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島田黒介
2020年7月25日 00:16
「私は人形だ」そう私が私を説明したならば、それにはいくつか矛盾が生じてしまう。まず、人形は喋らない。自身を人形だと言葉で説明するなら、それはその時人形でない証明になってしまうだろう。そして、人形は自我がない。人形は自身が人形だと自認していない。そういった理屈に当てはめていけば、私は人形ではないのかもしれない。しかし、私はこう自分を説明するのだ。「私は人形だ」と。そして、こう続ける。「私
2020年7月24日 23:58
お母さんはわたしをお外にだしたがらないの。「外はあぶないから!」って。お外はおもしろそうなものばかり。だからわたしはおでかけすることにしたの、お母さんにはないしょよ。お外をあるいているとお面をかぶったおとこのことであったの。かれのかおはずっといっしょでつまらないわ。だからわたしはきいたの、「なんでそんなかおをしているの?」って。「つまらないわけでも、かなしいわけでも、おこってるわけで
2020年7月24日 23:51
やあ、はじめまして。君は誰なのかな、いや、どうぞ入って入って。ちょうどお茶が入ったところでね、あまり高級なお茶菓子は用意できないんだが……甘いものはお好きかな?私は素朴な味が好きでね、ああ、うん。そうだね、それを先に説明しないと。私の記憶は一日しか持たないんだ。寝て、起きると全て忘れてしまう。いや、覚えていることもあるんだよ。お茶の入れ方と、記憶がないということだけは覚えている。も