島田豊実

『健康』『美容の基礎』『人生100年社会での健康の話』『定年後の生かし方』など、それら歯科医の立場でなければ書けない内容を、できる限り多くの方々に伝えて行きたいと思いから、かなり多岐にわたった本を一冊書きました。それらの内容を少しづつ配信してまいります。

島田豊実

『健康』『美容の基礎』『人生100年社会での健康の話』『定年後の生かし方』など、それら歯科医の立場でなければ書けない内容を、できる限り多くの方々に伝えて行きたいと思いから、かなり多岐にわたった本を一冊書きました。それらの内容を少しづつ配信してまいります。

最近の記事

第六章 恩返しはどこへ行く?_0015

015.人間という社会的動物からの学び  私たち人間は、 食べて生きるための多様性を、 もっとも大切に考えている動物です。 それはなぜか?と申せば、 いつ来るかわからない 絶滅の危機を回避する術(すべ)を、 つねに求めているからです。 つい数十年前の世界中の祖先は、 飢餓による栄養失調、 栄養失調による免疫力の低下。 免疫力の低下による感染症に罹患することは、 抗生物質が発見されるまで、 誰もが避けて通ることのできない共通の大問題でした。   このため、多産多死が社会の

    • 第六章 恩返しはどこへ行く?_0014

      014.ボランティアの本質 治療を終えた、ある患者から この本を書いて欲しいと懇願されました。 「専門家である先生には、ちゃんと説明する義務がある!」と、 かなり痛烈な批判とともに、心情を述べ始めました。 なぜか?と申せば、 自分の受けた治療を友人に紹介しようと試みるも、外国の友人は 「そんな話を聞いたことがない。信じられない」とつき放ち、 理解をしようとはしなかったそうです。 親切心が仇となって返ってきたことに、 憤懣やりきれないと、 心のうちを打ち明けました。 (

      • 第六章 恩返しはどこへ行く?_0013

        013.自分の命は自分で守る 私は歯科医として、密かに 「口からは死なせない」というスローガンを心に秘めて、 目の前の患者に接しています。 このため不健康問題を解決させて 健康を取り戻すという医療行為のみならず、 治療を一旦終了した患者に対して、 あらたなる視線を送るように心がけています。 それはなぜか?と申せば、 「健康を促進する現象を観察する」というプロセスを、 患者から少しでも多く学びたいと考えているからです。 人間という動物は、 トライアンドエラーすることによっ

        • 第六章 恩返しはどこへ行く?_0012

          012.あらたなる健康へのトライアンドエラー 現代社会の健康意識に対し、 あらたに生じている一つの現象をご紹介したいと思います。 私たちがいかに、健康に対して物質主義を頼りにしているか? について窺い知ることができます。 健康食品を本業の主流に転換した一部上場会社の社長は、 このように狡猾に語りました。 「皆さん知っていますか? わが社の製品をご愛用くださっているお客様をご存知ですか? その答えは、健康な人たちなのです」と。 この一方で、国営放送の健康番組に出演した

          第六章 恩返しはどこへ行く?_0011

          011.人事が動くあなたの所属する会社には、 人事を動かす部門がありますよね。 人事課の1番の目的をご存知ですか? その究極の目的は、 社内から将来の社長候補を見い出すことにあるのです。 なぜか?と申せば、 会社を牽引する人材を社内から発見できなければ、 会社の存亡に関わるからです。 かつて一部上場企業の人事部長、取締役を務め、 関連会社の社長会長をされた方から、 このような話を聞いたことがあります。 「人事は、決して人工知能で置き換えることができません。 なぜなら

          第六章 恩返しはどこへ行く?_0011

          第六章 恩返しはどこへ行く?_0010

          010.付加価値とは何か? 日常のオフィスの中での出来事として、 一つのパターンをご紹介してみます。 ご夫婦で治療を受けていた方がいました。 美容師である奥さんから、このような依頼を受けました。 「先生、主人の悩みを聞いてあげてください。 私にはそれを解決する力を持っていません。 どうか私たちに力を貸してください」と。 (歯科オフィスでの話ですよ) 当時のご主人はコンビニ大手に勤めており、 いくつかの店舗を統括するマネージャーとして働いていました。 後日、ご主人から

          第六章 恩返しはどこへ行く?_0010

          第六章 恩返しはどこへ行く?_009

          09.エリートを育てる? 大阪倶楽部という社交倶楽部(平均年齢約75歳)があります。 年齢を関係なくして、 こころを通じ合う人たちには、忌憚がありません。 とある一部上場企業の社長、会長、 最高顧問をされた方(故秋沢旻氏、 1924-2024)から、 テレビ放映を見られた翌日に、このようなアドバイスを受けました。 「君って面白いね。私に似ているよ。 ところでね、貧困を一人助けても、一人しか育たない。 君はエリートを育てるべきだと思うね。 エリートを一人育てると、世界中に

          第六章 恩返しはどこへ行く?_009

          第六章 恩返しはどこへ行く?_008

          08.他利をしていたつもりがこの受賞報告と施設長からの依頼について、 博士課程でご指導いただいた師匠 (作田守阪大名誉教授)に相談を入れました。 すると世界的な歯科医の名誉学会である ピエール・フォシャールアカデミーの日本部会誌(2014)に、 受賞報告を取り上げていただける機会を得ました。 この雑誌は毎年、 全国の歯科医師会と歯学部図書館に寄贈されるそうです。 このことによって、 施設長からの依頼は一応の達成をみることができたと考えました。  その後、地元紙(神戸新

