大阪人に『水曜どうでしょう』の洋ちゃんを薦めた方法は、紅白歌合戦の司会・大泉洋を全世界に薦める方法に使えるかもしれないという話。
これは、TV Bros.のコンテスト『#テレビブロスマイベスト2021』の応募作品です。
当時、北海道の深夜のローカル番組が発祥の『水曜どうでしょう』(以下、水どう)の沼にはまった私は、友人や知人の大阪人にどうやって『水どう』や『大泉洋』(以下、洋ちゃん)の魅力を伝え、そのテレビ視聴に繋げるか思案した。
笑いの本場=大阪で認められれば、洋ちゃんは一気に全国区の人気者になれるかもしれない。
しかし、一方で、大阪人への伝え方いかんによっては、洋ちゃんが全国区で活躍できなくなるかもしれない。
そう、これは勝手に、「水どうの魅力を伝えること」に責任を感じた一人の人間による、小さな小さな草の根運動の話なのである。
* * *
「面白い番組があるんです。ぜひ観てください。」
いやいやダメだ。これは、いちばんやってはいけないヤツだ。笑いのエリート=大阪人に、“面白い”なんて言ってどうするんだ⁉ どんなけハードルを上げているんだ。これじゃあ、洋ちゃんが可哀相すぎる。
「面白くないとは思いますが、宜しければ、観ていただけないでしょうか。」
いやいやこれだと、「つまらない物ですが…」って言って、お土産を渡すときと一緒じゃないか。この言い方って、今はなかなか受け入れられないんじゃないだろうか⁉ それに、他人様の大事な30分を使ってもらおうとしているのに、「面白くない物」を薦めてどうするんだ⁉
「えー、なんかー、よく分からない番組がー、あったんだけどー、観てみるー?」
トボけて、知らないふりして言ってみようか。んー、弱い。弱すぎる!しかも、すぐにウソがバレる⁉
「これは、主に北海道民に受け入れられている“笑い”なのですが、大阪の方も、宜しければ試してみませんか。もしかしたら、新しい世界が見えてくるかもしれませんよ。」
何か堅いけれど、ちょっと良いかもしれない!軽く言い直してみようか。
「北海道の人は、これ観て笑ってるんだって、大阪の人、どう?」
でも、やっぱり、これだと、北海道の人の笑いのツボの中に、大阪人の笑いのツボが必ず内包されているような意味合いにも取れちゃうから、顰蹙を買いそう⁉
うーん、うーん、うーん、……、……、……、……、……、……、……、……、……、……、……、……、……、……、……、……、
うーん、うーん、うーん。
そう言えば、北海道に初めて旅行した人から、よくこんなセリフを聞いた。
「食べ物も、景色も、本州とは全然違った。」
「まるで外国みたいだった。」
「北海道の人は、あったかくて、合理的で、世間体をあまり気にしなかった。」
ってことは、北海道以外の人たちは、北海道の文化を知りたい⁉
「水どうを観れば、北海道の人の笑いのツボが覗けるよ。」
こうして、わたしの大阪の友人・知人は、大阪の家にいながらにして、テレビ番組・水どうの洋ちゃんを通して、北海道の人の文化を旅することができたのである。
それは、大阪の友人・知人の笑いのハードルを上げることもなく、北海道を卑下するわけでもなく、逆に、過剰に持ち上げるわけでもなく、フラットな気持ちで視聴してもらうことに繋がったと自負している。言い過ぎか。
それからの洋ちゃんは、説明するまでもないが、全国的なバラエティに、ドラマに、映画に、舞台に、八面六臂の活躍を見せ、一部のドラマや映画は外国でも配給された。
2020年12月31日、『第71回NHK紅白歌合戦』の白組司会に大泉洋が決まった。
NHK紅白歌合戦は、世界100ヵ国以上で視聴が可能らしい。コロナで自由に国と国とを行き来しづらくなった2020年。世界中のテレビ・パソコン・スマホで、NHK紅白歌合戦を観て、日本を旅してみるのもいいかもしれない。
そのとき、外国の方には、できれば、
「NHK紅白歌合戦を観れば、日本の文化が覗けますよ。」
と伝えてほしい。
外国の方に、日本へのハードルを上げないために、日本を卑下するわけでも、過剰に上げるわけでもなく、できるだけフラットな気持ちで観てほしいから。
洋ちゃん、がんばれ‼
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