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病院市場の新ビジネスチャンスを狙え!市場調査の必要性とその効用

病院向けに新規事業を展開する際、市場調査は不可欠です。また、既存事業を維持拡大し続けるためにも市場リサーチやアンケート調査などの市場調査はとても有用です。常に顧客に耳を傾け、自社製品・サービスの改善や機能追加、フォローを行っている会社は圧倒的なシェアを誇っています。

しかし、実際に市場調査を計画的に行っている企業は意外に少ない印象です。市場調査とは顧客の声を聴くことです。激しい環境変化に伴い病院や診療所で働く医療従事者の意識の変化も激しくなっています。現場のニーズに目を向け、企業側から積極的にヒアリングを行うことが、これからさらに求められていくと私たちは見ています。

そこで本記事では、病院市場でビジネスチャンスを見つけ、あなたの会社が生き残り続けるために必要な市場調査の必要性について解説します。

事業の成長を目指す際に市場調査や分析が重要な理由

市場リサーチやアンケート調査などの市場調査や市場分析を継続的に実施し、その結果に基づいた改善を行うことで、自社の事業成長を促進することができます。例えば、顧客からのフィードバックを元に製品やサービスの改善を行うことで、顧客満足度を向上させ、リピート率や口コミ効果を高めることができます。

また、病院向け事業を展開する競合他社の状況や病院市場トレンドの変化に対応し、新たなビジネスチャンスを見つけ積極的に取り組むことで、市場シェアを拡大することができます。さらに、自社の強みや弱みを把握し、それを補完する戦略を検討することで、競争力を維持し続け事業成長を促進することができます。

新たなビジネスチャンスを見つけるためには、市場の未開拓領域や新たな需要を開拓することも重要です。調査結果を分析し、市場の未開拓領域や新たな需要を発見することで、自社の事業領域を拡大することができ、新たなビジネスチャンスを見つけることができるかもしれません。

市場調査を行わない企業は不利

市場環境の変化や競争の激化に伴って顧客ニーズや市場動向が急激に変化することがあります。先のパンデミックはその顕著な例でした。パンデミックが無くても、人口減少や医療のデジタル化、国際秩序の変化により、「風が吹けば桶屋が儲かる」といった現象は常に生じています。

企業が自社製品やサービスの需要、市場規模を正確に把握しない場合、新たな需要を見逃す可能性が高くなります。また、競合他社が市場調査を行い、顧客ニーズに合わせた製品やサービスを提供することで、市場シェアが知らない間に奪われてしまうことは日常茶飯事と言っても良いでしょう。

そのため、市場調査を行わない企業は知らない間に不利になる可能性が高くなり、「茹でガエル」になる危険性と常に隣り合わせです。

市場調査の主な目的

病院市場は企業にも高度な専門性を求められますし、外からでは病院の真の姿を見ることが困難です。そのため、現場ニーズをより深堀りするために、市場調査が必要になります。特に、厚労行政の方針転換に伴う病院の意思決定トレンドやひしめき合う競合他社の状況を把握することは極めて重要です。

(1)市場動向分析

市場のニーズやトレンド、顧客の動向などを分析することで、自社製品やサービスの改善点や新たなビジネスチャンスを発見することができます。また、今後の事業戦略の立案に役立てることができます

(2)新規ビジネスチャンスの発掘


新しい市場ニーズやトレンドを発掘することができます。これにより、新規ビジネスの機会を見出すことができ、既存の製品・サービスを改善し、新しい製品・サービスを開発することができます。

(3)競合分析

競合他社の製品やサービス、マーケティング戦略などを分析することで、自社の強みや弱みを把握することができます。また、競合他社の戦略を参考にすることで、自社の戦略の改善点を見つけることもできます。

(4)戦略的意思決定の支援

市場調査により得られたデータや情報を基に、戦略的な意思決定をすることができます。これにより、ビジネス成長のための具体的なアクションプランを策定することができます。

