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『すべての、白いものたちの』白の儚さ

■出会い

 帯にノーベル文学賞受賞と書かれていたので手に取った。

■帯

 岸本佐和子さんのコメント。

■受賞

 ノーベル文学賞受賞。

■読書感想

 著者のハン・ガンという名前も聞いたことがある。それに帯にノーベル文学賞受賞と書かれていることをきっかけに本を手に取った。

 装丁はモノクロで白が綺麗に映えている。本の小口を見て気づいたのだが、本に使われている紙の種類が5種類ほどあった。言ってしまえば全て「白い紙」なのだが白の種類が違う。是非実際に手に取って見て欲しい。この紙の違いは物語の進行と関係があるのかもしれない。そう思った。

 表紙を捲ると見返しが短くなっており、次のページに印字されているタイトルが見返しを捲らずとも読める。これはどういう拘りをもって創られたのだろう。本の装丁について書かれた頁があればいいのに。

 本は読みやすく、睡眠前に設けている読書時間で読み終えることができた。韓国文学はあまり読んだことがないので知らないことがたくさんあった。”チマチョゴリ”と単語で覚えていたが、本では”チマ”と”チョゴリ”で分けて書かれている。服の上下だろうか…検索してみるとそのようだ。

 また、韓国では白を表す言葉が二つあるらしい。”ハヤンまっしろな”と”ヒンしろい”だ。”ハヤン”は綿あめのようにひたすら清潔な白を指し、”ヒン”は生と死の寂しさをこもごもたたえた色であると説明されていた。ここでも勉強になった。

 文体は美しく死と生を感じさせる物語の中、読み終えた後に見る表紙は何とも物悲しく胸が締め付けられるような思いがした。

 ああ何故、産着の写真なのかわかる。

 この装丁の拘りを文庫版は表現できているのだろうか?本文だけでも十分せつないが、単行本で読んだほうがいいのでは?と思えた一冊。


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