自分のことが好きになるヒント②
①のおさらい
・両親にも愛されない(と、当時は考えていました)自分を自分が愛せず、また誰にも愛されないと思い込み、私自身誰も愛することができないとずっと考えながら多感な思春期を過ごし、そのような考えに自分自身が捉われ続け苦しんでいた。
・当時はよく「自分が存在していることを当たり前に考えて生きている人が羨ましい」と考えていた。
・「自分が存在していることを当たり前に考えている人」が見ている世界を、自分も同じように見てみたいと常々思いながら前向きになりきれず、情緒不安定な日々を過ごしていた。
自分のことが嫌いで、自分自身を受け入れられずにいた時期がありました。
でも、自分のことが嫌いなはずなのに、どうして家族や周囲の人に私は受け入れてもらえないのだろう理解してもらえないのだろうと考えてばかりいました。
自分のことが本当に嫌いだと考えているのだとしたら、まず人に受け入れてもらえないことを嘆く必要がありません。むしろ共感するのではないでしょうか。「私自身が私を快く思っていないから、家族や周囲の人に私を受け入れてもらえない理解してもらえないのは共感の嵐だな」と考えるのではないでしょうか。
ではなぜ、自身で自分のことを嫌いだと認識しているにも関わらず、他者の理解を得ようとすると思いますか?
それは、自身で自分のことを嫌いだと認識している「つもり」だからです。
人間には「自己愛」という概念が備わっているからです。
「自己愛」と聞くと、どのような印象を持たれますか?
どちらかというとネガティブな印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
「自己愛」=「自分のことが好きな人」=「ナルシスト」=「プライドが高い人」=「高圧的」=「自己中心的」
という印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
精神分析における自己愛について
精神分析の創始者であるフロイトは「一次的ナルシシズム」「二次的ナルシシズム」という概念を挙げ、自己愛には発達段階があり、自己愛から対象愛へと変化するものと説明しています。
「一次的ナルシシズム」とは、自分と他者の区別がつく前段階のことであり、リビドー(いわゆる性的欲動)が全て自分自身にしか向いていない状態のことです。
世界は自分中心で、自分の思うままに動いていると錯覚している状態ともいえます。
その段階を経て、自分と他者との区別ができるようになると、リビドーが自分から対象(いわゆる他者)に向くようになり、対象愛へと成長していくといわれています。
「二次的ナルシシズム」とは、リビドーを向けていた対象に幻滅してしまったことで、再び自分自身にリビドーを向けてしまっている状態のことを指します。
こうした状態は退行(発達段階が前の段階に戻ること)と呼ばれたり、病的な状態といわれたりしています。
いずれにしても、フロイトは、人の発達過程は自己愛から対象愛へと変容していくものであると考え、自己愛という概念には“未熟さ”や“ネガティブなもの”というニュアンスが含まれています。
(大阪・京都こころの発達研究所 葉のHPより引用)
一般的に「自己愛」というとこのように捉えられている方が多いように思います。私もかつてはこのように自己愛を捉えていました。
コフートの自己愛について
自己愛の概念をポジティブなものとして捉えたのは自己心理学の創始者であるコフートです。
フロイトは自己愛から対象愛へと変容していくものとして考えていたのに対し、コフートは、自己愛は経験によって、より成熟した自己愛へと変容していくものと考え、健全な自己愛の成長が人にとって重要なことであると述べています。
コフートは成熟した自己愛への変容に必要な自己の構造を2つ挙げています。
1つ目は、野心です。子どもの野心は、母親(あるいはそれに近しい養育者や周囲の大人など)の無条件の承認によって育まれていくとされています。
子どもは母親から「えらいねぇ」「すごいねぇ」のような肯定的に認められることによって、子どもは根拠のない自信(誇大自己)から、現実的な野心へと成長し、自信をつけていくことができるようになります。
次いで2つ目は理想です。子どものうちは“なんでもできるお母さん”や、“誰にも負けない強いお父さん”のように、万能的に理想化された親のイメージを持っています。
ですが、親は常に子どもの期待通りに反応ができるわけではありませんので、子どもは不満を抱いてしまうこともあります。
そこでコフートは、子どもの成長にとって適度に不満を抱くことが重要と考え、そうした体験を繰り返すことによって、万能的に理想化されたイメージから、現実的な理想の在り方を身に付けることができるといわれています。
以上のように、人は、野心と理想の自己の構造が成長していくことで、未熟な自己愛から成熟した自己愛へと変容していくことができるとコフートは述べており、自己愛を“ポジティブなもの”“人間にとって重要なもの”と捉えています。
(大阪・京都こころの発達研究所 葉のHPより引用)
私は当時Twitter(現X)で心理学や精神医学に関する情報をよく閲覧していました。
そのときにたまたまこのコフートの自己愛についてツイート(現ポスト)されているものを見つけたのです。
これまでの自身が抱いてきた「自己愛」の概念がひっくり返った瞬間でした。
自分のことを嫌いだと思っていたけれど、今の自分は自分のことを好きであるということを認めることがネガティブなことだと思い込んでいる状態なのではないかと考えるきっかけになったのです。
自身に新たな気づきを得るヒントを見つけられたとそのときに強く思ったことを今でもよく覚えています。
長くなりましたので続きは③に。
今、自身を受け入れられず悩んでいる方の、気づきを得るヒントになれば幸いです。
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紫光