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「志高く」バックナンバー⑬~スポットライト~

こんにちは、志高塾です。

毎週火曜日に代表が更新している「志高く」ですが、本日は臨時休業となっております(ゴールデンウィークに頑張ったご褒美ということで)。

そのため、代わりと言ってはなんですが、今回はnoteにてバックナンバーを再録することにいたしました。

大学生版「十人十色」、その名も「beforeとafterの間」の開催がついに今年の7月末に決定したため、それに触れた文章をお届けしています。金曜日にも、その続編を掲載する予定です。

詳細や案内についてはもう少し日が近づいてからになりますが、はやくも待ち遠しくてワクワクしています。

Vol.522「スポットライト」(2021年12月7日/HP掲載)

志高塾では、新しく入った講師には20コマの研修を課している。そして、それは各4コマずつの5つのステップに分かれていて、ファーストステップでは授業内での生徒との接触を原則禁止している。生徒はそのようなことを知らないので、新しく入った講師が近くにいれば「先生、この漢字どうやって書くの?」と質問したりするのだが、そのようなものにも応えることを認めていない。もし、それまでに何度も教えたものであれば「これまで何回も書かせたやろ。ただ書けば良いと思って練習するからそんなことになんねん。いつもは3回ずつやけど5回書け」と注意しなければならないし、逆に習っていないものでも興味を持ってどんどんと吸収しようとする子であれば、「そういう姿勢は漢字だけではなく、他のことにも役立つから大事にするんやで」ときちんと評価してあげなければならない。その子のそれまでの状況を分からなければ適切な対応などできるはずもないのがその理由である。もし、読解問題で「『その理由』とはどのようなものですか」と問われれば、「新しく入った講師が、授業において生徒から質問されたことに応えることが志高塾では禁止されている理由」などとなる。「授業において」や「志高塾では」に類する言葉が抜けないようにするのが解答のポイントとなる。

話を戻す。その段階では、授業中は、教室内で起こっていることをとにかくメモに取ることが仕事である。別に、それを細かくチェックをするわけではない。時々、覗き込んだり見せてもらったりする程度である。ポイントを押さえつつ一定量書き込めている人は良い講師になる可能性大である。「絶対にそうなる」と言い切れないのは、瞬間的に能力を発揮するものの、継続的にできない人がいるからだ。

ところで、この「ステップ」という呼び方は気に入っている。単に、第1段階、第2段階というのをカタカナにして、ファーストステップ、セカンドステップ、と呼んでいるだけなのだが、正に1つずつクリアして行くことでステップアップして行ってくれるように感じられるからかもしれない。これまでも、そしてこれからもこの名称のままで変更はしないはずである。一方で、以前にここでも話題にしたはずの「社会人講師」、「学生講師」というのはどうもしっくり来ていない。「アルバイト」に「社員ではない」という意味が強く出る気がして、それを避けるために2つに分けてみたのだが納得感が得られないのだ。ちなみに、社会人講師にはこれまでの経験を還元すること、学生講師には新鮮な風を吹き込むことを主に期待している。あくまでも「主に」なので、社会人講師が新鮮さを持ち込んでくれるのも大歓迎である。実際、私自身がそういう存在でありたいとあがいている。どなたか良いネーミングがあれば教えて下さい。

「授業において」に類する言葉が抜けないようにするのが、ポイントとなる、と述べた。逆に言えば、授業外では禁止していないどころか、率先して関わってもらうようにしている。ファーストステップのうちから、インターフォンが鳴ったら生徒を出迎えて「新しく入った~です」と自己紹介をするように、また帰る時は玄関まで見送ってあげるようにお願いしている。これは、開塾当初からそうなので、今となってなぜそのように決めたのかは定かではない。ただ、それがとても重要なことであることは紛れもない事実である。今でも、生徒が「さようなら」と言っているのに誰も呼応せずに玄関のドアが閉まるのが聞こえると、「ちゃんと見送ってあげて」と講師たちに声を掛ける。

私の中に、志高塾の中に子供たちの居場所を作ってあげたい、という気持ちは強い。居場所とは、何か。それは何だか知らないけど、心が落ち着く場所のことを意味している。だからと言って、「アットホーム」という言葉を使うのは好きではない。塾がそれを用いる時、得てして指導力の無さを「アットホームな雰囲気」でごまかそうとしているように感じられるからだ。我々の本分は、あくまでも学力を伸ばすことである。だからと言って、点数を上げて、志望校に合格させれば、それで役割を果たしたことにはならない。もちろん、それさえしてくれれば十分と考える親御様がいないわけではないだろうが、少なくない親御様が人間的な部分での成長を促すことを志高塾に期待していると思い込んでいる。そのためには、その子自身をきちんと見てあげなければならない。少々大げさな表現にはなるが、生きていく上で、誰かが自分のことを愛情持って見てくれていると感じられるのは非常に大事なことである。愛情があるからこそ、厳しいことが言えるのだ。もちろん、我々が必ずしもそのような存在になる必要はないので、他にそのような場所があるのであれば出しゃばらずに少し引いたところ見守ってあげれば良い。だからと言って、厳しさを緩めるわけではない。

あるお母様から「大学受験版の『十人十色』は無いのでしょうか?」という質問をいただき、「現状はありません。2, 3年以内に開催できるようにします」とお答えした。ちなみに、「十人十色」とは、中学受験生の親御様に一人15分から20分程度で経験談をお話をしていただく場である。大学版では、本人に話してもらうことになるのだが、私がイメージしているのは、大学受験直後ではなく、2, 3年大学生活を過ごしていたり既に社会に出たりしている元生徒である。きっと、そっちの方が面白いし、現中高生にはその先がイメージしやすくなり参考になるはずである。これまで開催してこなかったのは、その対象になる生徒がそこまで多くなかったのと、何よりもそれぞれが忙しいため日程調整をすることができなかったことだ。そして、「俺、あほだな」となった。それこそ、オンラインでやれば良いのだ。受験が落ち着いたら、その準備を進めるので少なくとも来年中には必ず開催します。通塾中、志高塾に居場所を見つけられていたのであれば、私からの依頼を快く引き受けてくれるはずである。乞うご期待。

                              松蔭俊輔

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