見出し画像

【映画】『ダンケルク』

-はじめに-

たくさんの映画を右から左にただただ消費してくだけになってしまう。
いつのまにか忘れていってしまう。
それではあまりに悲しいし、ひとつひとつの映画とのつながりを残しておきたいと思い、ルールを決めてみることにした。
これから、まずは週に1本、映画を観て感想を残していきたい。


-鑑賞日-

2025/02/01(土)


-感想-

不勉強ながら、この史実としてのダンケルクの戦いを知らなかったこともあり、はじまってしばらくするまでは状況が把握できなかった。
そのうち、
「1 - THE MOLE - A WEEK」
「2 - THE SEA - A DAY」
「3 - THE AIR - A HOUR」
と説明されて、ようやく把握ができた。ここまでは少し頭を悩ませていたのだけれど、つまり描かれる時間軸が若干異なっていて、いずれ収束するのだろうと想像できて、観やすくなったように思う。
この形式にならって思い返そうと思う。

-「1 - THE MOLE - A WEEK」-

逃走からの始まり。トイレすらままならないことが印象的だった。
自国であるイギリスを優先して救出する方針で、さらに40万といる、言われる中でたった3万やら4万やらという残酷な数字であること。そしてそれがおそらくは政治的な判断も含まれるのだろうということ。とてもやるせない感情を抱いた。
トミー(人物名が最後まで明確にわからない描かれ方だったように思う。彼もあっているか正直わからない)のどうにかあきらめずに”うまく”進んでいく姿が印象的だったがゆえに、魚雷による船の沈没により海岸に戻されたときのまさに”ふりだしにもどる”感覚が絶望を誘った。
それでもまた別の手段を考えて、行動するところが彼や彼らの強さだなと感じた。
そして打ち上げられた商船に潜み―――

-「2 - THE SEA - A DAY」-

船長の意思は一貫していて、正直、納得までは届かなかった。
使命感、なのだろうか。そういった感覚に自分はなじみがないように思う。
むしろ、青年?の気持ちがより親しみやすくて、その視点で観ていたかなと思う。
”誰かのため”は、どこかで自分のためでもある。そんな風に胸に残った。
また、救助された兵士の何があっても戦場に戻りたくないという感情もよく理解できる。
だから、やがて起きる向く先の違いによる衝突が生んだ”結果”は残念だった。その”結果”に対するそれぞれの行動もまた考えさせられた。
そして船は進み―――

-「3 - THE AIR - A HOUR」-

空の戦い。ある意味で、ここが一番苦しい戦場でもあったのかな、と想像したりした。
仲間も減っていく。自分にも不安がある。しかし、早々にあきらめて帰ってしまえば多くの命が失われることは自明。
そんな中で、ファリアは最後まで戦い切ったところに感銘を受けた。
そんなファリアを残して、先に不時着したコリンズは―――

-時間軸の収束-

そうしていつのまにか、時間軸が収束して"いま"になる。
この収束していく感覚は、群像劇的な作品における気持ちよさの一つだと思う。
そしてまさに、そこが自分の認識しているクリストファー・ノーラン監督作品の良さの一つでもあると思うし、難解といわれがちな所以でもあると思う。
「3」の不時着したコリンズが「2」の船に救助され、「1」の海岸で待つ陸軍のもとに「2」の船と同じように招集された民間船を含めた救出船が沖合に姿を見せる。たくさんの船が見えた時の指揮官の笑みは会心だった。
さらに「3」のファリアが最後に敵戦闘機を撃破するところまで、物語として見事だった。
これが史実をもとにしているということを忘れて、「お見事!」と思ってしまうくらいきれいな収束をしてみせてくれた。

-ラストシーン-

結果として、3万やら4万やらと言っていた数字を大きく上回る30万以上を救出したという事実には驚きがある。けれど思うのは、とはいえ10万以上が救えていないという事実でもあるということ。
さらに言えば、フランスはまだ取り残されている、自国を攻められ続けているということだ。
だから、指揮官が残ったときに口にした言葉はどこか置き去りにしてしまったモノを拾ってくれたような気持ちがした。
「2」にて亡くなった青年について、その後英雄として描いたことには、意図は理解できるけれど、どこか違和感を覚えた。
一番印象的だったのは、列車で帰還する兵士たちとそれを迎える”大衆”の認識の差。悲惨な撤退戦だったことは間違いないにもかかわらず、それを奇跡として歓迎しているギャップに恐ろしさを感じる。
プロパガンダに使われたということだし、戦時・平時問わず、多くの場所でこうして世界が動いてしまっているのかと恐怖を抱くシーンだった。
加えて、ここにカットインするような形で、敵地に着陸したファリアが美しい景色を背景にして戦闘機を燃やし、捕虜となっていく。
なんだか、とても恐ろしい印象で、終わっていった。


-あらすじ-

ダンケルクの海岸に追い詰められた何十万人もの英仏連合軍に敵の軍勢が迫りつつある状況の下、物語は陸・海・空を舞台に展開される。海峡上空ではイギリス空軍(RAF)のスピットファイアが敵機を迎え撃ち、地上の無防備な兵士たちを守るために空中戦を繰り広げる。そして海上では軍人ばかりか民間人も小型船に乗り込み、一人でも多くの味方の命を救うため、時間との戦いの中で危険をも顧みず、決死の救出作戦を決行する。
引用

-情報-

2017年製作/106分/G/アメリカ
原題または英題:Dunkirk
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2017年9月9日
引用

-予告-


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集