アルコール・ダイアローグ
「目覚めるために酔うんだよ」
「それは、起きるために眠る、みたいな事ですか」
「過ぎし世は夢かうつつか白雲の 空にうかべる心地こそすれ。だね」
「つまり?」
「これまでの人生、夢か現実か分からない。とにかく雲の上のような感じ」
「白昼夢の様な人生ですね」
「でもね、酔いから醒める瞬間だけ、確かなうつつを感じる事が出来る」
酔っ払いには、酔っ払いなりの論理があるらしい。
「酔って現実を忘れるためじゃなく、酔いから醒めて現実を知覚するために、酒を煽るってことですか。回りくどいですね」
「君だっておはようを言う為におやすみと言うだろ」
話が通じているような、通じてないような、よく分からない。
「私にはそれを告げる相手はいません」
「俺も。だから、酔っぱらうの。目覚めるために酔うんだよ」
多分、ここでループした。デイドリーム・ビリーバーとのアルコール・ダイアローグ。
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