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令和6年司法試験受験体験記
1.はじめに
ご無沙汰しております。しまだです。
予備試験最終合格された皆様、誠におめでとうございます。
パンダさんをはじめ、社会人合格者による下記スーパー優良記事が並ぶ中ですが、一応昨年合格者の端くれとして、自己の記憶を記録に留めるべく本記事を寄稿いたします。
とはいえ高度なことを書くつもりも能力もないです。途中で意味わからん内容も含まれています(特に韓国ドラマのくだり)。
「こんな奴でも予備の余力で受かるんだね」くらいの目線で読んでいただけますと幸いです。
なお合格順位は非公表ですが個人的には満足でした。周りが高すぎて晒すのも烏滸がましいといった心持ちではあります(つまり高くはない)。
2.2月~7月の記録
(1)2・3月(合格発表後~模試受験)
口述対策のための怒涛の1月を終え、発表までは何も勉強していませんでした。模試や宿泊で家を空けていたためここぞとばかりに家族サービスに邁進したんだと思います(写真もめっちゃ残っている)。
予備合格発表を受けてようやっと遠い記憶となっていた科目(公法商法民訴労働)をやり始めましたがどうにもこうにもエンジンがかからず。
そこで「締め切り効果」を狙うべく、3月にある模試に申し込みました。模試までの期間は上記手つかず科目でどういう知識があったかなあくらいの確認はできました(理解としては相当弱い)。
またこれまで考えていた「進捗管理サービス」を試験的に開始しました。
そんなこんなで模試の成績は下記の通りです。
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全然勉強できてなかった割にE評価の答案もなく、結構できたんじゃね?という気分になっていました。
(2)4・5月(超中だるみ期)
模試もそれなりに書けてしまった・普通に仕事と家庭で忙しい、こういった事情と己の精神力の低さがあいまってこの時期は自習としては1日1時間くらいしか勉強していませんでした(マジで)。
加えてGW後からは「5月病」シーズンです。この時期は本当に人を狂わせます。少しできなくても自分を許してやるくらいでちょうどいいのかもしれません。
私も全く他人ごとではなく、気乗りしない日は韓国ドラマばかり見ていました。
完全に余談ですが一番のオススメは「涙の女王」です。既婚者ならハマるはず。
人生で観たドラマの中でも1・2位を争う傑作でした。
もう筆舌に尽くしがたい面白さです。財閥うんぬんというのは韓国ドラマによくある設定らしいのですが、初心者のこちらには新鮮ですし、何よりお話が面白い面白い。リアタイに追いついてからは毎週が楽しみでしょうがなかったです。
主人公の男性が法務部長なのでちらっとリーガルみがあるのも受験生におすすめな点です。
(以上余談部分失礼しました)
そんなこんなで勉強ほとんどしていない5月が過ぎていきました。
(3)6・7月(いよいよヤバいぞ期)
6月に入るとさすがに危機感からか勉強時間が増していきました。(ドラマも一日1話に抑えました)
平日は3時間、休日も1日はフルで7時間くらい勉強していました。
特に集中したいときは妻に頼んで実家に籠って勉強していました。
論文過去問研究と憲法民法の短答が中心でしたが、民訴の基本書を2冊並べて読んだり、まとめきれない川出刑訴を読んだりと最後まで蛇行しながら勉強していました。
結局最後は自分の拠り所となる「最後の1冊」的な教材の確認に終始しました。
3.受験当日
(1)前日
冒頭画像の通り日本橋受験でしたので、近辺にあるスーパーホテルに泊まりました。始めて泊まりましたがア〇ホテルと比べ清潔さと静かさと朝食のおいしさがとても良かったです(空調が少し埃っぽいのはしゃあないか)。
15時頃にホテルに入り、ベルサールまでの道のりを一応確認し、コレド室町なんというシャレオツなものができたんかと見物をした後、近くの蕎麦屋で「孤独のグルメ」を気取りました(本当に孤独なだけ)。
教材も一応あれやこれやと持ち込みましたがそんなに身を入れて確認もできず、一応流し読みして寝ました。
(2)1日目
6時間くらい通して寝れました。ロー資格の頃は1時間ごとに起きていたりしたので相当いい方だなと思いました。
ちなみに予備のときは論文口述どちらもよく寝れていました。意外と気負いがなかったのかな?
