AHA ACLSに行ってきましたレポ
先日急変対応ブートキャンプことAHA(アメリカ心臓学会)の「ACLS」に行ってきました。
今後行こうと思っている人、興味がある人のためにレポートしたいと思います。
ACLSって何?BLSとは何が違うの?
ACLSとは、Advanced Cardiovascular Life Supportの略称になります。
今回私が言ってきたのは、AHA(アメリカ心臓協会)のカリキュラムのものです。
ACLSは心停止、脳卒中などの緊急事態に対応するための知識、技術を身につけるための研修です。
いわゆる二次救命処置を学ぶことができます。
ちなみに一次救命処置をBLS(Basic Life Support)と呼びます。
これは突然倒れたりした人の対応を学ぶ研修になります。
BLSは「あ!倒れた!」からとりあえず安全確保してCPR(心マ&人工呼吸)!
という発見してからすぐの対応です。
ACLSはBLSの後の救急救命士さんやお医者さん、私たち看護師が到着した後の対応です。
CPRをしつつ、薬剤投与、ショックなどをおこなって自己心拍再開を目指します。
BLS、ACLSは民間の資格ではありますが、看護師のスキル・資格として履歴書に書けたりします。
ACLSレポート①申込&お値段編
友人に誘われてBLSへ行き、お金を払えば自分はちゃんと勉強するのかもしれないと思いました。笑
BLSがかなり勉強になったので、友人とACLSも行こう!となりました。
看護師5年目の終わりで転職か進学かしたいなと考えているところです。
自分に知識・技術を入れつつ、スキルアップ的な資格を取りたい時期なのでトライすることにしました。
コロナで申し込んでも返金になることを数回繰り返し、こないだ行って参りました。
ACLSははちゃめちゃに勉強になるし、体をガンガンに動かして演習できる良い研修なのですが…
その分料金がめっちゃ高い!!!
3万5000円を悲しい顔でポチりました…
(もうちょっと安くなってくれたらいいんだけどな…)
しかも研修の料金だけじゃないんです、高いのは…
テキストも8000円ぐらいします!高い!!!
メルカリなどでもう少し安く売っていたりもしますが、5年おきに改訂されているので必ず最新版を購入しましょう…
値段に釣られて前のバージョンを買って、会場で最新版を買わされた私との約束だよ…
カリキュラムも最新版のテキストに沿ってアップデートされているので、古いバージョンを買うと勉強する範囲が少しずれたりします。
必ず!最新版を買って、勉強することをお勧めします。
前のバージョンだったせいで追加されたところが載ってなくて
自分でテキストと教科書と色々見ながらまとめ直さなきゃいけなかった私との約束だよ…(2回目)
高いよ!と何度も書きましたが、値段に見合った内容を座学だけでなく実践で学べるので勉強になる研修ですよ!
ACLSレポート②事前学習編
ACLSは本番の研修の前に事前学習を課されます。
内容は二つです。
①映像講義の試聴
②受講前自己評価(事前テスト)で70%以上の点数をとる
①も②も時間がかかるので、前もって勉強を始めることをおすすめします!
①映像講義の試聴
映像講義は、ERシリーズのような現実に近い映像でした。
ポイントがまとめられているので、これだけでかなりいい教材になります。
1本は数分程度なのですが、動画の量が20本近くあるので全て見るためには2時間程度かかります。
時間がかかりますし、テキストを読み込む前に見た方が要点を先に把握できるのでいいと思います。
②受講前自己評価
受講前自己評価はちゃんと勉強しないと70%取れないです…
そもそもこの受講前自己評価をクリアしないと本番の研修がかなり辛いものになってしまうので、しっかりやりましょう。
特に心電図の判読、アルゴリズム関連は頭に入れてから講習に行くことをおすすめします。
心電図の判読では、この心電図で今何が起きているのかをすぐに判読できる必要があります。
テキストに載っている心電図同様、研修内で使用する心電図はノイズが少なくかなり見やすいものです。
心房細動なら基線がぐちゃぐちゃ、房室ブロックなら…など特徴をおさえていくといいです。
アルゴリズムは、心停止/PEA、徐脈、頻脈、ROSC後(自己心拍再開後)が重要になります。
理由はアルゴリズムに則った動きを研修でゴリゴリに実践するからです。
実技でゴリゴリ演習して、体で覚えられる機会はあるのですが、アルゴリズムはある程度頭に入っていた方が実技で困らないです。
ACLSレポート③座学、演習
ACLS協会のHPに記載されている時間割です。
1日目は予定では9時〜17時ごろまでのかなり長い研修になります。
私が受けた時には17時までかからず終わりました。
座学では、受講前にみる映像講義を再度見る形になります。
映像講義後にインストラクターからのスライドを使った講義がありました。
インストラクターからの講義では筆記試験に必要な知識の補足や映像講義はアメリカの法律に則ったものなので日本ではどうなるかなどの説明がありました。
ステーションとかかれたレッスンでは実技演習になります。
CPRの実習では2人法でのBLSの演習をします。
この時に他の演習でも使用するCPRの質を数値でフィードバックできる模型を使用します。
今何cmの深さで、1分あたり何回ぐらいでCPRができているのかわかる装置でした。
質の高いCPRと言われる5cmの深さ、120/分のCPRはめちゃくちゃ大変です…。
