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本は3冊まで。

本は3冊まで。
気づけばそんな自分ルールができていた。

気になる本が色々あっても、レジに向かう頃には無意識に3冊に絞ることを考えていて、悩む本をとっかえひっかえしたりする。

もっと買おうと思えば買えるけど、なんだか4冊や5冊はしっくりこない。「3冊」がちょうど手におさまって、じぶんにぴったりな気がした。

きっかけは多分大学1年の頃。
それまでほとんど小説を買ったことのなかった私が(元々活字が苦手で漫画ばかり読んでいた)、ものすごく小説が読みたい衝動にかられて買ったのが3冊の文庫本だった。

あの時は大学の課題で難しい論文を山ほど読まされて、論文特有の堅苦しい言い回しにうんざりしていた。その反動で買った小説3冊を、テストが終わった日の夜に一気読みした。

スルスル入ってくる文章と、どんどん浮かぶ情景に夢中になり、その爽快感はくせになった。

それからというもの、私は何かモヤモヤしてくると書店に足が向くようになった。本のタイトル、装丁、帯のコメントを流し見していくだけでも面白いし、「今日はこの本の気分」というものに出会えると嬉しい。そしてやっぱり3冊だけ選ぶ。


そんな日々をもう10年過ごしてきたのに。
ついにルールを破ってしまった。

最寄駅に本屋さんがなくなってからというもの、私は身近な気軽に寄れる本屋さんを失った。それはそれは地味にストレスが溜まっていて、でもわざわざ書店に行くためだけに出かけるのもなぁと腰が重かった。

今朝は朝起きて「今日は本屋に行こう」、そう決意する気分だった。
仕事帰りに乗り換え駅で寄り道すれば、大きな書店に寄ることができる。乗りたい路線からは離れているから、いつもは疲れて諦めてしまう。でも今朝の決意は固く、まっすぐ書店に向かった。

いつものごとく、流し見で本を見極める。書店自体が久々で読みたい本がたんまりとあった。最近よく読んでいる作家さんの本、ずっと気になっていたけどまだ読んでいなかった本。選びとったらあっという間に3冊決まってしまった。

今日はこの3冊かな。
そう思った時、もう1冊見つけてしまった。運命的な出会いというほどでもないけれど、今日はこの4冊目まで含めるのが、妙にしっくりきてしまった。

またしばらく来れないかもしれないし。
そんな言い訳もしつつ、私はレジに向かう。

4冊目を買ったことで、当然ながらちょっと高くなった。さらに初めて3冊ルールを破った。レジを通したらもう後戻りできないけれど、私はあっさり会計を済ます。気分は3冊の時と同じく爽快だった。

かといって今後何冊でもよくなるわけではない気がする。結局また3冊を基準に選ぶ自分がいるんだろうなと想像する。

さて、次回の私は何冊買うでしょか。
乞うご期待。

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志麻/shima
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