厚生労働省が公開する医療機関情報の分析に役立つデータ(過去のリスト・施設基準届出情報・病床機能情報)を医療機関リストと紐づける3つのポイント
厚生労働省のホームページから医療機関の基本的な情報から分析に役立つ情報の「一覧」を無料でダウンロードすることができます。
「一覧」と聞くとExcelで開くことができる表を想像するかもしれませんが、実際には非常に扱いにくいデータが存在します。
例えば、膨大な量のデータのため、一般的な事務用のPCでは処理しきれないことがあります。また、データの構造が異なり、紐づけるために多くの時間と人的リソースを割く必要があります。そうならないために、作業をスムーズに進められるよう、作業を始める前に抑えておきたいポイント、各情報の内容・紐づけのキーとなる項目・注意点を解説します。
紐づける3つのポイント
各データの構造を理解する
キーとなる共通項目を見つけ、紐づける
膨大なデータを処理できるPCを用意する
データの活用例
研究資料として
自社の製品の営業リストとして
医療関係者の転職支援として
分布や特徴を把握し、市場調査や事業展開の参考にする
代表的な医療機関情報
①保険医療機関・保険薬局の指定一覧 医療機関リスト(通称)
医療機関の名称や医師数、開設日、診療科目など基本的な情報
②施設基準届出情報
受理番号を中心とした、施設基準の一覧 FAX番号有
③病床機能情報
有床診療所・病院が対象 施設内の人員、病棟の設備等の一覧 MRI・CT台数 前年度入院患者数有
①保険医療機関・保険薬局の指定一覧 医療機関リスト(通称)
厚生労働省管轄の地方厚生局が保険医療機関・保険薬局の指定状況を都道府県ごとに公表している一覧表
掲載情報
情報基
地方厚生局 保険医療機関・保険薬局の指定一覧URL
北海道厚生局https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/gyomu/gyomu/hoken_kikan/code_ichiran.html
東北厚生局(青森県・岩手県・宮崎県・秋田県・山形県・福島県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/gyomu/gyomu/hoken_kikan/itiran.html
関東信越厚生局(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/shitei.html
東海北陸厚生局(富山県・石川県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/newpage_00287.html
近畿厚生局(福井県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/tyousa/shinkishitei.html
中国四国厚生局(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/chousaka/iryoukikanshitei.html
四国厚生局(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/gyomu/gyomu/hoken_kikan/shitei/index.html
九州厚生局(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/index_00006.html
難易度・注意点
★★★★☆
・手作業で作成すると膨大な工数がかかる
・年に1回くらいの頻度で、どこかの厚生局がダウンロードリンクを変えることがある
・3か月に1回くらいの頻度で、いずれかの都道府県のファイル命名ルールが変わることがある
・その他にもマナーチェンジが繰り返されるため、自社で作成(もしくは外注)した一覧化システムの改修が必要になる
弊社開発システムで一覧化したサンプルはコチラ
過去の医療機関リストと現在の医療機関リストを紐づけるキーワード
医療機関コード
市区町村&名称
電話番号
過去の医療機関リストはどこにある?
多くの各厚生局の掲載期間は1か月です。
そのため、過去の医療機関一覧の自社で作成し保管しておく。保管している業者から手に入れる。となります。
※弊社では、2018年から毎月保管しています。
厚生局名掲載期間北海道1か月東北1か月関東信越1か月東海北陸1か月近畿1か月中国四国1か月四国1か月九州7か月
難易度・注意点
★★★☆☆
・データが古ければ古いほど、難易度が上がる
②施設基準届出状況
施設基準の届出受理状況の一覧
施設基準とは?
