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手放しの自由を手に入れたい#4

息子が学校に行かなくなって3ヶ月。

学校では30日連続で欠席すると"不登校"と定義付けされる。これまで「不登校」と鉛筆で書かれていたものが、しっかりと油性ペンでなぞられたようだ。

確かに先生からの連絡も、30日を超えたあたりから減った気がする。
先生も、不登校と切り分けられないように必死だったのかもしれない。

しかし当の本人も、保護者の私もそんな肩書きなんてどうでもよかった。
毎日どうやって過ごせばいいのか、ただそれだけが心配だった。

前回の話の最後に書いた、フリースクールの見学に行ってきた。

そこは、ゲームし放題、YouTubeも見放題、1人で遊んでもいいし、みんなと遊んでもいい。
工作部屋では好きなものを作っていいし、たまにお菓子作りなんかも教えてくれる。

ちょうど見学に行った日は、マフィンを作っていた。
マフィンを作る傍らSwitchで対戦している子もいれば、外でシャボン玉をしている子もいる。

すっかり気に入った様子の息子は
「ママ、ここまた来たい!」
と、帰りの車でその日あった事をとても楽しそうに話してくれた。

そりゃそうだよね。
勉強しなくて好きなことしていいなんて、最高じゃないか。

私が子どものころは「好きなことを自分で選んでしていい」のは大人になってからだと思っていた。
でも思い返してみると、大人になってからも手放しで自由だった時なんて無かったかもしれない。

学校を卒業したら就職して、退職してもまた働いて、結婚して、子供ができて、また働いて。

探せばいくらでも自由になれたのに、どこかで「こうじゃなきゃ」「こうするべき」に縛られていたと気づく。

それは今でも完全に消えたわけではないけど、専業ライターになってもいいのかなぁ? と不安だった時に比べると、なってもいいじゃん!なんて楽観的に考えられるようになった。

もちろん、最低限食べていけるだけのお給料を夫が稼いでいるおかげもあるのだけれど。

フリースクールにはボランティアの学生の方々も来てくれている。その中で息子がとくに慕っている男の子がいる。もともと不登校だった子で今は大学生。

筋肉ムキムキで、子ども相手に腕相撲も容赦ない。そのことからマッスル田中とあだ名がつけられている。

マッスル田中にいつか腕相撲で勝つために、息子は毎日筋トレを始めた。

フリースクールは週に2日。前日は楽しみ過ぎて寝れないほどその場所が大好きになった。

私も本業がない日に、まとまった1人の時間を確保できるのは本当にありがたい。


現在、全国的にもフリースクールが増えている。
しかし経営はどこもギリギリの状態。
スタッフもほとんどボランティアだ。

マッスル田中は若いし、働き口はいろいろあるだろう。アルバイトすればお金ももらえるのに、子どもたちのために無償で来てくれている。


私にもそんなことができるだろうか。
しがらみもなく、好きなことや助けたいものに純粋に自分の身と時間を投下できる日が死ぬまでに来るのだろうか。

私も息子やマッスル田中のようになりたい。
戦略とか目的意識とかそんなもの全部放り出して、ただ今日を生きてみたいなと思う。

その第一歩が専業ライターなのかもしれない。
ただ、自由になるためのお金はほしい。
いや、ほんとに。

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