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切子の森

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【あらずじ】 僕が十歳の時、父さんの再婚によって、切子きりこは同い年の妹になった。そして十七歳の夏、それまでの謎がすべて明らかになった時、思いもしなかった結末を迎える――。
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記事一覧

【長編小説】切子の森 第1章

 第1章   1  1971年8月――  家の近くの児童公園ではじめて切子を見かけたとき…

島田幻史
6か月前
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【長編小説】切子の森 第2章

 第2章   1  僕が十七歳になったその夏も、やはり〈人形の森〉の芝生広場には人影がな…

島田幻史
6か月前
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【長編小説】切子の森 第3章

 第3章   1  それからしばらくの間、切子は〈人形の森〉に姿を見せなくなった。しかし…

島田幻史
6か月前
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【長編小説】切子の森 第4章

 第4章   1  かつて切子の家では、終戦記念日の八月十五日になると、〈キネンスベキ日…

島田幻史
6か月前
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【長編小説】切子の森 第5章

 第五章   1  八月十五日、快晴――。  でも、雲ひとつないというわけではなかった。…

島田幻史
6か月前
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【長編小説】切子の森 第6章

 第6章   1  ずいぶんとくたびれた泥色の着物の上に、真っ赤なトマト色のはっぴを着た…

島田幻史
6か月前
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【長編小説】切子の森 最終章

 最終章   1  父さんが消防士になってから火事の通報をうけて出動したのは、ボヤを含めると四〇〇件を優に超えていた。正確には四二三件。平穏な街の、平均的な件数だ。  生まれてはじめて本格的な火事を経験した切子家の火事以来、父さんは火災の詳細な情報を、自分の個人的なノートに記録するようにしていた。  そのノートには、天候、風速、風向き、温度、湿度、出火原因と場所、火事の状況など、通常の業務日誌に書きこむ内容に加えて、父さんなりの分析、反省点などがびっしりと書きこまれていた