気道管理では経口エアウェイ、経鼻エアウェイの挿入練習をします。
どの演習でも最初にやり方を教えてくれて、フィードバックもいただけるのでしっかり演習できました。
その後5〜6人のチームに分かれてACLSの要であるアルゴリズムの演習をしていきます。
リーダー、記録係、AED、CPR、気道管理、薬剤投与のそれぞれの役割を順番に回しながら演習をしました。
リーダーの演習では患者の状態把握、評価、指示出しなどアルゴリズムを実践することができます。
インストラクターの方がついてしっかり教えてくれるので、ゴリゴリ演習できます。
この時使う模型もCPRの質を評価できるものだったので、CPR係は気道管理係と交代しながら実践さながらのCPRをすることになります。
こんなに手が痛いのかや2分で交代しても質が保てないなど実践につながる疲労感も演習できるので個人的にすごく勉強になりました。
5〜10分程度演習をするのですが、CPR係、気道管理係になると交代しながらずっとCPRをすることになります。
かなりの運動量になるので動きやすい服装、靴で行くことをおすすめします。
私は冬だったのでヒートテックを着ていたのですが、後悔しました。
ACLSレポート④メガコードテスト
座学、演習が終わった2日目はメガコードの演習をします。
メガコードは患者と出会った瞬間からスタートし、心電図判読し、診断に合わせた治療を行なっていく演習です。
メガコード演習では1日目の演習と同じようにチームに分かれ、役割を交代しながら演習しました。
このメガコード演習でもCPRはガチでやっていたので、マジで手が痛くなります。
それどころか腹筋や全身が筋肉痛状態になりました…。
私が経験した頻脈のメガコード演習では、こんな流れでした。
①動悸を訴えた患者が救急外来に来たという想定でスタートしました。患者から症状の聞き取り、バイタルサイン測定、心電図装着を行う。
②自覚症状あり、バイタルサイン測定にて低血圧あり、不安定な頻拍と判断。
③電気ショックパッドを装着し、同期電気ショックの準備を行う。
④同期電気ショックの準備中に、患者が急変、心房細動が起こる。
⑤救急コールしチームメンバーと心停止の治療開始
⑥自己心拍再開。安定化のための初期治療の指示、検査結果から心停止の原因を考え、新たな検査の指示やカテーテル室への連絡の指示などを行う。
頻脈/徐脈の治療と心停止の治療を患者の状況を判断しながらやっていく演習になります。
今までの座学や演習の総まとめとしてチームメンバーと取り組んでいきました。
メガコードの演習が終わったら、メガコードの試験を行います。
流れは一緒でした。
演習では適宜アドバイスをしてくれていたインストラクターの方や協力してくれたチームメンバーは協力してくれなくなるので、1人で判断して指示を出していくことになります。
また、インストラクターの方から自分がリーダーで演習した患者でテストしますと言われていたので、演習でアルゴリズムを頭に入れればテストは問題なかったです。
ACLSレポート⑤筆記試験
メガコードテストも終わり、お昼休憩を挟んだところで筆記試験になります。
筆記試験の内容は状況設定問題や受講前自己評価試験でもあったような薬剤や器具の使い方、チームメンバーとの協力の仕方などでした。
4択問題であり、内容も座学、演習をしっかり受けていれば問題ない内容でした。
また、マニュアルの持ち込みができます!
付箋などで重要なアルゴリズムのページなどを素早く見れるようにしておくと便利でした。
1時間の試験なのですが、みんな時間かなり余裕で終わっていました。
インストラクターの方に採点していただき、85%以上で合格になります。
私の場合は、一回何も見ずに普通に解き、表記がよくわからなかったところだけマニュアルを見直したところ、筆記試験は100%でした。
英語の試験をそのまま日本語に訳しているようなので、ところどころわかりにくい表現はありますが、マニュアルを見直せば問題ない範囲でした。
15時までの予定でしたが、13時過ぎに終わりました。
まとめ
私の感想としては「ACLS行ってめっちゃよかった!」です。
私の勤めている病院は急変がそこまで起きないので、私は急変に遭遇したことがほぼありません。
心停止の治療など教科書的に知っていても、実際に急変が起きたときに動けるかと言われると不安がありました。
今回ACLSに行ってみて、不安はありますが、まず何をしなくてはいけないのかなど基本的に動きが頭に入ったのでかなりためになったなと思います。
安くないお金を出しているので、しっかり勉強しようという気分になれたのもよかったです。
試験があることは知っていたので、緊張感を持って事前学習や座学、演習に取り組むことができました。
演習中ではCPRの質を評価できる模型をずっと使ったので、2日間で自分に質の高いCPRがかなり染みつきました。
実際の患者さんに行うのは、模型と違うと思いますが、手だけでなく全身使って演習できたのはとってもよかったです。
インストラクターの方も私たちにACLSの知識と技術を身につけてほしいという熱意がある方ばかりだったので、優しく丁寧に教えていただけました。
ACLSは急変に自信がない看護師さんは行って損がないと思います。
決して安くないですが、大切で重要な知識と技術を勉強することができました。
行こうか悩んでいる方はぜひ、行ってみてください。
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