鹿田、贅沢に初夏の午後読書に耽る
朝起きてフィットボクシング2の今日の日課をこなし、昼ご飯を食べたところでさて、やることがなくなった。何か読む本はないかと机の周りをあされば蠅の王や上巻で積んでいるカラマーゾフが見当たるが、食後の気の抜けた今読みたい類の本ではない。そして「夏の騎士」(百田尚樹)に目がとまる。ずっと読もう読もうと思いながら積んでいたこの本。初夏を目の前にして読むなら今しかないと感じ手に取る。
最初に彷彿とさせたのは夏の庭。今作の主人公は何をやってもパッとしない落ちこぼれの3人の小学6年生だ。その3人が決起し、中世の騎士を模範に騎士団を結託する。そして騎士とは姫に愛と忠誠を誓うもの、と、クラスのアイドルにその意を捧げ、物語は始まる。
ネタばれは好まないのでざっとあらすじのみを述べた。なかなかの鹿田好みの夏小説だ。読後感もいい。読書中はいつも心地のいい夏風が僕の体の周囲に絡んでは吹き抜けてゆく。夏休みの課題図書にもなりそうなこの作品だが、大人が読んでも懐かしさとともに、少し忘れてしまった勇気を取り戻すことができる、そんな作品だ。気楽に読める。ぜひ、手に取ってほしい。
のどかな午後が続く。ヒチヒチヒチヒチと鳥が鳴く。時々強い風にカーテンをめくっては、強い日差しが、こもった部屋を浄化するかのように射す。(もうすぐ夏なのに、その準備はしたかい?)初夏交じりの風が僕に尋ねるが、恥ずかしくて、パソコンから目を離さない、離せない、話せない。
緑の風船のように膨らんだ、小さな樹の葉たちが風に泳いでいる。まるで波になり切っているように、ゆわんゆわんと心地よく揺れる。また時々通る、車の滑走音が響く。時々僕に眠れと告げるが、僕はもう少し文章を書いていたいんだ。
幾分濃くなった空にまた、夏の予兆を感じて見つめる。日差しも強いのでまともに見つめられないのだが、そのくすぐったい感覚がまた心地いい。スズメも鳴いている。耳をすませばもう少し、鳥の声を聴き分けられそうなのだが、集中すると眠くなってしまう。初夏の午後。
多分今からまた、なにか本を手にとっても、眠くなってしまうに違いない。あとは夢で紡ぐか、と言いたいところだが、鹿田の眠りは深い。怖いほど深い。見えなくなるまで落ちていく。まるでまぶしい午後の光の残像のように、濃い影がいつまでも僕を離さないので、仕方なくより深く落ちるのだが、いつか元に戻れなくなるのでは、そんな杞憂にいつも布団はびしゃびしゃになる。夏が近づくとそれは少し薄れるのだが、夏は夏で汗をかくからね。布団を干さないと。
じゃあね。