「森」
◇鹿児島県は屋久島にある※樹齢3000年といわれる弥生杉が台風により折れてしまった。また土砂崩れがあちこちにある状態だという。
そのニュースを見てショックだった。
以前、noteにも書いた事があるが国内でおすすめの旅先を聞かれれば「屋久島」と答えるほど好きな場所だからだ。
また屋久島の焼酎「三岳」は初めて飲んだ芋焼酎であり思い出深く、今でも一年に一回ぐらいは飲んでいる。当時、東京では殆ど買えなかったが今では比較的どこでも手に入る。
三岳はサッパリ軽い飲み口でソーダ割りにすれば水の様にスルスル飲めてしまうので暑い日にピッタリ。
まだまだ暑い秋の夜長におすすめ。
※諸説あり
◇映画もののけ姫の舞台のモデルにもなった屋久島の魅力は大自然にある。
中でも現在確認されている杉の中で最大である縄文杉(推定樹齢2000〜7000年)の巨大さには圧倒される。漫画ワンピース的に言えば目にした瞬間、覇王色の覇気を喰らったかと思う程の衝撃がある。
悠久の時を過ごして今そこにある事実に感動と偉大さを感じざるを得なかった。
縄文杉はネットで検索すれば画像はいくらでも出てくるが、本物との差があまりにも大きく全くの別物でしかない。
つまりこれは、自然というのは画像や文字や動画そういう「情報」には収まらないという事を示している。
文明の進化、情報社会なんて喜んで言う人もあるが、所詮情報なんてその程度だという事を縄文杉は身体の全感覚に訴えかけ教えてくれる。
◇X(旧Twitter)で上がった弥生杉倒木ニュースのコメント欄を見たら辟易と溜息が出てしまった。
何件かに一件「日本を守ってくれてありがとう」と言うコメントが散見された。そんなバカなと思った。
つまりこれは温帯低気圧に変わり本州直撃を避けた(守ってくれた)という意味であるんだろうけども、当然それには犠牲があるわけで言い方を変えれば生贄を捧げたとも言える。マインドが古代から変わっていない。
3000年という樹齢に神性を感じたのか「自然」というものの感覚が抜け落ちて情報(頭の中)の中に生きているから、そう考えてしまうんだと思う。
1ヶ月35日雨が降ると表現される降雨地帯にも関わらず、受け止めきれない程の台風が今回来たという事実がただそこにある。地球温暖化が具体的な災害として深刻なレベルになってきたというだけの事だ。
カルトやキナ臭い新興宗教や陰謀論にハマってしまう人の多さが「日本を守ってくれてありがとう」の多さが表していると思わざるを得なかった。
◇「大きな樹が倒れた事で森が開かれ日が差し込んでくるので新しい芽が生まれてくる事にもなる。これも大きな自然のサイクルです」
そう現地ガイドが語ったという。
流石ガイドだけに自然の感覚が身に染みていると思った。自然は循環である。
森の手入れにヒトが入り、地面に日が当たり豊かな自然が形成される。つまりヒトも生態系の一部だという事を理解しているからこそ言える言葉なんだね。
都会となると完全に人の手が入らないモノ、放置されたモノが「自然」と思っている人が殆どだと思う。自然と人は別々だと思い込んでいる。
人も自然の中に組み込まれた一部であるという事を忘れている。まるでお釈迦様の手の上の孫悟空のように。
だからそれに気がついた昔の人は西遊記を書いたんじゃなかろうか?
そんな気がする。