診療行為の中には、保険医療機関が一定の人員や設備を満たす必要があり、その旨を地方厚生局に届け出て初めて点数を算定できるものがあります。
この満たすべき人員や設備を施設基準といい、点数表とは別に厚生労働大臣告示が定められ、また細かい取扱いが通知で示されています。施設基準の届出が必要なものには、点数表に「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局等に届け出た~」という一文が入っています。
出典:施設基準等の届出に関するよくあるご質問【医科・歯科】 関東信越厚生局新潟事務所
掲載情報
中でも注目は、「FAX番号」と「受理届出名称」
「受理届出名称」には、「オンライン診療」「在宅支援診療所」を判明させる項目有
届出受理医療機関名簿の受理番号欄における略称一覧https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/ryakusyo0503.pdf
出典:関東信越厚生局
地方厚生局 施設基準届出状況URL
北海道厚生局https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/gyomu/gyomu/hoken_kikan/todokede_juri_ichiran.html
東北厚生局(青森県・岩手県・宮崎県・秋田県・山形県・福島県)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/gyomu/gyomu/hoken_kikan/documents/201805koushin.html
関東信越厚生局(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/kijyun.html
東海北陸厚生局(富山県・石川県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/newpage_00349.html
近畿厚生局(福井県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/gyomu/hoken_kikan/shitei_jokyo_00004.html
中国四国厚生局(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/chousaka/shisetsukijunjuri.html
四国厚生局(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/gyomu/gyomu/hoken_kikan/shitei/index.html
九州厚生局(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/index_00007.html
紐づけるキーワード
・医療機関コード
難易度・注意点
★★☆☆☆
・医療機関コードは、名称、住所、電話番号、管理者等の変更にともない毎月数百件の変更がある
・医療機関リストと比べ簡単に一覧化できますが、情報量が膨大なため、処理能力の優れたPCが必要
③病床機能情報
病院・有床診療所、病床を持つ医療機関の施設内の人員、病棟の設備等の一覧
中でも注目は、MRI・CT台数 前年度入院患者数
病床機能報告制度について
病床機能報告制度とは、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号)により改正された医療法(昭和23年法律第205号)第30条の13に基づいて実施する制度です。
出典:厚生労働省 病床機能報告
掲載情報
診療所票
①オープンデータ医療機関コード ②医療機関名 ③都道府県コード ④構想区域コード ⑤構想区域名 ⑥市町村コード ⑦市町村名称 ⑧オープンデータ病棟コード ⑨病棟名 ⑩設置主体 ⑪医療機能 ⑫有床診療所の病床の役割 ⑬許可病床数・最大使用病床数等 ⑭一般病床・療養病床で算定する入院基本料別の届出病床数 ⑮職員数 ⑯主とする診療科 ⑰入院患者数の状況 ⑱入院前の場所・退院先の場所別の入院患者の状況 ⑲退院後に在宅医療を必要とする患者の状況 ⑳在宅療養支援診療所の届出の有無 ㉑往診、訪問診療を行った患者延べ数 ㉒看取りを行った患者数 ㉓分娩件数(正常分娩、帝王切開を含む、死産を除く) ㉔救急医療の実施状況 ㉕リハビリテーションの状況 ㉖医療機器の台数 ㉗退院調整部門の設置状況
病棟票
①オープンデータ医療機関コード ②医療機関名 都道府県コード ③構想区域コード 構想区域名 ④市町村コード ⑤市町村名称 ⑥オープンデータ病棟コード ⑦病棟名 ⑧建物情報 ⑨医療機能 ⑩許可病床数・最大使用病床数等 ⑪一般病床・療養病床で算定する入院基本料・特定入院料及び届出病床数 ⑫病棟部門の職員数 ⑬主とする診療科 ⑭入院患者数の状況【令和2年4月1日~令和3年3月31日の1年間】 ⑮入棟前の場所・退棟先の場所別の入院患者の状況 ⑯退院後に在宅医療を必要とする患者の状況 ⑰分娩件数(正常分娩、帝王切開を含む、死産を除く)(年間) ⑱一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合 ⑲リハビリテーションの状況
紐づけるキーワード
・市区町村&医療機関名
市区町村&医療機関名にする理由
医療法人名を含む医療機関名称の命名ルールは、管轄の自治体の定めにより多少異なります。
しかしながら、多くの自治体はガイドラインとして”既存の名称(隣接地域にあるものを含む)と、同一又は紛らわしい表記は避けてください。”としています。実際に、一覧化した医療機関リストを調査すると同一市区町村に重複する医療機関名はありません。
難易度・注意点
★★★★★
・病床機能報告には詳細な住所は無い
・キーとなる”市町村名称”は機械的に切り取った市区町村名と異なる場合がある
例 亀田郡七飯町→七飯町、大阪市東成区→大阪市城東区
・基本的に年に1回の更新のため、変化が多い医療機関の情報と紐づけることが困難で、専門的な知識を要する
まとめ
厚生局公表の医療機関情報と施設基準届出情報は、一か月に一回更新。病床機能報告は一年に一回。
一時的に必要な場合、時間をかければ作成することができます。しかしながら、継続的に必要になる場合は、自社にシステム開発、および改修ができる人を専属で配置することが望ましいでしょう。なぜなら、一覧化するシステムを作成した上で、厚生労働省の変化のたびにシステム改修が必要になります。
更に、医療機関リスト、施設基準届出を作成するには月に2回の作業。併せて、病床機能報告は年に1回。最新の医療機関リストと紐づけし更新する作業も必要になります。このような作業を弊社では、2018年から5年以上継続しています。日々、ノウハウを蓄積しデータの精度、作業効率の向上をしています。
最新のリストを手間なく、今すぐ手にいれたい。
過去の医療機関リストを用いて過去比較をしたい。
といったニーズにもお答えできますので、ぜひエグゼメディカルのホームページにいらしてください。