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一杯2000円のラーメンを食べた。
プロローグ
メキシコシティにも、美味しいラーメン屋があると聞いていた。
ハーフマラソンを終えた夫と、最寄りのバス停まで歩いていたときのこと。
何やら小洒落たお店の前を通り、きれいだなぁと思って通り過ぎた。
暖簾や竹を使った装飾が見えたので、日本料理屋だとは感じていた。
そういえば、ここらへんにお高いお寿司屋さんがあったはずだ。
バス停前の横断歩道が青に変わるのを待っていると、夫は言った。
「ラーメン食べたい。」
私は頑張った夫の言葉を聞いて、言った。「いいね。」
入店する
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ラーメンの注文方法は券売機であった。
タッチパネル式、カード支払いも可能という、日本でもなかなか見ない最新式だ。
ラーメンは確か10種類くらいあり、大体250ペソであったと記憶している。
醤油、味噌、担々麺、つけ麺…
餃子やチャーハンセットにできるのかな、とサイドメニューを見たが、なかった。
つまり、この店はラーメンで勝負をしているということだ。
注文をし、店の奥まで入っていくと、「どこでも座っていいよ」と促される。
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きれいでおしゃれな店内であった。
日本と同じ、ラーメン屋の匂いがする。
これは、期待できる。
10席くらいあるなか、真ん中の席につくと、懐かしさを感じた。
お寿司屋さんによくある、お湯を入れるあのレバーがあったのだ。
この一瞬だけ、自分がラーメン屋にいることを忘れ、なぜか寿司屋にいる気になっていた。
しかしなぜか、湯呑を押すレバーは2つ付いている。
「なんでだろうね〜」と夫と話していると、それに気づいた店員さんは、ラーメンのトッピングを切る片手間に「あ、こっちはお湯。こっちはお茶ね。」と教えてくれた。粉末のお茶は、ないのか。
ラーメンの登場
そして、少し待たされてから、ラーメンがやってきた。
時間にすれば、日本のラーメン繁盛店の満席時の待たされ時間。
メキシコは、お客の回転スピードでは稼いでいないのだ。
1杯2000円以上するんだもんな、速さは関係ないよな。
さて、注文の品を。
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見た目、素晴らしい。
自分の目の前においたとき、「おっ」と言ってしまった。
食べてみると、麺は細め。
程よくコシがあり、具材も多すぎず少なすぎず。
メンマもこりこりだった。
きちんと日本に近いラーメンであった。
しかし、担々麺を選択してしまったがために、結構辛かった。
みなさんは担々麺は辛いものでしょ、と思うかもしれないが、メキシコの辛さは、本当にヒィーと辛いのである。日本の旨辛!とは少し違う。
今度食べることがあれば、野菜タンメンかな、と思っている。
夫の注文したつけ麺も、なかなか良かった。
太ちぢれ麺であったし、何と言っても分厚いチャーシューがどどんと2枚。
味玉もちょいトロでお上手だ。
とろっとしたスープの下の方には魚粉が少し。
このラーメンはメキシカンジャパニーズになっていない、と思う。
しかし、ラーメン好きの夫的にはもっと太麺がいい、もっと出汁効かせてほしい…という思いを抱いたようだ。
結論
一杯2000円のラーメンを初めて食べた経験から考えたことをまとめる。
結論、日本のラーメンには、海外でどれだけお金を出しても作れないうまさがあるのだろう。
メキシコでも、日本に近い美味しいラーメンが食べられる。
しかし、それは日本のラーメンに「ほど近い」ラーメンであり、絶妙に、若干、何かが違っているものである。
作り方なのか、材料なのか、水なのか、食べる場所や気候なのか。
もしかしたら、日本人としての誇りとして、日本のラーメンはもっと美味しかった!海外とは違うんだ!と
その味の違いを探してしまっているのかもしれない。
または、舌がメキシコに染まり切っておらず、日本のうまみを舌が覚えているのだろうか。
私はメキシコに住んではいるが、毎日タコスを食べているわけでも、何でもチリソースを使っているわけでもない。そのため、メキシカンに慣れる刺激は少なく、幼い頃の食文化が自分の味覚のベースとなり続けているのだろうか。
ラーメン屋はDEIGO RAMENといった。
ちょっとだけ特別なときに、また足を運ぼう。