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スナップ写真と狩り

スナップ写真は、英語ではキャンディド フォトグラフ、スナップショットと呼ばれ、スナップショットは元々狩りの早打ちなど射撃用語として使われていた言葉です。

そのため、スナップ写真、スナップショットというのは、獲物を捕まえる狩りに近いような気がします。

もし、狩りに例えるなら共通点がいくつかあります。

  1. 瞬間を捉える:スナップ写真は一瞬の出来事や表情を捉えるための技術であり、狩りもまた一瞬の機会を逃さずに獲物を仕留める技術です。どちらもその瞬間を逃さずに捉えることが重要です。

  2. 観察力:スナップ写真を撮るには被写体をよく観察し、最適な瞬間を見極める必要があります。同様に、狩りにおいても獲物の動きを注意深く観察し、最適なタイミングを見極めることが求められます。

  3. 忍耐力:どちらも一瞬のために長時間の待機や準備が必要です。スナップ写真を撮る際には、その瞬間を待ったり探したりする忍耐力が重要であり、狩りにおいても獲物を待ち続けたり探し続けたりする忍耐力が求められます。

  4. 技術と道具:スナップ写真にはカメラやレンズといった道具が必要であり、それを使いこなす技術が重要です。同様に、狩りにおいても弓や銃、罠などの道具を使いこなす技術が必要です。


スナップ写真と狩りは、一見すると全く異なる活動のように見えますが、瞬間を捉えるための技術や忍耐力といった共通点が多くあります。それぞれの活動において、いかにしてその瞬間を捉えるかが鍵となるのです。

ただ、「狩り」というからには「獲物」がいるわけで、その言葉に抵抗がある人は、「心惹かれるものを掴む」とか「宝物を集める」と捉えてもいいでしょう。一応、わかりやすいように「狩り」「獲物」という言い方をしていきます。

鮮度を保つには3秒以内で撮影を終わらせる

そして狩りは、できるだけ短い時間、一撃で終わらせることが得策です。ライオンがシマウマを狩りすることも、人間が鹿を狩りすることも基本は同じです。一撃で仕留めるメリットは多岐にわたります。いくつかの主なポイントを挙げますね。

  1. 即効性:迅速に獲物を仕留めることで、獲物が逃げたり、他の捕食者に横取りされたりするリスクを減らすことができます。

  2. 苦痛の軽減:一撃で仕留めることで、獲物の苦痛を最小限に抑えることができます。これは倫理的な観点からも重要です。

  3. 無駄のないエネルギー消費:長時間の追跡や格闘を避けることで、捕食者自身のエネルギー消費を抑えることができます。

  4. 安全性:一撃で仕留めることで、獲物が抵抗する余地を減らし、捕食者がケガをするリスクを低減します。

  5. 資源の効率的な利用:確実に獲物を捕らえることで、時間や労力を無駄にすることなく、食料を得ることができます。

  6. 獲物を傷つけない:急所を突くことによって獲物を傷つけません。そのため、鮮度が保たれ、利用価値が最大限になります。


以上の理由から、一撃で仕留めることは狩りにおいて非常に有効な手段と言えます。


更に、どんな武器をもって獲物と対峙するか、狩猟者の考え方や信念が出るところです。

(法律的にどうか、そういう話は抜きにして、)
最先端技術を使ったレーザーガンを使うか、
接近戦を想定してナイフ一本だけ使うか、
足跡や匂いを嗅ぎ分け、一発しか打てない火縄銃を使うか、
を仕掛けるか、


それをカメラに置き換えると、
レーザーガン
望遠レンズ、またはどこまでもトリミングできる高画素機で、
無限に連写でき、自動でピントを合わせてくれて、
狙った獲物を掴んで離さないオートフォーカスを備えたカメラ

ナイフ
接近戦を想定して、広角レンズにストロボを付け、鋭く切り込んでいくカメラ


火縄銃
自分で露出を読み、絞り、シャッタースピードを決め、
距離計または目測で被写体までの距離を捉え、
一発勝負で弾に限りがあり、
弾が獲物に当たったかどうかも確認できない、
機械式フィルムカメラ


センサーに反応すると自動でシャッターが切れるように設定したり、
動画撮影して後から切り出したり、
動きのある被写体の決定的瞬間を狙うカメラ

簡単に4種類挙げましたが、実際は何百、何千といった種類があります。

どのような武器を使って、どのような狩りをしたいでしょうか。


更に、狩りをした後の獲物の処理活用法もいろいろあります。
ゲームとして、倒したら終わりなのか、
獲物を余すことなく全て活用して、生きる糧にするのか、
獲物に感謝を伝える儀式をどのように行うのか。


鯨の狩りすることを捕鯨と言います。鯨は肉や油、骨まで捨てるところがないと言われています。そして鯨を食べるということは、鯨が自分の身体の一部になることであり、自分と鯨が一体になるということを意味します。更に捕鯨を神事として捉え、豊漁を祈念する祭礼にもなります。

写真も同様、被写体がなんであれ、許可を得て感謝の気持ちをもって自分の作品とした場合、自分と被写体という枠が外され、やがては一体となるような気がします。



今回はスナップ写真と狩りのお話でした。

スナップ写真を狩りと捉えることによって、今までと違った考え方ができると思います。

鮮度が落ちないよう一撃で仕留めているか
獲物を傷つけないような狩りをしているか
小型で軽量な吹き矢に代わるカメラは何か
感謝を伝える神事は行なっているか

見つめ直すきっかけになります。


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