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映画『フレンチ・ディスパッチ』にみるフランスの引用符「ギュメ」
映画『フレンチディス・パッチ』は雑誌『ニューヨーカー』へのオマージュ
ウェス・アンダーソン監督の映画『French Dispatch(フレンチディスパッチ)』が現在(2022年2月)日本で公開されています。
この映画、シーンの9割近く、何かしらの文字が入り込んでいます。直訳すると「フランス発信」となる架空の雑誌の映画なのですが、この雑誌は、『ニューヨーカー』という雑誌を強く意識したものです。ウェス・アンダーソン監督は、10代のころから『ニューヨーカー』の愛読者で、1940年代までバックナンバーを所有しているそうです(※1)。文字好き、デザイン好きには、ストーリーそっちのけで垂涎の映画でもあります。この映画について話したいデザインや書体の話は多すぎて、ちょっと吐き気がするほどです。全部書くと、読む側は辟易してしまうのではないかと思うので、端っこの部分をちょっとちぎった按配にしようということで、今回ご紹介するのは、このマーク。フランス語で「ギュメ」と言います。
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引用符は国によって変わる
引用符(いんようふ)とは、会話や引用に使う記号です。日本語なら「」(カギカッコ)。英語なら、クオーテーションマークを使います。“”はダブルクオーテーションマーク、‘’は、シングルクォーテーションマークです。入力の仕方は、Macの場合だと
ダブルクオーテーション= option キー + @キー と option キー + shiftキー + @キー
シングルクォーテーション= option + [ と option キー + shiftキー + [キー
です。今回紹介するギュメ«»は、フランス語、イタリア語などで使われる引用符。ちなみにドイツだと同じくこのマークを使うのですが、向きが逆です。
»Guten Tag«
という具合似つかます。で使います。引用符と中に入る単語の間にはスペースは入れません。引用符の前や後には半角スペースが入ります。
フランスの引用符は「ギュメ」
映画『French Dispatch(フレンチディスパッチ)』は、いくつかの章というかコラムにわれているのですが、その冒頭に出てくるタイトルには、フランス語の引用符ギュメが使われています。
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これは、この架空の雑誌がフランスの街で作られているからです。ギュメ(guillemet)は、フランスのパンチカッター(金属活字彫刻師)であるギヨーム・ル・ビー(Guillaume Le Bé)(1525–1598)が名前の由来です。
映画の章のタイトルに使われている書体はGill Sans
ちなみに(だらけですが)、この章のタイトルに使われている書体は、イギリスのエリック・ギル氏がデザインしたGill Sans(ギル・サン)という書体です。ギル氏はなかなかの変態ですが、彼が作った書体、Perpetuaは、英国王室で現在も使われています。偉大。
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Gill Sansという書体は、イギリスらしいとも言えまますが、人間味の在るサンセリフ(ヒューマニスティック)としても代表的な書体です。英国の国営放送であるBBのロゴやトミーヒルフィガー、フィリップス、映画『トイ・ストーリー』、東京証券取引所のロゴにも使われている書体です。
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まとめ
映画『フレンチディスパッチ』は、デザインに関連して語りたいものが多すぎたので、ちょっとだけのつまりでフランスでの引用符「ギュメ」についてだけ触れてみました。考えてみると、わたしたちは、他国の言語を読む機会が少ないので、引用符なんて何を使っているのか、気にすることもあまりないかもしれません。でもこうしてちょっとしっておくと映画を観たときに「あ、ギュメを使っている」、「そして書体はGill Sansだー」と気づけて、もしかしたら、さらにちょった楽しくなるかもです。
参考
※1: It's Nice That “”
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