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「説明が下手」と言われる理由
以前一緒に暮らしていた人によく
「説明が下手」
と言われていた。
私が説明したことが彼に伝わらず歯痒い思いをすることが多かった。
私は一生懸命詳しく、前後の状況も説明しているのになぜか伝わらない。
今まで友人や職場の人と話していても「説明が下手」と言われたり、話が通じなかったことがなく、ここまでコミュニケーションが難しかったのは彼が初めてだった。
おそらく、私の説明や話がわかりづらいと最初に感じた人はどうしても立場上付き合わなくてはいけない人以外は親しくなる前に離れていったり距離をとったりしていたのだろうから、周りに話が通じにくい人がいなかったことは当然かもしれない。
仕事は事務仕事だったからやることの正解、不正解が明確だった。
なのでコミュニケーション能力が問題でトラブルが起こったことはなかった。
彼とは何年も一緒に暮らし、同じ時間、同じ状況を共有することでコミュニケーションでの齟齬が起きることは減っていった。
これは共通認識が増えて話が通じやすくなっただけで、決して私の説明能力が上がったわけではない。
それを痛感する出来事が職場で起こって落ち込んだ。
私は今、経理の仕事をしている。
毎日仕分けを起こしたり試算表を眺めてたりして数字を合わせているわけだが、ある支店の会計ソフトに入力されているカード会社への売掛金の数字と、実際のカード会社からの入金が合わないことに気がついた。
その支店には経理担当者がおらず、運営責任者に事情を聞かなくてはならなかった。
責任者と電話で話した時に
「そちらの支店の売掛金を調べていたら合わないことに気がつきまして。18日の売り上げがおかしいみたいなんですが、18日のレジ締めの時、カード会社へ送った売り上げとレジの売り上げが合わなかったとかいうことありませんでしたか?」
とざっくり聞いてしまった。
責任者は
「は?売掛金?売掛金てなんですか?カード会社への売り上げ??調べてみないとわかりませんが、合わなかったというのは特になかったような…」
と言われてハッとした。
相手は経理の人ではないのだから、売掛金と言われてもわかるわけがない。
カード売り上げと言われてもなんのことかわからないだろう。
ずっと試算表とレジのデータを見て売掛金、カード売り上げのことを考えていたからそのまま話してしまった。
こちらが知りたいことを、相手にわかる言葉で話さないと知りたい答えが聞けるわけがない。
気を取り直して
「18日に4番レジで決済されたクレジットカードのデータと、クレジット会社からの入金明細の金額が違っているんです。18日のレジ締めの時、何かトラブルありませんでしたか?」
と聞いてみた。
「あ、それならカード決済端末が故障してカード会社に締めデータが送れなかったんです」
それ。私が聞きたかった答えそれ。
話が通じて問題が一気に解決してスッキリした。
電話を切ってから、自分の思い込みの強さと相手の立場に立った話し方のできなさ、言葉の選び方の身勝手さにかなり落ち込んでしまった。
そういうとこやぞ!!!!と頭を抱えそうになった。
彼との日常にもこういうことがあった気がする。
今でも全然できてないやんけ…と気が滅入ったが、気づいて話がややこしくなる前に方向転換できただけマシか、と思うことにした。
やっぱり説明下手だわ、私。と思った。
それを自覚して気をつけて話そう。