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【映画】『正体』
-はじめに-
藤井道人監督はどうにも琴線に触れる雰囲気の作品が多い。
今作は過去作品にも出演していた横浜流星さんと、ということもあり、期待を大きく抱きながら観た。
原作未読、同タイトルのドラマ版も未視聴。
-鑑賞日-
2025/02/06(木)
-感想-
二つの冤罪
映画内では、二つ冤罪が描かれている。
一つは鏑木(横浜流星)。もう一つは安藤父(田中哲司)。
前者は主題で明らかに冤罪として描かれている一方で、後者は明確にはなっていない。とはいえ紛れもなく冤罪だろう。
映画的にはこの父の冤罪が安藤沙耶香(吉岡里帆)が鏑木を信じる動機の一つとしても効果的に感じたりもしたけれど、どうにもやるせないものがある。
鏑木と又貫の対比
又貫(山田孝之)は鏑木と対照的にとても弱い人だと感じていた。
はっきり言ってしまうと、あの事件現場の状況からしてみると、真犯人にはたどり着いていてほしいし、できたように思う。
それがかなわなかったのは、もちろん川田(松重豊)の言動に大きな責任があるように思うものの、又貫がごく普通に弱い人間だったからなのだろう。
疑問を飲み込み、そうあるべしという秩序に従ってしまう。
そんなものだとも思う一方で、そんなもので終わってほしくないとも思う。
対照的に鏑木は強いなと思う。
「信じたかったんです、この世界を。正しいことを正しいって主張しすれば信じてくれる人がいるって」
そう言って戦い続けることができる。進み続けることができる。それは並大抵ではない。
そして、その過程で出会った人にあれだけ影響を与えることができる人間性もまた素晴らしい。
野々村和也(森本慎太郎)も安藤沙耶香(吉岡里帆)も酒井舞(山田杏奈)も、そしてま吾又貫征吾(山田孝之)も、皆が影響されて前に進む様も良かった。
俳優
それにしても、横浜流星さんと山田孝之さんは毎回観るたびにすごいなあと思う。
役そのもののようで、嘘偽りのない言動と表情に感じて、思わず引き込まれる。
素敵な俳優だなと改めて思った。
-あらすじ-
染井為人の同名ベストセラー小説を、横浜流星の主演、「新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督のメガホンで映画化したサスペンスドラマ。
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こして逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木を追う刑事の又貫征吾は、逃走を続ける鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べる。しかし彼らが語る鏑木は、それぞれがまったく別人のような人物像だった。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返す鏑木。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになり……。
これまでも「ヴィレッジ」や「パレード」で藤井監督とタッグを組んできた横浜が、姿を変えて逃亡を続ける鏑木を熱演。鏑木が日本各地の潜伏先で出会う人々を吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈が演じ、山田孝之が鏑木を追う刑事の又貫に扮した。
(引用)
-情報-
2024年製作/120分/PG12/日本
配給:松竹
劇場公開日:2024年11月29日
(引用)