詩「しらゆき」

もう会えないの。もう会えないと。
分かった時にはそれほど実感は無くて。
また会いたいよ、募る想いは。
降り積もってく雪のように冷たくて。

薄氷はすぐに割れる。それでも美しく映る。
輝く光の中で続く儚げな記憶。
声にならない声はあなたに届くことは無くて。
音にしたところで伝える術(すべ)すら無くて。
情熱を滾らせて、音の波に変えて、奪い去った熱で辺りを凍らせて。
泣き喚きながら漕いだ、オールは既に折れて。
胸に秘める焦がれた、想いも今は折れて。

ずっと繰り返すけど。
この気持ちの行き場未だ見つからずに。

もう会えないの。もう会えないと。
分かった時にはそれほど実感は無くて。
また会いたいよ、募る想いは。
降り積もってく雪のように冷たくて。

あなたの笑顔があの頃の日常に光を灯してくれた。
一喜一憂で想い出を反芻。輩(ともがら)と笑い合った。
知り合いの知り合い。高嶺の花。
腹の探り合い。またねと朝。
一目見たくて、言葉交わしたくて。
毎日を乗り越えるよう力を尽くしていった。
人生が色づいた。
恩返しなんて考えて。
音が好き。これだと閃いて。
言葉を紡いで、心が荒んで、でも整えて、前を向いた。
正当化する自分に落胆。結局は自己満足の範疇さ。

品が歩いているような花の可憐さを纏ってたあなた。
そんなあなたに勇気づけられた人はきっと数多。
他人の空似。分かってた筈なのに。
そんな理由で聴き始めたあのバンドも。
残り香を求めたあの場所も。
いつしか心の風景に変わって、また頬つねって。
雪解けは思ったより時間を要して。
地に足つくのは凍ってた時よりも怖くて。

今も、あの日を思い出しもするけど。
あなたへこの詩が届くように。

もう会えないのは辛いと叫んで。
また会える日を楽しみに今日だけを生きて。
泣きたいのに、流れない涙。
募る後悔は雪のように切なくて。


ありがとうございます。 作家になるための糧にさせていただきます。必ず大成してみせます。後悔はさせません。