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島田黒介 小説集

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グランギニョール・スペルマチキン

「私は人形だ」
そう私が私を説明したならば、それにはいくつか矛盾が生じてしまう。
まず、人形は喋らない。自身を人形だと言葉で説明するなら、それはその時人形でない証明になってしまうだろう。
そして、人形は自我がない。人形は自身が人形だと自認していない。
そういった理屈に当てはめていけば、私は人形ではないのかもしれない。
しかし、私はこう自分を説明するのだ。「私は人形だ」と。そして、こう続ける。
「私

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いろんなおかお

いろんなおかお

お母さんはわたしをお外にだしたがらないの。
「外はあぶないから!」って。お外はおもしろそうなものばかり。
だからわたしはおでかけすることにしたの、お母さんにはないしょよ。

お外をあるいているとお面をかぶったおとこのことであったの。
かれのかおはずっといっしょでつまらないわ。
だからわたしはきいたの、「なんでそんなかおをしているの?」って。
「つまらないわけでも、かなしいわけでも、おこってるわけで

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シナプスの知らないたずねびと

シナプスの知らないたずねびと

やあ、はじめまして。君は誰なのかな、いや、どうぞ入って入って。

ちょうどお茶が入ったところでね、あまり高級なお茶菓子は用意できないんだが……甘いものはお好きかな?

私は素朴な味が好きでね、ああ、うん。そうだね、それを先に説明しないと。私の記憶は一日しか持たないんだ。

寝て、起きると全て忘れてしまう。いや、覚えていることもあるんだよ。お茶の入れ方と、記憶がないということだけは覚えている。

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