《週末アート》マガジン
いつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。
具象絵画
具象絵画(ぐしょうかいが)は、具体的な対象物を、極端な捨象(「しゃしょう」物事の表象から、一つまたはいくつかの特徴を分けて取り出す抽象を行なう場合に、それ以外の特徴を捨て去ること)なしに具体的に描いた絵画。英語だと“Representation”。
抽象絵画※が成立する20世紀以前は、絵画といえば具象絵画でした。
抽象絵画
抽象絵画(ちゅうしょうかいが)は、具体的な対象を写さない絵画とは異なる絵画。広義には、パブロ・ピカソのキュビスム作品など、厳密には具象であっても事物そのままの形態からは離れている絵画を含むことがあります。
美術史においては、カンディンスキーやピート・モンドリアンが抽象絵画の創始者であるとみなされており、その時期は1910年頃です。
世界大戦後、絵画は抽象絵画が主流となる
カンディンスキーやモンドリアンによる抽象絵画が生まれて以降、絵画は抽象絵画が主流になっていきました。また第二次世界大戦以降は、ポップアートやコンセプチュアル・アート、ミニマル・アートなどが注目を集め、かつての主流だった具象絵画に対する注目度は減っていきました。
しかしそんな中でも具象絵画を描き続けた巨匠が3名います。
フランシス・ベーコン
フランシス・ベーコン(Francis Bacon、1909年10月28日 - 1992年4月28日)は、アイルランド生まれのイギリス人のの具象画家で、生々しい、不穏なイメージで知られています。
作品は大部分が激しくデフォルメされ、歪められ、あるいは大きな口を開けて叫ぶ奇怪な人間像でした。人間存在の根本にある不安を描き出したものと言われています。
ルシアン・フロイド
ルシアン・フロイド(Lucian Freud、1922年12月8日 - 2011年7月20日)は、イギリスの画家。精神分析医のジークムント・フロイトの孫。
ルシアンはドイツのベルリンで生まれですが、1933年に家族と共にイギリスに移住。1939年に市民権を獲得し、姓も英語読みの「フロイド」に改めました。セントラル・スクール・オブ・アート(現、セントラル・セント・マーティンズ)などで絵画を学び、1944年に初めての個展を開く。
初期の作品は、シュルレアリスムを連想させ、人々や植物が風変わりな仕方で隣り合っており、絵具の塗厚は比較的薄いものでした。しかし1950年代からはポートレイト、特に厚い塗りでヌードを描くようになりました。
フロイドのポートレイトの登場人物はしばしば彼の身近な人々、家族・友達・仲間の画家・恋人・子供が多い。フランク・アウアバーク、フランシス・ベーコン、デイヴィッド・ホックニーもモデルになっています。
2005年には、フロイドの描いたケイト・モスのヌード肖像画が390万ポンド(約7億7千万円)で落札されて話題になりました。
さらに2008年5月、別のヌード肖像画『眠る職業安定所の管理職員(Benefits Supervisor Sleeping)』が3360万ドル(約35億3千万円)で落札され、存命している画家の絵画作品の販売価格として世界記録となりました。
2011年7月20日、ロンドンの自宅で死去した。88歳没。
アンドリュー・ワイエス
アンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth, 1917年7月12日 - 2009年1月16日)は、20世紀のアメリカの画家。
戦前から戦後にかけてのアメリカ東部の田舎に生きる人々を、鉛筆、水彩、テンペラ、ドライブラシなどで描く。また、作品中には体に障害を持つ女性や、黒人の中高年男性を描く。人種差別の激しい時代においてワイエスは人種差別をせず、その姿勢が彼の作品にも表れていました。
ワイエスはその作品において、故郷であるペンシルベニア州チャッズフォードでも、メイン州クッシングの別荘でも、自分の周りの土地や人々を好んで題材としました。ワイエスはよくこう言っていたそうです。
20世紀アメリカ美術の中で最もよく知られたイメージのひとつが、現在ニューヨーク近代美術館に所蔵されているテンペラ画『クリスティーナの世界』で、1948年、ワイエスが31歳のときに描かれたものです。
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まとめ
わざわざ「具象絵画」(Representation)と表現する文脈にはモンドリアンたちにより興った「抽象絵画」という潮流があります。そのモーメンタムのなかで「具象絵画」として耳目を集めるほどの成果をあげているところがパンクでロックな3名の画家たちでした。
スタイルが多岐にわたった現代アートのなかで、わたしたちの五感に寄り添った(しかしロック)な具象絵画は、わたしたちに現代においてアートへ近づく良い動機を与えてくれるように思います。
参照
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https://acrylicrab.com/noabstract