自分のトリセツ「インナーペアレンツ」
インナーペアレンツとは?
今回は「インナーペアレンツ」ということについて触れていきます。
「インナーチャイルド」という言葉はよく耳にしますが、「インナーペアレンツ」はあまり聴き慣れない言葉ではないでしょうか。
インナーペアレンツとは、「人の心の中に存在している、幼いころの親との関わりあいによって生まれた親に対するイメージ」のことです。
「インナーチャイルド」が親との関係性によって生まれた「こうしたかったのに」という感情だとしたら、「インナーペアレンツ」は親との関係性によって生まれた「こうしなければ」という考え方のようなものと言えます。
わたしたちは小さなころ、どうしたって親からの庇護を受けなければ生きていくこともままならなかったはずで、それぐらい親という存在は大きなものだったのです。
そのとても大きな存在の親との関係性において、「こうしたかったのに」という感情が生まれては抑え込まれ、「こうしなければ」という考え方が育まれていってしまったということです。
繰り返されるパターン
インナーチャイルドにしても、インナーペアレンツにしても、普通に生活をしていたら、なかなかその存在に気づくことはありません。
何か自分にとって不都合な出来事が生じたときに、初めてその存在に気づくきっかけがもらえるようなものだと思ってください。
「インナー」という表現には、「無意識下の」という意味合いが含まれているので、普段はなかなか顕在化してこなかったりするものなのです。
わたくし事になりますが、先日、憩室炎という病気を患い、5日間ほどの絶食療法を経験しました。
何も食べることができず、ただベッドの上で点滴を打つ日々が5日間続きました。
その治療の最中、点滴のパックから、ポトリ、ポトリと落ちる液体をみていると、わたしの頭の中にある記憶が浮かんできたのでした。
それはわたしが小さな頃、自家中毒という症状によって、点滴治療を受けていたときの記憶です。
その当時の記憶をもう少し鮮明に思い出そうとしていくと、そこには自分のことをとても過保護に扱ってくれる、お医者さんや看護師さん、そして母親の姿が浮かんできました。
自分のなかではとても馴染み深い、繰り返されるパターンだったのです。
無意識の誤作動
実は、この少し前に、わたしは乳がんを患った母親の見舞いにいっていたのですが、そのことがトリガーになったようです。
というのも、わたしの潜在意識のなかでは、「母親という存在は、わたしを大切に扱ってくれる存在」なのです。
けれど、現実の世界においては、母親が病気を患い、その母親を大切に扱う側へ、わたしの立場が変わりました。
顕在意識ではそのことが理解できていても、潜在意識ではそのことをまだ受け入れることができていなかったのでしょう。
無意識に自分の身体に不調をきたすことによって、わたしは「大切に扱われる自分」という馴染み深いポジションを獲得しようとしたのでした。
そして、そのような出来事を引き起こす原因として、無意識の中に、「親とは強くあらねばならない」というインナーペアレンツの存在があります。
小さな頃から少し過保護気味に育ててもらったわたしは、どこかで、「自分は親よりも弱い存在でいなければならない」という信念を持ち続けてきたのです。
まさに、脳が誤作動を起こし、自分が親よりも弱くいることが、正しい在り方のように勘違いをさせていた訳です。
「もう親との関係性に縛られる必要はない。病気を手放し、親を基準とすることをやめ、自分がどう生きるのかをよく考える」
そんなタイミングにきたのだと感じています。
同じようなパターンを持つ人たち
これはわたしの友人の女性経営者が持っていたパターンです。
仕事はとても出来る方なのに、恋愛は苦手で、いつも相手に振られて恋が終わってしまうというパターンを繰り返していました。
振られるパターンはいつも同じで、「重いんだよね」と、いつも疎まれてしまうのです。
実は、この女性経営者のお母さまが「すごく家庭的で、家族にとても尽くす人」だったのです。
そのような母親のもとで育ったことにより、「人に尽くさねばならない」という考え方が無意識の中に育まれていったのでしょう。
この女性経営者にとって、パートナーに尽くすというとのは、とても当たり前のことになっていました。
そして、それに加え、この方は自己肯定感が低い傾向が強かったことで、「相手に尽くして、価値がある人にならなければ」という強迫観念のようなものがあり、それが相手に「重い」と感じさせていた原因になっていたのでした。
この女性経営者には、他者基準で生きるのではなく、自分基準で生きることの重要性をお伝えしたところ、少しずつ変化を実感してくれています。
このように、わたしたちの周りで起きる、不都合な出来事の奥には、自らを取り扱う上でとても重要なヒントが隠されています。
それに気づき、修正をしていくことで、わたしたちはより自分の思い通りの人生を歩めるようになるのです。
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