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市場分析の主な方法

市場調査や分析には、定性的調査と定量的調査の2つの方法があります。

定性的調査では、顧客のニーズや評価について、深く掘り下げた調査が可能であり、定量的調査では、数値化したデータを取得することができます。これらの調査方法を組み合わせることで、より正確な情報を得ることができます。

定量調査

数値化されたデータを収集する方法で、アンケート調査が代表的です。定量的なデータを収集することで、より客観的に市場の傾向を把握することができます。

アンケート調査は無作為にFAXやメールを送るよりも、対象者へ電話で調査への協力依頼に合意してもらってからFAXやメールを送るほうが回収率もデータ精度も向上します。

定性調査

対象の主観的な情報を収集する方法で、インタビューやフリーフォームのアンケートなどがあります。定性的なデータを収集することで、市場の背景や動向を深く理解することができます。

市場調査には仮説が必要

市場調査や分析を実施する前に必要になるのは「仮説」です。この仮説の精度が、調査結果に大きく関係しますので、実施の目的や何を明らかにすれば、事業成長につながるのかをしっかり見極めましょう。

以下は、病院市場において製品やサービスの需要が増える見込みのある分野を調査するために市場調査を実施する場合の仮説の一例です。参考にしてください。

<調査設計時の仮説の例>
・高齢化社会の進展により、慢性疾患患者が増加し、慢性疾患管理に関連する製品やサービスの需要が増える。
・新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染症対策に関連する製品やサービスの需要が増える。
・医療技術の進歩により、手術や治療の精度が向上し、その精度を担保するための周辺医療用具や装置の需要が増える。
・医療費の抑制により、診療時間の短縮や医療費削減に貢献する製品やサービスの需要が増える。
・医療従事者の労働環境の改善思考の拡大により、ストレスや疲労の軽減に関する製品やサービスの需要が増える。

これらの仮説に基づき市場調査の設計を行うことで、需要が増える見込みのある分野を特定し、製品やサービスの開発や提供に役立てることができます。具体的には、医療従事者や患者を対象にしたアンケート調査や、業界関係者へのインタビュー調査、統計データの分析などが有効な手段となります。

経営判断のための市場調査の例

中長期の経営戦略を検討するために例えば、SWOT分析の精度を高める時にはこのように仮説を立て、それを確かめる調査を行うことができます。

ここでは、仮に問診システムのメーカーが自社の事業領域を軸にSWOT分析を行う場合、以下のような仮説を立てます。なお、この仮説の粒度は一番粗いものです。さらにテーマを絞って仮説を立てると、もっと細かい粒度でのさらに具体的な仮説検証ができるでしょう。

<SWOT分析を使った仮説の一例>

【S(Strengths)- 強み】
自社の問診システムは、高い信頼性と精度があるため、医療機関から高い評価を得ている。
自社の問診システムは、顧客のニーズに合わせたカスタマイズが可能であり、顧客満足度が高い。
【W(Weaknesses)- 弱み】
自社の問診システムは、導入コストが高く、一部の医療機関にしか導入されていない。
自社の問診システムは、新しい機能の開発に遅れがあり、競合他社に比べて機能的な差別化が図れていない。
【O(Opportunities)- 機会】
医療分野におけるICTの進化に伴い、問診システムの需要が拡大している。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、遠隔診療の需要が増加しており、問診システムの需要が拡大している。
【T(Threats)- 脅威】
競合他社から新しい問診システムが開発されている。
医療費削減のため、医療機関が問診システムの導入を控える傾向がある。

このような分析を行うことで、自社の強みや弱みを把握することができ、市場の機会や脅威を分析することができます。

自社の問診システムの弱みとして、導入コストが高いことが挙げられます。この弱みに対して、自社の問診システムをクラウド型かつリモートセットアップ、リモートサポートに力を入れることで、導入コストを抑えることができるかもしれません。