おにぎり2個
サンドイッチ
どら焼き(なければバームクーヘン)
麦茶1リットル
をコンビニで買いこんで試験場にインしました。
とてもトイレが混む会場です。加えて朝は施設全体で開いていないエリアが多かったので、早めに済ませた方がいいかもしれません。
黒い壁にライトが煌々と光る会場は嫌いじゃなかったです。椅子もパイプじゃないし。
なお今年だけかもしれませんが、お尻の下のクッションは一度も確認されませんでした(お尻が大きくて見えなかった可能性は否定しきれない?)
ひざ掛けも1回見られたか見られてないかくらいの頻度でした。
選択科目は労働法、予備の問題に比べればオーソドックスな出題に感じました。その分書く文字数が必要になると考えました。ここで若干とち狂った私は、1行に2行書くという奇行に走りました。しかも2枚目の冒頭から4枚目の途中という中途半端な箇所で、です。結果的には採点されていましたが試験直後に後から思い返して「特定答案では?」と内心穏やかじゃなかったです。周りにも恥ずかしくて言えませんでした(結果的に評価も高くならなかった)。
よゐこの皆さんはせめてぎゅうぎゅう詰めに書く程度にしましょうね😊
憲法も予備R5なんかに比べたらずいぶん基本的な内容に思えました。BEXA伊藤たける先生の「基本講義憲法」で教わった薬事法判決のロジックをほぼそのまま書き、規制目的についての悩みを出しつつ目的手段審査をゴリゴリしました。
行政法は悩ましい問題ではあったものの「どうせみんなそんなにはできない」の精神でなんとか事案に食らいつきました。「権利床」についてはタマタマ閃いて触れることができました。いい思い出です。
疲れた体を引きづりつつ、和田民訴の確認事項だけ目を通して寝ました。
(3)2日目
こちらも6時間通して寝ました。身体は疲れているのに早めに起きてしまうのがとても不思議でした。
朝食を食べる前に加藤ゼミ基礎問の商法、朝食後は民法の呉基礎本を読んで過ごしました。
1日目と同じメニューを買い込み出陣
民法は1問目が総じて呉基礎本の確認的出題(と当日は思っていたけどよくよく検討すると違う?)、2問目は考えさせる系の出題だなあと思った。Cがくれば御の字の精神で何とか書き切りました。
商法は、、、会社員なのでそれなりに得意なつもりでしたが持ち応えられなかったです。予備でAだったことに過信したせいもあるかもしれません。
民訴は予備以降一番の得意科目であり、今回も主観的には相当よく書けていました(結果もA)。 やっぱり大瀧民訴が最強です。
いったんホテルは切り上げ自宅に帰りました。お風呂が何より沁みました。
(4)中日
パンダさんから教えていただいたLEC大塚先生の論証講座の冊子を読み流したり、刑訴の基礎問を確認したり、刑法短答を少し解いたりしました。
ただし疲労回復が優先で、上記はトータルでも3時間やっていないです。
再びスーパーホテルに前泊しました。
(5)3日目
刑法は口述で「基本刑法読み込み講座」をほとんど頭に入れた杵柄と、論証講座で新しく補われた部分を使って解きました。以前は一番苦手でしたが今ではAが取れるまでになりました。大塚先生様様です。
刑訴は、、、本番テンパり倒して後付け修正の嵐でした、、、違法収集証拠系は川出刑訴で読んでいたはずなのですが問題演習までしっかりできていなかったのが良くなかったです。成績も一番悪くCでした。
終わってホテルに着いた後にTwitterを見たところ、刑訴で書いていなかった事項に気づいてしまい大発狂、、、精神錯乱しYouTubeを流して歌いながら短答対策を始めました、、、動揺したくない人は試験終了後まで絶対に開かない方がいいです、、、
(6)4日目
短答はとにかく命からがら合格平均点くらいを取れればいいと思いつつも、本番シャカリキになって問題文にかじりつきました。
民法は呉基礎本がちゃんと頭に入っていなかったせいで肢を確信持って切ることができませんでした。自分の信じた教材をしっかりやり込むべきでした。
憲法はもう難しすぎて、難しかったことしか覚えていません。これで足切りされてもう一年とかやってられるのか?と思いながら見直しまくりました。
刑法は今までの勉強で何とかなったかなという感じでした。他の勉強量が全然足りなかったので、本当は満点欲しかったです。
終了後は予備校のサイトやら、飛翔さん&しがいさんの回答検討などを見て自己採点に勤しみました。足切りはないかなと一安心。する暇もなく子供たちのジャングルジムに早変わりしましたとさ。
