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マニュアル人間
勉強をする際に、先生から「分からなくても、すぐに答えは見るな」と言われたことがある。確かに、自分で考えることで、何かしらの手がかりが掴めて自力で正解に辿り着く可能性もあるし、ましてや自分で思考をすること自体が大切なことだとされているのだろう。先生からすれば、「挑戦をして、失敗を経験することで、知識が身につく」とでも言いたいのだろう。しかし、本当に何も思い浮かばない状態では、考えること自体に意味がなくなってしまう。どれだけ似たような解き方や知識を引き出したとしても、限界があり、その問題の答えや解き方に辿り着かない可能性さえある。また、自力でやっていき、これが答えだと自信を持って考えていても、いざ答えや解法を見ると、全く異なるやり方や答えが明記されていることもある。ここで大事なのは、すぐに答えを見る云々の前に、記憶した知識を正しく使えるようにするのが問題演習の役割であるということである。すなわち、記憶できていない知識をどれだけ使おうと努力しても、基本的にできないし、思考にも限界がある。だからこそ、分からないなら変に拘らずに、すぐに答えを見ることが大事だろう。そして、その答えに書いてある解法や知識は記憶したことがないものだった(もしくは大忘却していた)はずであり、そこで記憶してしまうことが必要である。そうして、その解法を覚えて活用することへと移していけば、解けるようになるのだ。つまり記憶後は、マニュアル通りに活用していくだけで十分であり、マニュアル通りに動けば、ほとんどが正解になるのだ。最終的に自力でそれを使えればいいため、勉強の中では、その答えを暗記することが必要なのである。世の中の勉強ができる人は、変に拘らずに、素直に解法や知識を吸収し、答えや答え方を知っている状態だから問題を解くことができる、これも彼らの重要な特徴だと言える。これはどんな世界でもそうだと思うが、つまり「知っていて、瞬時に思い出せる『マニュアル人間』」になれば、基本的に世の中は評価してくれるのではないか。
今現在、仕事や勉強などで業績的に上手くいかないのであれば、とにかくマニュアルに拘ることが大事であろう。マニュアルと言えば機械のような感覚になるだろう。そのため、マニュアル=基礎知識だと定義したい。この基礎知識を収集し、自分のものにするべきなのである。公式を知らない又は導出する知識がないのであれば、問題を解くことはできない。また基礎知識だけで全てが上手くいくわけではなく、それを上手く応用できるからこそ、問題に対処できるようになりそうだ。
これは、仕事でも同じである。1から全てを自分の発想でやれば、間違いなくプロジェクトは破綻する。そのため、チームメンバーで先行調査や事例紹介を行い、ある種の解法や答えをもとに行動を決めていく。これが基礎知識になるのだろう。
ここで、物事を適切に確実に取り組める人が最も優秀な人だと言えるのではないか。つまり、そうなれば自分も報われるようになるのだ。与えられた課題をやれば上手くいくと信じて、独自の方法ではなくそれ通りにこなしていくことが、人生には必要なのだろう。そしてここには、「無駄な思考を要さないことの意味」も含まれる。無駄な思考は、その思考中の時間自体が無駄になるから、時間の浪費だと言える。更に、思考も体力を使うので、無駄な疲れが訪れることにもなる。つまり、マニュアル人間は時間と体力の面で、無駄な浪費をせずに仕事や活動に夢中に取り組むことができる。
マニュアル人間であれば、最速で答えが出せるし、無駄な浪費もせずに済む。その分の余力を、他の活動に回すことができるのではないか。仕事であれば、余力があれば、人間関係の構築に回せたり、とにかく気分よく仕事ができる。さらに仕事以外の余暇を心底楽しむことができるようになる。
私は、マニュアル人間になりたい。