ひとりそたぶ830 雨(3回目)

830回目は「雨」です。3回目です。

ではご覧下さい。

オーバーキャストポラリス
漫才/飽き雨

最上:雨、飽きたから雨乞いを習いたいと思うんだよね。

北尾:何処で教わるんだよ。

最上:地区センターのカルチャースクール。

北尾:雨乞いを教えられる奴が近所に住んでるのかよ。

最上:その道50年の大ベテランみたいなんだ。

北尾:50年もやっててこの体たらくなのかよ。

最上:ほんで初めてだからどんな感じか分からんから見学に行ったんだ。

北尾:何度も通ってる奴居るのかよ。

最上:地区センターの裏の駐輪場に雨乞いの先生が居た。

北尾:屋外なのはさて置くとしても、とんでもねえ隅っこに追いやられてるな。

最上:大雨警報の出てる日だった。

北尾:実技じゃねえか。で、失敗したと。

最上:先生と生徒のマンツーマンだったな。

北尾:一人は居たんだ。

最上:泥まみれの地面に足を付けて、ひたすら天を仰いでお祈りする二人。

北尾:原始的だなあ。

最上:で、訳の分からない呪文をハモる二人。

北尾:訳が分からないなら絶対に雨止まないだろ。

最上:すかさず持ってきた大幣(おおぬさ)を振るう俺。

北尾:神社でお祓いの時に使うヤツじゃねえか。何でそんなの持ち歩いてるんだ。

最上:そうしたら、雨が止みました。

北尾:一生に一度の奇跡をこんな所で起こすなよ。

最上:するとずぶ濡れ泥まみれの先生に、「もうお前に教える事は何もない」と言われて。

北尾:何も教えて貰ってないのに何だその態度と恰好は。

最上:でもその後幾らやっても雨が止まないんだよな。

だから今度は市民ミュージアムの雨乞いの先生に教わろうと思って。この道60年の超ベテラン。

北尾:だから無理だって言ってるだろ。いい加減にしろ。

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