再放送 ひとりそたぶ208 煙突

プレゼントは現金で

ではご覧下さい。

一夜の幻影
コント/太陽が沈もうとしている夜が 唸りをあげて暴れている 心が釘打たれるような傷みを感じている

(住宅街の上空で揉めているサンタとトナカイ)

向井(サンタ):嫌やーっ!!行きとうないー!!

真中(トナカイ):うるさいですよ!!いいからさっさと行って下さいよ!!早く回らんと終わらないんですよ!!

向井:そんなん言われたって煙突怖いから無理ー!!!嫌だー!!

真中:良くそれでサンタになれましたね!!煙突から入るのがサンタの宿命なんだからしょうがないでしょ!!

向井:知らねえよそんな事!!時代は変わってるんだぞ!!旧態依然としたシステムに縛られてんじゃねえよクソが!!

真中:今言ったってしょうがないでしょ!ホラ!さっさと行かないと今夜中に終わりませんよ!

   嫌でしょ年明けても夜な夜な配り回るの。子供達の夢壊しますし。

向井:夢はいつか消えていくものさ……。それが俺が贈るプレゼントさ……。

真中:そうかもしれませんけど!!サンタがそれ言ったら駄目でしょ!夢与える立場なんだから!

   ホラ、さっさと覚悟決めて煙突に移って枕元に置きに行く!

向井:置き配じゃダメ?今流行ってるだろ。玄関に掛けるだけ。効率良いじゃん。

真中:それが許されるのは人間の配送業者だけです。第一玄関に見知らぬプレゼント置いてあったら爆弾と間違われて騒動になりますよ。

向井:無断で家入って子供の枕元行くのは良いのにかよ……。

真中:置いてある場所で大分違うからそこは目を瞑りましょ。サンタだから警察も捕まえないでしょうし。

   てかもういい加減行って下さいよ。ここで揉めてたら住人起き出してパニックになりますよ。

向井:(ソリから降りて飛び移ろうとする)ああっ……!!やっぱり無理ぃ!!お前行って来いよ!!

真中:やですよ!!僕入ったら撃ち殺されますよ!!人間は見知らぬ獣には容赦ないですし!!そもそも煙突登れないからアウトですし。

向井:だって俺高所恐怖症だし!!今こうして空に浮かんでいるだけでもギリギリやねんぞ!!

真中:つくづくサンタに向いてない人間だな!!夢壊そうとするわ高所恐怖症だわ!!

   こうなったらしょうがない!えい!!(体を傾けて向井を煙突に突入させる)

向井:お前何しやがうわあああああああ!!!(煙突に入る)

真中:静かに落ちないと住人が起きちゃいますよ。最初からこうすれば良かったですね。

向井:(子供の枕元にプレゼントを置く)畜生あのケダモノめ……。クリスマス終わったら塩漬けにして食ってやる……。

   しかしこんだけ騒いで起きねえとか大物になりそうだ。メリークリスマス。

   

   (玄関から堂々と出て来て)配って来たぞ~!降りて来い!

真中:(地上に降りて)いやいやいや!!!煙突から登って来なさいよ!!何を堂々と玄関から出て来てんですか!!鍵空いてたら危ないでしょうが!!

向井:あんな狭い煙突をよじ登るとか考えただけで蕁麻疹が……(ゾーッ)

真中:もう今年限りで辞めてしまえば良いのに。ほらまだまだ一件目だからとっとと済ませましょうよ。

向井:ゲーッ!!まだあんのかよー!コイツ人の心とかねえのかよ!!

真中:トナカイだもの人間の心なんざあるワケ無いでしょうが。僕を塩漬け発言したお前が言う価値なし。

   ホラさっさと行くぞ!ソイヤ!!(向井を咥えて上空まで登る)

向井:チクショーーーーー!!!聞こえてやがったかーーー!!謝るから勘弁してくれーーーーー!!!

   (真中に放り投げられて)アーーーーー!!!!!

   そんでこんだけ騒いで起きない子供達は一体何なんだーーー!!!

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