第六章 恩返しはどこへ行く?_008
08.他利をしていたつもりが
この受賞報告と施設長からの依頼について、
博士課程でご指導いただいた師匠
(作田守阪大名誉教授)に相談を入れました。
すると世界的な歯科医の名誉学会である
ピエール・フォシャールアカデミーの日本部会誌(2014)に、
受賞報告を取り上げていただける機会を得ました。
この雑誌は毎年、
全国の歯科医師会と歯学部図書館に寄贈されるそうです。
このことによって、
施設長からの依頼は一応の達成をみることができたと考えました。
その後、地元紙(神戸新聞2017)から
『貧困と教育』そして『医療についての情報』を取り上げられ、
翌朝いくつかのテレビ局から取材の申し出を受けました。
このことによって民間放送(MBS(毎日放送)2017)から
近畿地方全体に「貧困と教育」を、国営放送(NHK(日本放送協会)2017)から、
『貧困と教育』についての情報が全国に流れました。
この後、日本保険医協会という業界新聞を通して直接、
医療従事者に対し情報提供(2017)が行われました。
そしてこの年の秋、
日本社会貢献支援財団から日本社会貢献者(2017)に選出され、
時の首相夫人(安倍昭恵氏)から表彰を受けました。
もう一つのボランティア活動は、
そろそろ収束させても良いのではないか?と、
私の中で安堵をしたのです。
しかしながらこれらの活動によって、
どれほどの効果を各施設にもたらしたのか?については、
残念ながら私の知る限りではありません。
ところでこの活動によって、
このような伏線を生じるとは思いもよりませんでした。
私は
児童養護の子供への無料の歯科治療をボランティアとして提供している
だけであって、決して優れたスキルを持った仕事人であるなどと、
マスコミは述べてはいなかったのです。
しかしマスコミの企画の意図とは別に、
視聴した人が全国各地から自分や家族をみてほしいという
希望を寄せて来ました。
3時間ほどかけて来院する患者に申し訳ないな、
と思っていたところに、
とある家族はボストンで勉学をしている子どもを、
地球の反対側から通わせたいと述べたのです。
(実際にこの治療は完結しました)