映像翻訳講座5週間目
木曜に更新しようと思いながら、新しく始めたバイトで疲れ過ぎて気がつけば日曜。ここまで引っ張ったからには、今日までの分をまとめて書く方がいいのかもしれませんが、1週間単位になんとなくこだわりがあるのでそのまま書きます。
ちなみにトップ画像にしているのは、作業と並行して視聴した『魔界探偵ゴーゴリ』というロシアのダークファンタジーミステリ映画です。最初はコテコテの邦題に「なにこれ」と興味を持って観ましたが、これがすごく面白い。実在した文豪のゴーゴリが主人公で、この世のものではない何かを幻視する能力を使って、ウクライナの片田舎の女性連続殺人事件を捜査します。常に青白く陰鬱な雰囲気や、ゴーゴリに捜査協力する癖強めな仲間(執事、絵が上手い鍛冶屋、アル中の医者)が良いです。三部作なので、映画というより連続ドラマ感覚で観ることをおすすめします。
では本題に入りましょう。
①今週の取り組み内容
今週は第3回の課題に取り組み始めました。「今週」の該当期間は5/1(金)から5/6(木)まで。今回の提出分の範囲を終えれば、短編映画1本の字幕をすべて制作したことになります。
5/1:資料の確認、未知語の抽出・リサーチ
5/3-5/4:リサーチ
5/5:図書館でのリサーチ
5/6:下訳(全体)
さて、上記のスケジュールでお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は今週中は、毎日講座に取り組めていませんでした。その理由というのが「新しく始めたバイトとの両立」なのですが、1日8時間働く一方で学習時間を確保というのがなかなか大変でした(しかし前職の11h×7日下手すりゃ休日出勤と比べれば、純然たるホワイト)。覚えることも多いですし、しばらくは慣れるのに苦労しそうです。一方、不定休ですがきちんとお休みは頂けるので、遅れた分は休日に取り戻そうと思います。
課題内容としては、今回はなかなかにリサーチを必要とする点が多いと感じました。課題となっている映画の制作言語は英語ですが、制作国はオーストラリア。そのため、オーストラリアの文化や制度について調べる必要が出ました。よって図書館に行って移民制度について調べたり、オーストラリアに留学経験がある友人にも「この制度って聞いたことある?」と訊いてみたり……と、過去2回の課題よりも様々な方法を使いました。友人には本当に感謝。
②反省点:システムがよく分からない事柄はきちんと調べる
世の中色々なシステムがあります。行政サービス、法律、金融など……、このような社会的なシステムは映像作品や文学作品の世界にも影響し、ジャンルによっては作品のキーにもなることがあります。特にハードボイルド物や警察小説を読んでいるとそうであることが多い。
今、課題で取り組んでいる短編映画にも銀行が登場するのですが、この中で私がつまづいたものがあります。それが「小切手」のシステムでした。なんとなく小切手というと、フィクションのなかで助けられたお金持ちが「お礼にこの小切手にお好きな額を……」と出してくる領収証みたいなやつ、というイメージがあったのですが、それについてのリサーチが足りなかったです。小切手が出てくるということは、それを今持っている人は受取人(お金を貰う方)なのか、振出人(お金を払う方)なのか、という点について考えなければならない。そこで解釈をミスしたのが勿体なかったです。
また今回の課題で、図書館や知人を頼りにしてどうにか謎を明らかにしたのが、オーストラリアの社会制度。どのような制度があって、それが作中の銀行でされることに「いかに影響するのか」を、調べた知識を組み合わせて考えなければ訳せないセリフがありました。
映画も小説も、ある意味「その国の社会・文化のある時代での様相」を切り取ったものだと思います。ゆえに、ソース言語(原文)を意味として正しく理解するだけでなく、その背景も理解する力が無ければやっていけない。なんとなく知った気にならないで、「システムがよく分からない」という感覚を見逃さないようにしたいです。
さて、ただいまは字幕原稿を考えている最中ですが、また第2回の訳例と添削結果も帰ってきます。前回、添削で指摘された「日本語としてのテンポの良さ」と「トーン」にも気を付けながら、より良いものを提出したいです。