ひとりそたぶ617 土手
617回目は「土手」です。
ではご覧下さい。
オーバーキャストポラリス
漫才/土手おじ
最上:土手に住んでるおじさんの話なんだけどさ。
北尾:そいつ絶対に住所不定無職だろ。
最上:月曜日に自転車に拾った空き缶を沢山積み込んでてもか。
北尾:疑惑が確信に変わった。
最上:何故か知らんけどしょっちゅう小学生に石を投げられてる。
北尾:純粋が故の悪意。
最上:ほんでこないだおじさんを訪ねようと思って土手に行ったんだけど。
北尾:小学生に石を投げられてるおじさんに何の用だよ。
最上:お金を借りに。
北尾:借りる方も借りる方だけど、貸す方も貸す方だな。
最上:だけどおじさんが住んでる小屋に居なかったんだよ。
北尾:空き缶でも拾いに行ったんじゃねえの?
最上:しょうがないからおじさんの貯金箱を失敬して帰ったんだ。
北尾:いともたやすく行われるえげつない行為を犯すなよ。
最上:でも次の日もその次の日も訪ねたけど居なかったんだ。
北尾:金盗んだならもう良いだろ。
最上:そのおじさんと仲の良い公園に住んでるおじさんに聞いたら、
北尾:何だお前の人脈。
最上:雨の日に幼稚園児に拾われて幸せに暮らしてるそうだ。
北尾:捨て犬かよ。良く拾われたもんだな。
最上:でおじさんが住んでた小屋も行政に取り壊されて、何か切なくなったんだよな。
北尾:何であれおじさんが居た証が無くなるのは寂しいよな。
最上:おじさんが居なくなったから俺土手の家に住もうと思ってたんだよ。
北尾:ドテーーーーーッ!!!!!
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