          第六章 恩返しはどこへ行く?_008

          第六章 恩返しはどこへ行く?_007

          07.自分を紹介するボランティア? 前述した施設長からの新たなるボランティアへの申し出を、 どのように具体的に実行に移せばよいか? という課題は、未だ模索を続けていました。 ある日のこと、ぼーっと全国紙を眺めていますと、 日本社会貢献学会という団体から 「自他薦を問わず、社会貢献活動の内容を募る」という 小さな記事が飛び込んできました。 最初に指導した大学生(当時)に相談を入れてみると、 「先生なら大丈夫だと思うよ。応募してみたら」との アドバイスを受けました。 結果は

          第六章 恩返しはどこへ行く?_007

          第六章 恩返しはどこへ行く?_006

          06.やれることを受け入れる 後に、自宅兼診療所からオフィスを移転しました。 これと同時に、 神戸市や兵庫県の約30施設のすべてを一つずつ訪問し、 子どもの受け入れを表明して回りました。 兵庫県の西のはずれからオフィスまでの距離を同心円 (半径100キロ)で囲んでみると、 近畿圏(日本の第二の経済圏)のほとんどのエリアが カバーされることに気づきました。 このことをきっかけとして、 近畿エリアの約100施設の子どもたちの全部を 対象とすることに決めました。 (この時、

          第六章 恩返しはどこへ行く?_006

          第六章 恩返しはどこへ行く?_005

          05.脳内環境を組み立ててみると この学生を教育する上でのコミュニケーションは、 極めて困難を極めました。  なぜなら一般的に通用しそうな話の内容でさえも、 易々と理解を得ることが難しかったからです。 このため例え話を使って、 より詳細に説明を加えてみようと試みると、 かえってそのことが仇となって 取り越し苦労に終わることがしばしばありました。 10代半ばそこそこの学生に対し、 なぜ私の話の内容をこれほどまでに理解をしないのか? は、まったくの謎でした。 長い学生生活

          第六章 恩返しはどこへ行く?_005

          第六章 恩返しはどこへ行く?_004

          04.社会への還元とは何かを知る とある施設の高校生の治療を担当していた時のことです。 ふとこのような希望を耳にしました。 「大学に進学したい」と。 (当時の私は一般家庭の子どもと同様に軽く考えていました。 進学したいのならば頑張れば良いではないか?と) 少しでも役に立ちたいと、 気楽に学習指導のボランティアを引き受けました。 まさかこの歳(40代後半(当時))になって、 かつて学生時代の食い扶持を引っ張り出すとは思いもよりませんでした。 しかも無料付きです。 このこと

          第六章 恩返しはどこへ行く?_004

          第六章 恩返しはどこへ行く?_003

          03.ニッチを社会実験するいくつかの児童養護施設を訪問したおり、貧困による口腔崩壊が生じている子どもを紹介されることがありました。 口腔崩壊とは? 多数の虫歯が生じることによって、噛むことのできなくなる症状です。 (親が歯科治療を受けさせないと言う 虐待から生じているとの報告があります)*1 この現象を放置すると、 必然的に子どもは食べることができなくなります。 このことによって子どもの成長発育は大きく影響を受けるばかりか、 その延長線の先に、学習障害(脳障害)を引き

          第六章 恩返しはどこへ行く?_003

          第六章 恩返しはどこへ行く?_002

          02.ボランティアの連鎖市役所を通じて、自宅周辺にある児童養護施設に赴きました。 私の申し出に、施設長は「ぜひお願いしたい」と述べました。 この施設長の次のコメントが、 まさかの新たなるボランティア活動へと繋がることになるとは、 思いもよりませんでした。 「先生のこのボランティアについて調べさせてもらいました。 全国を通して初めての試みですね。 どうぞよろしくお願いします。 私から一つお願いがあります。 先生のような職業人が自分の余った時間 (決して余った時間を使って

          第六章 恩返しはどこへ行く?_002

          第六章 恩返しはどこへ行く?_001

          この章では、社会奉仕活動が本業のリカレント(学び直し)へと 結びついた話をご紹介します。 01.自然災害が発火点 02.ボランティアの連鎖の始まり 03.ニッチを社会実験する 04.社会への還元とは何かを知る 05.脳内環境を組み立ててみると 06.やれることを受け入れる 07.自分を紹介するボランティア? 08.他利をしていたつもりが 09.エリートを育てる? 010.付加価値とは何か? 011.人事が動く 012.あらたなる健康へのトライアンドエラー 013.自分の命は

          第六章 恩返しはどこへ行く?_001

          第五章 健康は促進するためにある-011

          11.人間の叡智とは何か? 街中を歩く年を重ねた人の姿を若者と一緒に見ながら、 このような質問を投げかけました。 「あの人は年齢相応に運動能力が低下しているように見えますが、 脳の動きはどのようになっていると思いますか?」と。 すると若者は、このように述べました。 「運動機能と同様に、脳の機能も(比例するように) 衰えつつあるのではないかと思います」と。 このことを年を重ねた方に伝えると憤慨され、 このように述べました。 「私たちを何だと思っているのだ」と。 た

          第五章 健康は促進するためにある-011