4.成功した点
(1)本試験と予備試験の違いを意識できた
この点が80%くらい活きました。
刑訴や行政法は両者で大きく傾向と対策が異なる、逆に民法商法刑法はほとんど変わらず一連の問題集のように見る、という結論に至るまで本試験の過去問は全ての年度の検討はしました。
検討の時間を捻出するために起案数は相当絞りました。模試以外では5通くらいしか書いていないです。もちろんそれまでに何百通と書いてきた+社会人として報告文書メールは毎日書いていたのでできる手法だと思います。
そういった意味では、自分の弱点と試験傾向に合わせて対策できたという点もよかったのかもしれません。
(2)ゼロ答案構成が当たった
「答案構成で記述している分は1点も入っていない」というロー同期の言葉を思い出し、3月の模試から始めていました。詳細は直接聞いてほしいですが簡単に言うとこんな感じ
① 設問や小問ごとに書く
② 問題文を読んで根拠条文を引いてペンを挟んだら書き始める
③ 書きながら条文を参照してあてはめたり論証を書いていく
この手法のメリットは、答案構成でメモしている部分と時間を節約することで事実引用・評価の部分をモリモリ書くことができるという点です。
デメリットは、構成を検証する時間はないため明後日の方向に書き始めて後々大修正することになることがあるという点です。
本番では商法流が石に筆を動かすまでに考えることが多すぎてそこまで実践できなかった、刑訴はデメリットが爆発して失敗という結果でしたが、それ以外の科目では概ね成功しました。
論証は頭に入っているんだけど書く分量を稼ぎたい、そんな中級者におススメです。
(3)時間がないなりに効率の良いインプットができた
前述した進捗管理サービスに付随して「修行部屋」オプチャもやっていました。基礎知識や論点に対する考え方を、質問回答のやり取りをしながらお伝えするというものです。
結果的には出題をしていた私のほうが大いに勉強になりました。出題する際に予習が絶対に必要になりますし、出しながら自分で疑問点を見つけることができて本当によかったです。
(修習の関係上個人で直接受け付ける形での指導は受けない予定ですが、7月まで継続してくれた方、その後も利用を継続してくださった方については以降もフォローしますので遠慮なく連絡してくださいね😊)
とはいえ最後は予備までで使用していた教材に終始し、基礎知識の確認に努めました。逆に教材を増やしすぎた科目は芳しくなかったです。
5.反省点
(1)超中だるんだ
DAI(さん)の大冒険の2023年2月~部分での記述の「燃え尽き症候群」、私もドンピシャで喰らいました。口述がとにかくしんどかったので、その余力で乗り切るしかないのかなと思います。
模試を3月に受けたのは多少燃え尽き対策になったような気がします。そこまでは論証復習など集中して学習できたからです。さもなくば2,3月もダラダラしていたことでしょう。
(模試の話をもう一つすると、予備しか受けてこなかった方は司法試験の受験層がどんな感じかを会場で体感するかもしれません。私は予備論文などと比べると若者や女性の比率が高いように感じました。)
社会人の皆様にとっては仕事や家庭等との両立も難しい中でモチベーションも保たなくてはいけません。勉強仲間と励まし合ったり勉強会したりしながら乗り切っていただければと思います。本当にヤバいときはDM下さい。
(2)短答のウエイト減らしすぎた
短答の点数が合格基準にも直結する以上、140点はマストで取っておきたいです。
当初は私もそのくらい息まいていたんですがね、、、燃え尽き燃えカスしか残っていなかったので本当にお恥ずかしい点数でした。そして発狂の数か月を過ごしました。
憲法短答は死守を心がける、民法刑法で上乗せするくらいのつもりで学習されることをおススメいたします。
6.おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。
予備試験後はクラークやら溜った仕事やらでお忙しいこととは思いますが、それでも半年後に試験は来てしまいます。上位ロー生は過去問対策を純度高く仕上げていますので負けないように戦わなければいけません。
余力がないなりに戦い方はありますので、工夫して乗り切っていただければと思います。
以上で失礼します。 頑張れ!受験生!!!