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やきゅうやろうぜ

9月中旬。まだ暑い日は続きますが、朝夕は涼しい風が吹いてきますね。
振り返ってみると、8月は長い休みを取る家庭も多く。普段よりは随分少人数の構成になり、ゆったり、じっくり、のんびり暮らしや遊びを楽しんでいた子どもたち。
そんな中、私もひっそりと楽しませてもらっていたんです・・・。


ある日の夕方のこと。
『にやにやにや…』と、企みがありそうな笑みを浮かべ事務室のドアの窓からこちら見ている年長組の男の子たち。『なにー?どうしたー?』と聞くと『ひろきせんせー、野球やろうぜー!』とサザエさんの中島のお決まりのセリフで私を遊びに誘う彼ら・・・。
 私は一旦、事務仕事を手放し園庭へ繰り出しました。夕刻どきの茜空の下、グラウンド(園庭の隅っこ)にはゆり組の野球軍団が揃い踏み。カッコつけてますが、カッコいい。より、かわいいが勝り、ついつい口元が緩み笑ってしまいそうでしたが、ぐっと堪え『よしっ、やろうぜ!』とカツオ顔負けの高らかな声をかけました。
 連日、廃材を駆使して作っている野球道具。壊れては直し、手入れを重ねています。『マイバット』に『マイグローブ』中には腰にスズランテープをくくりつけバットを下げているY君もいます。あれ?武士ですか?(笑)

室内では武器にして使っていましたよ


 一方で、K君は大事に使っていたからこそでしょう、新聞紙製のバットが砂で汚れていたので水で洗ってみますが、思ったよりも水が染み込み、ふにゃふにゃになって焦り顔。

『濡れて柔らかくなっちゃったから、次は手で払おうかな…。』

 うんうん、名案です。廃材の素材としての属性を知る良い機会になりましたね。(やったことは理解する:老子の言葉)

 さて、毎日繰り返していると、思いの外上手くなるもので、しっかりとピッチャー役の投球は、気持ち中央寄りになり、打球は目測おおよそ数センチ単位ですが上昇しています。毎日10分程度の短時間ですが、楽しいものです。

フォームがサマになっていますね


 遊びの終わりがけ『ひろきせんせい、うまいねー。』『今度いつ来れそう?』と声をかけてもらえました。この言葉に、ふと少年時代の友だちとの約束を思い出します。
 携帯がない時代。友だちとの対面での“約束”は大切で尊く『また明日!』『また今度ね!』という言葉が絆のようなものに感じ、とても嬉しかったものです。
 子どもに対して『約束だよ。』『約束したよね?』といって守らせることが多いのが大人ですが、本当の約束というのは両者が納得して決めるもので、どちらかが一方的ではいけません。だからこそ、子どもたちからしてきてくれる約束にはしっかりと向き合っていきたいですね。

 久しぶりに交わした『約束』のおかげで、先生であるのと同時に子どもたちと友だちになれたような気がして、とても嬉しかったです。
 夏の日の野球遊びでは、毎回、仲間に入れてもらえた喜びを、ジーンと胸に感じながら事務室に戻っていました。

これからも、いつでも誘ってくれよな。野球軍団!!

ナイスバッティング!
憧れの大谷選手をイメージしているのかな?