また、自社の問診システムの機能的な差別化が図れていないことを改善するために、新しい機能の開発や提供するサービスの拡充を検討することも重要です。

既存顧客へのアップセルを検討する時の市場調査の例

アップセルとは、当該製品に付随するオプション製品や機能を追加で買ってもらうことです。既存顧客へのアップセルの可能性を広げたい場合、以下のような仮説に基づいて市場調査を行うことができます。

(1) 顧客のニーズを理解する

顧客が何を求めているのか、どのような問題を抱えているのかを把握するため、顧客の意見やフィードバックを収集することが必要です。また、競合他社が提供している類似の商品やサービスを調査することで、顧客が求めているものが何であるかを把握することができます。

(2)既存の製品やサービスの改善点を把握する

既存の製品やサービスに対して、どのような改善点があるかを把握することで、アップセルの可能性を広げることができます。顧客からのフィードバックや競合分析によって、既存製品やサービスの改善点を把握することができます。

(3)顧客の購買行動の傾向を分析する

顧客がどのようなタイミングで商品を購入しているのか、どのような商品を一緒に購入しているのかなど、顧客の購買行動に着目して分析することで、アップセルの可能性を広げることができます。

(4)価格帯の調査を行う

アップセルの可能性を広げるためには、価格帯についても調査が必要です。価格帯によって、顧客の購買行動にどのような影響があるのかを調査することができます。

以上のような仮説に基づいて市場調査を行うことで顧客ニーズを把握することができ、アップセルの可能性を広げることができます。

既存顧客へのクロスセルを検討する時の市場調査の例

クロスセルとは、当該製品とは異なる製品やサービスを既存顧客に追加で買ってもらうことです。クロスセルの可能性を広げるためには、以下のような仮説に基づく市場調査が有効です。

(1)顧客のニーズの理解

既存の顧客に対して、アンケート調査や顧客データ分析を行い、自社製品以外のどのような商品やサービスを求めているか、またどのような行動を取っているかを理解します。これにより、彼らが興味を持つ可能性の高い追加商品やサービスを見つけることができます。

(2)製品やサービスの関連性の分析

既存製品やサービスを分析し、お客様が同時に使用する可能性の高い商品やサービスを見つけます。たとえば、読影システムの場合、システムと高精細モニターと読影専用デスクとAmivoiceなどの音声入力デバイスをセット販売することができます。

(3)顧客の購買行動の理解


既存顧客に対して、病院ごとにどのような購買プロセスを踏んでいるのか。新製品の情報入手方法や院内での稟議申請の手順、年間予算規模、院内での意思決定権者の影響力マップなどを掴み、購買プロセスに見合った提案を見つけることができます。

これらの仮説に基づいた市場調査を実施することで、クロスセルの可能性を広げるための新しい戦略やアイデアを見つけることができます。

将来の市場成長性を予測するための市場調査

病院市場と言っても広いですので、あるカテゴリーに絞ったうえで将来の市場成長性を予測する際にも、市場調査が役立つでしょう。

<調査の一例>
・同業他社の市場成長率の推移を調査する
・今後数年間で新たに参入する企業や既存企業の新製品・サービスの発表予定を調査する
・製品やサービスの需要が増える見込みのある地域や産業分野を調査する
・経済の動向、政策変更、技術革新など、マクロな要因について調査し、市場成長にどのような影響を与えるかを分析する
・アンケート調査を実施し、病院経営者の購買意欲や嗜好に関する情報を収集する。

まとめ

以上のように、市場調査や分析を継続的に実施し、その結果に基づいた改善を行うことで、自社の事業成長を促進することができます。

・市場のニーズを把握できる
・競合状況を把握し、自社製品の強みや弱みが明確になる
・新しい市場や顧客層を発見できる
・販売促進や広告戦略の効果を測定できる
・新たなビジネスチャンスを発見できる
・自社製品やサービスの改善点を発見できる
・リピート率や紹介率を高めることにつながる
・市場調査の設計には仮説が必要

ぜひ、あなたの会社が成長し続けるためにこまめな市場調査を実施してみてください。市場調査の設計や具体的な実施方法に課題をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

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