闇金ウシジマくんと闇バイト
最近の若者の怖いところはその無計画性と無教養さにある。
漫画「闇金ウシジマくん」で人の頭をバットでフルスイング出来る人間は少ないということを提示され、それは人の死に責任が持てなかったり後々のことを考えたり環境や身の回りの家族や友人に掛ける迷惑のことを考えたりと、様々な要因から納得出来るものだったけれど、闇バイトでの過失致死や傷害致死を見ていると、それも最低限の倫理観や教育が根底にあったうえでの話なのだと思い知らされる。
自制心の弱さというか、そもそもの物事の価値や社会規範を理解していれば、いかなる欲求にも歯止めが掛かるというもの。
娯楽に使う為、SNSに載せて誇らしい生活を送る為、そういった目的で金銭への欲求が高まる。現代人は性欲と物欲に弱くなりすぎている。
数字を渇望し判断力を失うという点で、記者や広義でのインフルエンサーが、なりふり構わず不道徳的になるのも同じである(ここでは過激な例を指す)。
あまつさえ驚きなのは、衝動的に犯してしまったような非人道的行為を反省することより自らの楽観を述べることだ。事に及んだうえで、図々しく未来を案じる。人間性の欠落。
憂慮や保身が悪いとは言わないが、それらを考えるよりも先に胸に翳る後ろめたさというものはないのか。
あまり声を大にして言えることではないが(こと日本においてという前提で)、こういった浅はかな愚行に走る人間は、浮浪者よりも一般的な生活を営んでいる輩の方が圧倒的に多い。そしてその大半が三十代より下の若い人間。当然だ。体を使う仕事だからだ。それは体力的な意味であり、実際に物理的危害を与えるケースがあるという意味でもある。
同じ金銭面での困窮でも、訳が違う。
SNS、ひいてはインターネットの波及により、四六時中雲の上の存在の生活をまざまざと見せられる、見てしまう。そんな毎日を送っていれば感覚も麻痺し、真っ当な稼ぎを馬鹿らしく思うようになってしまうのだ(低賃金の弊害と言ってしまえばそれまでだが)。
だから、手頃に大金を得られる手段に手を伸ばしてみる。
売春だって同じだ。
正式な仕事ではなく非合法での交渉。
決して簡単な行為ではない。しかしそれは人による。そして一度行えばそのハードルは下がり泥沼に浸かっていく。実質的な利益が出ているうちはそれは当人にとって泥沼ではないのだろうが。
いくら罰則規定がなくとも、それを安易に実行してしまい、罪の意識なく大金を得ていく。優雅な金品や環境に囲まれ、自身の地位や価値を誤認していく。
(付随するものでは税の問題だってある)
昨今ではその先、美人局に近い形で、時間を空けてからその弱みを行使し、さらなる金銭を上乗せで要求するマッチポンプだって多発している。真偽の見極めが難しい問題であり、その為男女どちらの性別も何重もの対策や警戒が必要になっている社会である。
それが加速度的にフェミニストやマスキュリストの対立、ひいてはミソジニストの量産を促す。
男性にしろ女性にしろ、よほど追い込まれたうえでの選択ならば然るべき場所にて情状酌量の余地があるだろう。
闇バイトなんて言われているが、これは醜い人間の卑怯で悪辣な犯罪行為に過ぎない。
ここからは憶測だが、これらの行為の中には犯罪行為を格好良いと思ってやってしまっているという点が少なからずある。
“暴力的・性的なコンテンツが影響を与えている”
こういった論をよく見かけては度々議論の的になるが、実際のところまるきり無関係とは思わない。創作物や興行に触発されることはある。
しかしそれは表層しか受け取れていない受取手の問題であり、果てはそういった思慮の浅い・感性の乏しい人間の教育に問題がある。
物語上魅力的に描かれていたりするもの。視覚的だけでもそういうものはある。
だが伝えるメッセージとして推奨するようなものはなく、その“中身”といえる部分を考えるのが人のすべきことではないのか。ただ視界に映ったものに感化されるのはひどく動物的だ。
法律に詳しくなれとは言わない。思想を固めろとも言わない。
それでも、普遍的な善悪や正誤の分かる、分別のある人間を育てる教育であってほしい。
いずれにせよ当記事で言及したような低俗な行為をはたらく者は心底軽蔑する。
良識のある人間だけの世界が望ましいが、それは不可能には違いないので、少しでもその理想に近づいていくことを願うばかりだ。
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