虚脱
橙の幻臭
脳に呼び寄せる鈍痛
郷愁の残像は古本のように
破れ落ちる
壊れたドライヤーの熱風
記憶を干し上げる
縮れた焦燥に鞭打つ
人工心臓の鼓動を聴け
雪、
降っているね
散ル 散ル 未知ル
常蒼が情想を塗りつぶす
脱して舞う衝動の振動
カーテン閉めれば夜が来る
独り占めしたい闇だ
呼吸繰り返し
古の余波ゆりもどし
今宵は素敵な虚仮威し
発火中シナプス
そこらじゅうに散らばる
宇宙の獄門台
法師が爪弾く黙を飲み干し
無常を基調に転げる魂
透明の生物が蒼褪めた
ルビーの背骨陽が透ける
決して溶け合わない液体湛えて
鏡横目で整えたホモ・サピエンス
箪笥開ければ生活の塵芥
燃えさしのロウソクで灰サヨナラ
2022.2.25
見出し:mage.space使用し作成
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?