。

いつもありがとうの友チョコ
お世話になっておりますのお仕事チョコならぬ義理チョコ
大好きとこれからもよろしくの本命チョコ
どれも素敵な気持ちのプレゼント。
好意も感謝もまっすぐに届けていきたい。

そして今年は結婚して２度目のバレンタインデー
学生時代のほろ苦メモリーを思い出しながら夫にケーキを作った。
今日は味より先にありがとうの気持ちを伝えて。