南風に心ざわめく夜。
エアコンの風に当たりながら、スマホをいじる食卓に、テレビから聴き馴染みのある歌が聞こえてきた。
顔を上げると、爽やかな青空をバックに女の子が走るいかにも夏らしいCMが流れている。
青春時代はiPodで。
大人になった今はスマートフォンから流れる音で。
「きみをもっと」に何度心躍らせただろうか。
クレジットにはっきりと
レミオロメン「南風」の文字が出た。
活動休止の知らせを聞いてから、もうだいぶ月日が流れ、手元にある音源だけが、あの時の思い出を大事に鮮明に残してくれていた。
それがまさか、テレビから流れてくるなんて……
抑えていた淡い期待が溢れてしまいそうになる。
慌てて情報を追うと、公式YouTubeには95秒バージョンが上がっていることがわかった。
懐かしのあのイントロから始まるのがうれしくて、つい何度も再生ボタンを押してしまう。
いい、すごくいい。
やっぱりレミオロメンは最高だ。
同志を探したくて、「レミオロメン」で検索すると、懐かしさに心締めつけられる仲間が沢山いた。
あの時、まだ制服を着ていた田舎の学生にはわからない、大人の事情があっただろう。私たちの知らないいろんな思いがあったんだろう。
そう思いつつも、「解散」ではなく「活動休止」であったことに確かな違いがあるはずと、信じていた。
当時、生で音を聞くことは叶わなくて、親が買ってくれたアルバムをパソコンからiPodに移して、学校の行き帰りや勉強しながら沢山聞いた。地元を離れてからは、彼らの曲に山梨の匂いがこんなにも染み付いているのかとはじめて気づいて、また繰り返し聴くようになった。
今でもレミオロメンが、大好きだ。
弱った心を強くしてくれる。
そんな彼らの歌が、こんな鮮やかに色褪せず、テレビの中によみがえったのが本当に嬉しい。そう、ここに記しながら、噛み締めている。
私のように再会を喜ぶ人もいれば、このCMをきっかけに初めて出会う人も、いるんだろう。
本当は寒い時期の歌なんだけど、その事実もフルで曲を聴いたり、歌詞を見たりして、これから新しく気づく人が出てくるのかもしれない。
今夜はそんな懐かしさと新たな未来に胸を高鳴らせて。
あのイントロを何度も聴きたい。